ミーザ 夕日の丘のオルキデラ
ミュージカルシアターヒラソル
かめありリリオホール(東京都)
2014/04/05 (土) ~ 2014/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しめた!
長編(途中休憩を除き約2時間20分)ミュージカル。休憩をはさんだ前半と後半とで、公演内容の出来が違うように感じた。ミュージカルの華である「歌」と「ダンス」について、前半は歌声も小さくよく聞こえないし、ダンスもかたい。情緒が感じられなかった。後半は終盤に向かうにつれて盛り上がりを見せた。それでも場面によってはセリフと音響がかぶり聴きづらいところもあった。公演としては、感動できると思うが、観客によっては説教というか教訓じみた内容(結末)で鼻白むかも…。自分も感情移入するところまでいかず、少し残念だった。
Every Little Step
旋風計画
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
楽しく元気がもらえた
ダンス教室におけるサクセス・ストーリー…そのモチーフはよく観かけるが、それでも本公演はすばらしかった。特に登場人物のキャラクター設定は、各人の生い立ちや生活状況を丁寧に説明しており、見所のひとつと思っている。それがダンス教室内での出来事と関連付けられる。他方、ダンス教室そのものの経営状況など別視点での展開もあり、個々人の状況、ダンス教室状況が相まってストーリーが展開する。そこは無理なく楽しめた。
そして、いくつかの山場・見せ場があり、テンポもよく終盤まで魅せてくれた。最後のダンスシーンは圧巻だった。
本当に楽しく元気がもらえた好公演だった。
Re:verse
アヴァンセ プロデュース
本多劇場(東京都)
2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★
重厚感あり
驚いたのは、舞台設営だ。震災により崩壊しかけた建物(多分、鉄骨だけが残ったというイメージか)にパイプ階段を取り付けたものが舞台全体を占める。舞台効果として、照明は全体的に暗く、役者の衣装もモノトーン。音楽・効果音(津波)は低音で迫力あるもの。全体的に暗澹たる気持ちが反映されたような作り。
人間の深層をえぐる内容で、登場人物ごとの極限状態における悲哀、エゴ、パニック状況のオンパレード…。そこで描きたかったものは何か。
演出は重厚感あり。演技は、照明が暗く役者の表情はとらえにくかったが、熱演で迫力があった。
さて、再度何を描きたかったのか…モヤモヤするが、自分の中では間違いなく印象に残る作品である。
アブニール夢見ヶ丘 -壁一枚の物語-2014
ユーキース・エンタテインメント
タイニイアリス(東京都)
2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し工夫があれば
オムニバスによる3作品かな。男女6名が各組(男性2人組、男女各1人組、女性2人組)に分かれて演じる小作品は、同じマンションの隣室という設定。各部屋で起こる日常のような非日常のような中間的な話…と思う。
モチーフがもう少し明確に描けたらよかったと思う。
無惨なメデイアの詩
一般社団法人 日本演出者協会
タイニイアリス(東京都)
2014/03/27 (木) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★
小難しいような
韓国の劇団可変の公演。芝居の冒頭、字幕が写し出されないというトラブルが残念だ。
さて、本題だが、舞台では、登場する2人の女性のうち1人は下着姿、さらにバスタブが設置され…、壁は黒幕で覆い、照明はほの暗く、雰囲気としては甘く危険な香りがする。ストーリーは、妊婦の情緒不安と夫の似非思いやりを描いたのだろうか。表現された場面を追えばそんな感じを受けるが、もっと別の深層があるのか。公演全体の印象は、抽象的、哲学的で小難しいような気がした。
なお、演技は迫力があり、それ自体は見応えがあった。
事羽
teamキーチェーン
上野ストアハウス(東京都)
2014/03/28 (金) ~ 2014/03/31 (月)公演終了
満足度★★★★
後悔しないように…か
物語は、過去と現在が交錯しながら進展するが、それほど複雑ではなく訴える内容は明確だろう。演出として、過去場面はある程度シリアスに、現在部分はポップ調にと、硬軟の変化をつけたのでしょうか?メリハリは分かるが公演全体の雰囲気というか流れに違和感がないよう工夫があったらと思う。残念なのは暗転が多く、その時間が長く感じられたこと。観る集中力を保てなくなると、感情移入していた想いが萎む。せっかく心温まる好公演だけに惜しい。さて、疑問がひとつ。それは場面転換の多くに清掃しているシーンが…何の意図かが分からなかった。
演技は、総じて若い役者が多く、一生懸命演じており好感が持てた。今後の公演に期待したい。
あした天気になあれ
パンドラの匣
銀座みゆき館劇場(東京都)
2014/03/26 (水) ~ 2014/04/01 (火)公演終了
満足度★★★★
元気が出る
「病棟を舞台に男達とその家族、 そして看護婦が織り成す可笑しくて、あまりに切なくて… されど自己の再生に懸命に生きる人間模様!」との説明文のとおり。入院中の男性患者4名が入る大部屋での物語。それぞれが抱える悩みや悲しみがジワッと沁みこむ好公演である。男性観客は、いずれかの患者の悩みなり悲しみを経験しているのでは…と思える典型的な設定だけに身につまされる。しかし、公演全体は明るく元気がもらえてうれしかった。
演技は安定しており、テンポも良い。
残念なのは、暗転が多く、その時間も長いことだ。観客としては観る集中力を維持するのが大変だったこと。
鼠小僧
劇団め組
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2014/03/27 (木) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
これぞ大衆演劇!
