おとなずかん ①今日ほど素敵なショウはない。
ハグハグ共和国
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/09/23 (火) ~ 2014/09/28 (日)公演終了
満足度★★★★
厳封したネタバレ封筒あり
ゲネブロ拝見。
開演前から一人黙々と舞台上を掃除する女性(月野原りんサン)。
既に公演が始まっているかのような演出…、実は公演の一部だったのかも。
人間の煩悩を取り上げた芝居…、と記載すると内容がイメージできてネタバレになる恐れもあるが、その構成力は見事であり単純な結末ではない。
Libido
創作集団Alea
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2014/09/18 (木) ~ 2014/09/21 (日)公演終了
満足度★★★★
モラトリアムから現実社会へ
大学時代の楽しい生活から、卒業して直面した厳しい現実。その後、学生時代の友人との有り触れた付き合いを坦々と描いた話。大学時代は自由気ままな生活を送っていても、社会人になると思い描いていた理想とは程遠い思いをする。まさしく「理想」は「現実」に取って代わられる。そのギャップが大きいほど、社会で生きるには厳しい思いをするだろう。
何の変哲もない日常生活、いつの間にか沈殿してくる澱のようなものが精神を蝕んでいく。そのじわりじわりと追い込まれていく狂気が上手く表現されていた。
その病んだ心を、歪になった舞台セットで表現したのだろうか。客席前列からだと意味なく上方へせり上がったように見えるだろう。客席後方からは、屋上から街を眺める、または飛び降りるというイメージを持たせる。意識しないうちに迫り来る不安・恐怖が不思議と伝わる公演であった。
そう、フライヤーにある乾いた風景に生身の人間が写り込む…そこが現実なのだと主張しているかのようだ。
次回公演は、モラトリアム人間から力強く踏み出し、人間ドラマを期待しております。
300年の絵画と鉄仮面の姫君
KENプロデュース
北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)
2014/09/13 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了
満足度★★★★
大人も子供も楽しめる
「ファウスト」と「アラビン・ナイト」の中で有名な「アラジンと魔法のランプ」を融合したようなモチーフの話である。ストーリーは分かり易く、大人・子供も楽しめる内容だと思う(上演時間は休憩をはさみ2時間50分)。
舞台セットは、城壁を模した二階建を中央に据え、その一階部分の真ん中に場内外への城門が造られている。そして、左右には二階へ上がる階段が付けられ、役者が縦横無尽に動けるよう凝らしている。
また、衣装やメイクも凝っており、ビジュアル的にも楽しめる。
初のミュージカルということだが、多くの女優による中東のダンス(ベリーダンス若しくはラクス・シャルキー)の動きは妖艶で見入った。
公演は、脚本・演出は見せ場の設定、単純な予定調和にしないなど、観(魅)せる工夫をしていることに好感を持った。先にも書いたが、幅広い客層を意識したエンターテイメント…素晴らしかったです。
片恋スパイラル
私立ルドビコ女学院
サンモールスタジオ(東京都)
2014/09/17 (水) ~ 2014/09/23 (火)公演終了
満足度★★★★
元気になる
ルドビコ女学院の公演は、開校前(上野ストアハウス)から拝見しているが、脚本・演出のパターンは確立してきたようだ。そして、演技も上手くなってきており、安定感が出てきたように思う。
この公演は、アイドルが出演しており、彼女達を目当てに来ているコアな観客と、芝居を観に来た観客が不思議と融和して公演を盛り上げている。
