満足度★
色々ともったいない
一つの家族を中心に絆を描いたヒューマンドラマ。
脚本の発想は面白い。
ネタバレBOX
脚本の構成がところどころ破綻しており、キャラクターも魅力的に見えなかった。
人間が受け止めきれない悲しいことや苦しいことが起きた時にその感情が具現化するという発想は面白いのにそれが活かされきれていない。
ラスト、主人公と主人公の父が亡くなった時に生まれた心の叫びが別れる(?)シーンはとってつけた感がひしひしと伝わり、おそらく感動的なシーンとして描きたかったのだろうがそうは思えなかった。
何よりラストシーンが薄すぎて、それがラストシーンなのかわからず不完全燃焼に思えてしまう。
父親の心の叫びが父親の日記を朗読するシーンでは、感情をこめすぎていて逆に引いてしまった。
主人公の心の叫び(なるみ)が振りまわしていた包丁が本物のように見えて、客席に飛んでくるんじゃないかと怖くなり、まったくシーンに集中できない。
人間の板前を演じていた人と主人公の姉を演じていた人は演技力も高く、役の一貫性もあり、安心して観れた。
主人公とおかっぱのバイトの子は完全にアイドル芝居で、主人公に至っては本当にこの物語の主人公なのか疑問が残る。(これは脚本の問題だが)
色々と荒い部分が目についてしまい、観終わった後物足りなさを感じてしまった。
せっかくいい役者を何人か使っており、脚本の発想は面白いのに全体的な作りの荒さと明らかな稽古不足感がそれらを台無しにしてしまっている。
色々ともたいないと思った。