タイトル通り鼠小僧を主役にした時代劇。まず、劇場全体が江戸時代にタイムスリップしたような作りで素晴らしい。舞台は中央だけでなく、左右の三方から観劇できるよう配置しており、それぞれの方向に花道がある。舞台設営・衣装・美術は凝っていた。
脚本は江戸人情もの、その物語は素直に観て楽しめる。公演時間は約2時間だが、短く感じるほど面白かった。これぞ大衆演劇の真骨頂だと思った。
演技は安定感があり、テンポも良い。
とても堪能しました。
僕はそれを、青と呼ぼう。
姫君
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/03/26 (水) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★
自由自在な展開
精神疾患をよそおい病院に潜入し…と、。このプロットなら妄想・虚言など、なんでもありの展開ができ、結構間口が広く自由自在だろう。ストーリーは現在進行形のみで、過去との交錯や邂逅はなく、進展はシンプルだと思う。最後はある程度予測がつく結末だった。脚本としては凝ったようだが、似たような芝居・映画があるので、もっと奇抜さがあっても良かったのでは。この点は少し残念だ。
演技は若い女性(REDチーム)だけに、勢いがあり、テンポも良かった。虚実錯綜する難しい場面は、熱演しており好感がもてた。今後の公演を期待したい。
どっかこっか
さるしばい
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/03/20 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
面白い!
2本の公演を交互に観ているような違和感があり、なぜと言う疑問符がまとわりついた。しかし、終盤での以外な展開でその思いは氷解する。本当に見事な結末で感動した。プロットは地元の幼馴染による青春ストーリーかと…。基本的にはそうだが、最後はキュンとさせられ、見事な裏切られかたが心地よい。
また、登場人物のキャラクター設定が上手く、役者が見事に演じていた。
ただ、旅行中の若い女性(青春ストーリでない方の重要人物)の心情描写に不満が残った。女性の生い立ちにもう少し切実・緊迫感のある状況説明が必要ではないか。単なるセリフでの説明では感情移入ができなかった。その点だけが残念だ。
舞台設営は見事で、地方の小都市における駅舎(廃線)をうまく作り出していた。音楽等の効果もすばらしく、本当に好公演であった。
学校の催眠室
enji
OFF OFFシアター(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白い!
2時間近い公演だが、面白く見応えがあった。タイトル「学校の催眠室」とは違う舞台美術だ。それは観てのお楽しみだが、結構凝っている。
脚本は当初のものを捨て…、本公演内容へ変更したとか。脚本・演出は面白いが、役者の演技が良かった。登場人物のキャラ設定が十分伝わる演技で、見入ってしまった。当時の斜陽産業の実情、社会状況から、人間の内面(本音)を抉る描写まで、全てにおいて魅せられた。
公演全体はコミック仕立てだが、その底にある問題提起は鋭い。本当に堪能しました。
部屋の中
梅パン
遊空間がざびぃ(東京都)
2014/03/20 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
役割とは…
セリフにもあるが、人は何らかの「役割」を持って生きていると・・・。さて、人命救助に貢献したが、不倫の秘密があり、それを隠蔽するドタバタ騒動が描かれている。人命救助によって「ヒーロー」になるが、それが「役割」なんだろうか?ここでは、職務上の立場による活躍(当たり前の行動だが)と「役割」が混同している気がする。立場が無くなるから奔走する、そんな姿ではないだろうか。「役割」というテーマというか言葉にとらわれ過ぎた感じを受けた。
しかし、ストーリーは面白く、テンポも良かった。何よりも役者の演技(熱演)が印象的だ。今後の公演が楽しみである。
あやしい、人たち
劇団ハッピータイム
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★
やっぱり!