また、先にも記したが、演出のパターン…一部と二部との間に“特別ホームルーム”と称し、作・演出の桜木さやか氏が公開ダメ出しを行う。まるでゲネプロを観ているようだ。この観客層の違いやゲネプロ風の緊張感ある演出が相まって、良い相乗効果を上げていると思う。
元気を貰いたい方は、お薦めかも…。
今後の公演にも期待しております。
図書館二居マス
GENKI Produce
笹塚ファクトリー(東京都)
2014/09/17 (水) ~ 2014/09/23 (火)公演終了
満足度★★★★
優しい気持ちになる
市立図書館で起きるちょっとした(図書館にしてみれば大変な)事件を中心に、そこで働く職員と利用者の交流を描いた心温まる話。その内容をしっかり役者が演じていた。脚本と演出が絶妙にかみ合っており、心に響く公演であった。図書館大好き人間としては、実に楽しく観劇させていただいた。
芝居は日常の出来事を坦々と描き、それが本筋になり、枝葉がつくような構成になっている。本を”音読”するか”黙読”するか?たぶん本公演は後者のような雰囲気ではなかろうか。
また、その芝居を支える舞台セットが見事で、本物の図書館の一角がそのまま舞台へ移送されたかのようだ。
些細だが気になることが…
幻書奇譚
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2014/09/19 (金) ~ 2014/09/24 (水)公演終了
満足度★★★★
魅力ある設定
脚本・演出は秀逸。ストーリーは説明に記されているが、ナノ法典を巡る謎、その取扱いをどうするか協議するために招聘された人の急遽実々の駆け引き。ミステリー風な仕立てながら、単なる謎解きでは終わらせないところが素晴らしい。
劇中の激しい議論…その会話の応酬には社会、とりわけ政治・権力に対する鋭い批判が込められている。しかし、それは直接的ではなく、斜に構え皮肉たっぷりに描いている。だからこそ印象深くなっている。
さて、そんな好公演に水を差すようだが、基本的なところで疑問がある。
流刑の島ー監獄の唄ー
平熱43度
萬劇場(東京都)
2014/09/11 (木) ~ 2014/09/15 (月)公演終了
満足度★★★★
怒涛な感じ
「流刑」という刑罰に処せられた罪人の話。この芝居では女性罪人を対象にして描いているが、その女性の扱いには別の意味合いが隠されていた。その真の狙いとは…。
舞台セット、衣装は独特で面白かった。特に彼岸花が咲き乱れていた。そのいわれは、「彼岸(死)」を意味すること。彼岸花の花言葉は、「あきらめ」「再会」「独立」ということで、真さにこの公演を象徴しているかのようだ。
社会・法制度や権力への抵抗という重厚な面を見せながら、その描き方は女性罪人との恋愛が中心になる。硬軟の側面を持たせた内容・演出だが、その行く末は…。
【ご来場ありがとうございました!】「姦~よこしま~」【次回は12月本公演】
ロ字ック
スタジオ空洞(東京都)
2014/09/13 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了
満足度★★★★
驚いた!
オムニバス三話で、シチュエーションは違うが人間(女性)の建て前が崩壊し本音とエゴだけが炙り出される。その過程が実に上手く、というかデフォルメ感が半端ではない
女性の本音会話であるが、下ネタも飛び交う内容に内心「大丈夫か~」と心配した。と同時に普段面と向かって聞けないエグい話、女性の心の内をそっと覗いた感じである。
素舞台、客席は入口側に簡易雛壇になっている。一話は二人芝居、二話・三話は三人芝居で、基本的には会話劇なはずだが…独特な世界観に見入ってしまった。
因みにタイトル「姦~よこしま~」は、女三人による隠微な空間を意図したのだろうか。それであれば、掴み狙いは成功したようだ。
本公演も期待しております。
ねじまき島エレキテル
アナログスイッチ
シアター711(東京都)
2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しかった!