宇宙人がやって来る!ハィ、こういう展開(現代では非現実的)は結末が想像でき、案の定そういうオチになった。それも早い段階で分かったから、興味が少し薄れた。もう少し最後の場面まで引っ張って…。
ストーリーには伏線を持たせ、演出も凝らせたつもりでしょうが、あまりにストレートな状況設定(非現実・妄想感覚)が裏目にでたようである。
演技はテンポが今ひとつ。アクションにしてもスピード感が乏しく、迫力に欠けたと思う。小空間ゆえに舞台スペースを広く、または奥行きあるように舞台設営・美術を凝らす工夫には好感が持てた。
スリアのにくの鏡
UDATSU
小劇場 楽園(東京都)
2014/03/20 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★
パロディが…
「不思議の国のアリス」パロディ…、さぁ不思議物体との戦いが始まる。アクションコメディ仕立てかな。それにしてはスピード感があまりなく、ストーリー展開もテンポが緩いかも。ストーリーは面白いと思うが、それにあった演技(熱演とは思うが)だったか、少し残念な気がする。
さて、本当に戦いを挑んだのか、実は心内面で受容することが必要だとのメッツセージを投げかけた?戦うシーンを見ながら哀しい感情を抱いてしまった、コメディ風なのに。
海を越えた挑戦者たち
劇団俳小
南大塚ホール(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
当時の苦労と挑戦が…
アメリカ統治下における沖縄の高校が甲子園出場を果たす…大変な苦労があったと思う。当時の沖縄における社会状況など、演じられているのを観て、「あぁ、そうなんだ」と思うが、やはり状況の説明に終始したかも…。甲子園出場までの苦労について、もっと球児目線でエピソードを入れて描いてほしかった。公演では案外すんなりと甲子園出場を果たしたように感じる。公演全体を通じて盛り上がりというか、高揚感が今ひとつ…。テーマ脚本は面白い。それだけに、淡々とした芝居で、感情移入できなかったのは残念だ。
昭和歌謡コメディ~築地 ソバ屋 笑福寺~
昭和歌謡コメディ事務局
ブディストホール(東京都)
2014/03/19 (水) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしき昭和がそこに
公演は二部構成で、第一部は芝居、第二部はトーク&ミニ歌謡ショー。芝居は、大宮デン助、藤山寛美を擁した大衆演劇で、観ていて安心する。何しろ、典型的な勧善懲悪・人情もので、泣いて、笑って、心底楽しめた。元アイドル三人は汗だくになりながらも熱演、今後の公演にも期待したい。
晴れのち出動、ときどきヒミツ【終演しました。ご来場ありがとうございました!次回は9月です!】
らちゃかん
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了
満足度★★★★
ユニークな発想だ
乱暴ではあるが芝居を、テーマ性重視か娯楽性に富んだ公演か…大別したら、本公演は後者に当てはまるだろう。表層をサラッとSFコメディ風に仕上げ、とても面白かった。しかし、発想が「特殊生物対策委員会処理課」という仕事のユニークさを表現しつつも、所々に既存の組織にありがちな形式主義(取材許可書を得るまでの盥回しなど)、一方、情報収集のための取材の強引さ、何でもあり…など、風刺もピリッときいて痛快。
卓越した演出と、しっかりした演技が、笑って笑って楽しめる公演にしていた。
なお、個々の役者の演技は素晴らしいと感じるが、芝居は全体のバランスが大切だと思っており、そういう意味では、滑りすぎな面もあり、そこは慎重にしてほしかった。
新しい等高線
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2014/03/11 (火) ~ 2014/03/18 (火)公演終了
満足度★★★★
目を見開いておこう
取材に基づく重厚(役者の演技も見事)な内容で、最後まで見応えがあった。1941年から1945年8月18日までの約5年の民間地図会社(色彩堂)における人間模様。戦時下における地図作成の重要性について、考えもしなかった。今では考えられない切り口で、とても新鮮味が持ったと同時に深い感銘を受けた。
国家による地図の塗り変え、民間地図会社の統合などの問題は、現代でも情報隠蔽・規制に繋がる重要な提起だと感じた。そんなことを考えさせる好作品だ。
なお、特高警察が来訪してあのようなことを語るかどうか…。(ネタばれか?)
罰符
NAKED SOUL PROJECT
space turbo gallery shibuya(東京都)
2014/03/15 (土) ~ 2014/03/18 (火)公演終了
満足度★★★★
濃密な会話劇
2人のデリヘルによる待機室での会話劇。会場は渋谷区円山町にあるバーでの上演。あまりに雰囲気がありすぎて…これも演出だろうか。
まず、芝居は濃密だ。交わされるセリフには専門的な用語も飛び出し、きちんと取材したことを感じさせる。ストーリーは、デリヘルになった動機から始まり、懐疑、妬みなど、人間の厭らしい面が次から次に描かれる。現実なら辟易するところだが、そこは芝居の世界…それもリアルにありそうなシチュエーションで見入った。脚本・演出・演(艶)技ともよかった。
ただ、暗転の時間が長く感じられ、観る集中力を保つのが大変だった。また、舞台設営は、テーブルとそれを挟んで座る椅子が2脚あるのみ。基本的に、客席は2人を真横から見るため、その位置によっては表情が観にくいと思う。待機室という設定であれば、姿見を置くなど小道具にも配慮してほしいところ。
ろだん
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2014/03/13 (木) ~ 2014/03/18 (火)公演終了
満足度★★★★
そうなんだ…
ストーリーだが、不倫・失踪・改ざんなど、いかにも反社会的?な状況が次から次に…。漫才のような掛け合いとアップテンポな進展が心地よい。全体的にコメディタッチで観客を楽しませる。ストーリーがあちらこちらに漂流しながら結末に向かうのだが…、本筋に沿った展開なのか疑問もわく。しかし、公演全体を通してみれば、楽しめたことには間違いない。
ところで”ろだん”って? フライヤーに描かれている人物が「dandy」であり、何となく語呂が似ているような…考えすぎ(笑)