フライヤーの説明を読むと、サバイバル若しくはホラーものかと思ったが、ゆる~いハートフルパンチが、優しく身体を包むように効いてくるような公演だった。
また舞台セットは、孤島にある建物内の雰囲気を作り込んでいた。
本公演は、東京・下北沢と九州・福岡の二都市で公演するという。
【全公演終了しました。ありがとうございました】カムバック!矢板のガールズ♪
らちゃかん
小劇場B1(東京都)
2014/09/10 (水) ~ 2014/09/14 (日)公演終了
満足度★★★★
下北沢公演…さすがです
らちゃかん の下北沢初の公演…素晴らしかった。
地元・矢板の女子高生がアイドルを目指し、その後、紆余曲折を経て20年振りに再会した。さらに…。
さて、らちゃかんらしいハートフルコメディだったが、今まで観てきた芝居と少し違うような気がした。
それはそれで面白かった。
ギンノキヲク 2.5 (第25回池袋演劇祭【豊島区長賞】受賞記念公演)
ラビット番長
コア・いけぶくろ(旧豊島区民センタ-)(東京都)
2014/09/06 (土) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★
シリーズもの…面白い
ラビット番長の人気作品で、今回は第25回池袋演劇祭_豊島区長賞受賞の記念公演(本作はGREEN FEST2013 BASE THEATER賞を受賞+α)である。
舞台は特別擁護老人ホーム「紀陽の里」の入所者、そこに働く職員およびその家族のほのぼのとした”ホーム”ドラマである。芝居は暗くならず、あくまで前向きな展開で、生きる活力を感じさせる。いわゆる”生きる”とは、という深刻な命題を描くのではなく、観て楽しめる娯楽を追及したような芝居である。
さて、近々「ギンノキヲクFINAL」が上演される予定であるから、シリーズものもお終いか?
このシリーズ公演を観ると、なぜか映画「男はつらいよ」を思い出す。こちらは相当長く続いた国民的映画だが、それに通じるところがあっただけに、FINALは残念である。パターンは同じだが、泣き、笑いがあり、最後は感動させる。
先に深刻な命題…云々を書いたが、そうは言っても社会問題(例えば労働環境、介護現場の大変さ)をチクリ!この大上段に構えず、サラリと描きたいことをしっかり伝えるあたりは流石である。
今後の公演を楽しみにしております。
ほだす -刻み続ける時計-
劇団いまそかり。
シアター711(東京都)
2014/09/04 (木) ~ 2014/09/08 (月)公演終了
満足度★★★
説明不足かも…
古書店が舞台で、そこの主人と間借人が織り成す話。
そして冒頭から公演のキーとなる「鍵」が役者の手に握られている。
公演のキーとなるのが、二つあるドアのうち一方だけ選択(開けられる)できるということ。
さしずめ“人生は一度だけ”、ということだろう。
絆す(ほだす)という言葉は、人からの愛情なりでヤンワリ束縛されることらしい。
しかし、本公演は“運命”または“宿命”という言葉が合うような印象を受けた。
どちらにしても人間の渦巻く欲望、エゴ、そして厭世的な面も垣間見えて面白かった。
Unbreakable-アンブレイカブル
演劇レーベルBo″-tanz
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/09/04 (木) ~ 2014/09/09 (火)公演終了
満足度★★★★
壮大な話
パンフに「この作品はあからさまにフィクションです」との注釈が・・・、切実感があるのは、現在の日本が抱える発電エネルギーを確保するため、そのあり方を模索する姿が見て取れるからだろう。
その現実に天使というファンタジー性を持たせ、リアリティ感を和らげている。
それでも本公演は、壮大な人類の未来への考察を描いた叙情詩のように見えるのは自分だけだろうか。
HOTEL CALL AT
メガバックスコレクション
南大塚ホール(東京都)
2014/09/06 (土) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
深淵なるかな
[HOTEL_CALL AT] という古城風のホテルに宿泊した人達の話。
南大塚ホールにセットしたホテルロビーを模した舞台セットは見事である。メガバックスコレクションはいつも素晴らしい舞台美術を見せてくれる。
さて、公演はテンポよく展開するが、実際は時間が止まっているような錯覚を起こさせる。そして、このホテルの宿泊客は、現在の生活環境を語るだけで、その生い立ちや人間性を深堀しない描き方である。
そもそもこの客達は・・・
お披露目~浮気編~
日本コメディ協会
駅前劇場(東京都)
2014/09/06 (土) ~ 2014/09/08 (月)公演終了
満足度★★★★
笑った~
各30分のオムニバス4話。
短編であるが、どの話も「起・承・転・結」という流れを踏まえているから分かりやすい。
コメディの常套であるすれ違い、狼狽、誤解がドタバタとしっかり描かれ、笑い笑いの連続であった。と同時に男性目線で見ていたから、自分がその場(立場)に居るようなドキドキ感があった。
まさしく感情移入していた。
今後の公演が楽しみである。
グレーテルの妹
シアターノーチラス
OFF OFFシアター(東京都)
2014/09/03 (水) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★
少し中途半端かも
結婚をまじかに控えた女性宅に謎の女性が…。
女3人の黒い思惑が透けて見え、そのキッカケを作ったのも謎の女
という設定だから、女性は怖い。芝居は、女性達の思惑・誤解・食い違いによって炙り出される本性・・・、厭らしいブラック・コメディのようで面白かった。
また別の筋として“家族とは” という恒久的な問いかけも描かれていると思うが、車の両輪のごとく、何時まで経っても“女性の思惑” と “家族とは” が明確な意思をもって交わらず、中途半端な演出になった感がある。
少年口伝隊一九四五
劇団天動虫
pit北/区域(東京都)
2014/09/01 (月) ~ 2014/09/02 (火)公演終了
満足度★★★★
朗読劇から…
井上ひさし氏が、新国立劇場研修所の研修生のために書き下ろしたのが「少年口伝隊一九四五」である。
この芝居は朗読劇であるが、今回は女性6名による動きも取り入れた公演に仕上げていた。自分が見た回は、会場が狭いこともあるが満席でトラブル席も使用したと思われる。その観客に応えるため汗を滴り落としながら熱演していたのが印象的である。
なにより自分が感動したのは、若い女優がこの題材を選んだこと。そして、役者を代表してジョニーさんが、
「この舞台のため広島原爆投下の8月6日、長崎原爆投下の8月8日、そして15日も稽古に励み、覚悟をもって公演した」 と述べたことには感動した。
芝居に関してはいくつか・・・
CHANGE
f.tプロデュース
Geki地下Liberty(東京都)
2014/09/03 (水) ~ 2014/09/08 (月)公演終了
満足度★★★★
恋愛シチュエーション
ありそうな恋愛シチュエーションの三様態を別々に描き、微妙に交錯しながら展開する物語。
脚本・演出は藤原珠恵氏で、だからなのか女性の立場・視点による描き方だと思う。そこに登場する女性は精神的に強く、またしたたかである。
しかし、心底は優しくどこか愛らしい。やはり女性演出家の応援メッセージが込められている、そんな印象を受けた。
さて、公演の舞台セットには驚いた。舞台はBarの店内であるが、その装飾は見事であった。上手がカウンター、中央にテーブルセット、下手は自由空間という配置で、場面状況に応じて利用する場所を変えるが、その演出は妙である。
そこで繰り広げられる恋愛とは・・・。
マナナン・マクリルの羅針盤
劇団ショウダウン
シアター風姿花伝(東京都)
2014/09/05 (金) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
群像劇ではない
京都生まれの大阪育ちの劇団が、その大輪を咲かせようと東京・池袋演劇祭に参加した公演である。
実質2時間10分(途中休憩10分)の一人芝居を二日間7公演行うという。自分が観た回の公演時には、観客がお揃いのTシャツを着、客席中央に陣取っていた。
それだけ愛された劇団の公演は見応え十分であった。
UNKNOWN HOSPITAL
壱劇屋
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2014/08/30 (土) ~ 2014/09/02 (火)公演終了
満足度★★★★
難解かも
舞台の雰囲気はオドロおどろした感じで掴みは上々だったと思う。
しかし、その後の展開は難しく、混乱してしまった。
また、関西の劇団ということから公演途中で“笑い”をとる場面があったが・・・公演の流れが滞ったように思える。