無意味な花園
空想組曲
サンモールスタジオ(東京都)
2014/09/02 (火) ~ 2014/09/07 (日)公演終了
満足度★★★★
最終日観劇
これまでのほさかさんの作品とは一線引いたような作品だった。
陰と陽、陰があるから陽がある、どちらも等しく価値があり優劣がなく二つで一つ、好きな男の前ではそんな二面性を垣間見た姫沼先生の対応の端々に自己投影する場面がなきにしもあらず(苦笑)。だけど、友人だったらそれで良いの⁉︎と説教かましたくなったり。彼女の場合、肝心の女友達がいなさそうだけど。歪んでいっているのに正常心を保ち、年下女子に言い放つ発言の迫力は年上女としての凄みがあり。年代的に姫沼先生よりなので見ていてどうしても彼女視点で見てしまったが、彼に対する行為は素直な恋心なのか接した上での同情なのか、それとも憐れみなのか、と同時に、2人は相互感情で陰鬱と落胆を補い、そこが却ってうら悲しさや慈しみの姿として浮かんで見えた。
真面目に生きてる人はなぜか虐げられる世の中、そんな劇中、赤ペン先生もとい佐川先生の存在が良心に思えた。
出演者4人とも素晴らしかった。
不揃いだけど激しく繊細で美しいラストでした。
ハエのように舞い 牛は笑う
はえぎわ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★
タイトル通り
15周年おめでとう。終演後、松尾スズキさんゲストのアフタートークあり。
いろんな形の小話が連なって、家族愛や兄弟愛の出来事や、平坦な台詞でも劇的に言えば印象も変わるなーと。
耳に残りやすい楽曲と生演奏は心地よかった、乾いた笑いにナンセンスさ、牛乳の件は日本人は胃腸が弱い、の言葉を思い出したが、目覚めたら一体何の夢を見てたんだろ?と思うような舞台だった。
今回はちょっと長く感じた約2時間+AT約20分。
アフタートーク、ネタバレ会話あり。
安部公房の冒険
アロッタファジャイナ
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了
満足度★★★
欲望の方が勝っていた印象
個人的に安部公房氏のイメージは、劇作家より小説家の印象。
舞台内容がどこまで真実なのかは不明だが、この舞台では妻より愛人(この例えが妥当かは微妙だが)目線。それゆえ奥さんの存在がやや不憫。
不倫相手の成長と作家晩年まで淡々と進行したメロドラマと思えばよかったのか。火宅の人とは異質なダメ男にも思えたが、実際接するとそこがまた魅力的に見えて来るんだろうな。
縄田さんの演技や、赤と白の対比させるような衣装、簡素だけど整然と見える配置の舞台セットが印象に残った。約90分。
有馬の家のじごろう
劇団AUN
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2014/08/20 (水) ~ 2014/08/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
よか舞台でした。
普段はイギリスの王様やローマの貴族的な役柄が多い劇団なのに、今回は近代日本の薩摩の一家族の物語。
元九州人(非・薩摩)としては祖父母の昔話として、親戚が集まるとその手の話をよく聞かされていて、朧げながら馴染みある内容だったので、なんだか遠縁のご先祖話を見ている感覚に。
舞台連投の鋼太郎さんの出番の多さにも驚きだけど、その時代の優しいけど、ひ弱でない薩摩隼人のその性格がいかにも次男坊らしい態度の谷田さんや大塚さんの器の大きさが引き立つ役がまた似合う。今では偉人の類いの西郷さんも、武勲挙げた立場とはいえ、その当時はまだ巷の有名人扱いに、今だったら誰に当てはまるんだろうとよけいな事考えたり。
日本、薩摩という地に蓄積された戦の歴史は、この話で完結の願いもあるのでは。最後の場面で涙腺崩壊してしまった。
いい舞台でした。休憩込み約3時間。
痕跡 〈あとあと〉
KAKUTA
青山円形劇場(東京都)
2014/08/10 (日) ~ 2014/08/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
最終日観劇
極普通に暮らし細やかな暮らしの中で支え合って生きがいを見つけ、悔悟と一期一会の出来事を繰り返す、それが人生の機微というか。華美さはなくとも様々な年輪が蓄積し気づけば自然に涙が零れそうになる。
様々な夫婦の愛情の形、これから共に歩みだそうとする2人の容易ではない今後、「見ちゃったから」ほっとけず「聞いちゃった」という行動の生きる事への正義感の持ち方等々。
いろんな事を詰め込み、それらを突きつけられ複雑な思いになりつつも、良い余韻の痕が残った素晴らしい舞台でした。
カズオ/斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの
オーストラ・マコンドー
ギャラリーLE DECO(東京都)
2014/08/07 (木) ~ 2014/08/17 (日)公演終了
満足度★★★★
Aプログラム:カズオ観劇
両作見たかったが、都合により「カズオ」のみ観劇。
客席100人に満たない狭い会場をパワフルに走り回り、踊り回り、ジャレあったり。子供から老若男女、等々、役柄を上手い事切り替え演じる若手女優2人のライブ感満載のガチンコ芝居。
切り替わりが多さが変化がまた上手、単純明快で力の抜いた奇妙なコメディ作といえば良いのか?。最後の場面の2人の台詞の純粋さにまた魅了された。やる方は大変だろうが見ている方は面白かった。約110分。
大人の新感線『ラストフラワーズ』
ヴィレッヂ
赤坂ACTシアター(東京都)
2014/07/30 (水) ~ 2014/08/25 (月)公演終了
満足度★★★
話を取るか、役者を取るか、で楽しみ方も違ってくるような感じ
真夏のお祭り興行。
前半から、いい大人が動き回るわ、奇抜な行動ばかり見せつけるわ、畳み掛ける馬鹿丸出し世界観。
松尾ちゃんは一体どこで出てくるんだとやきもきしたが、いのうえさん仕様の松尾ちゃん、無様で男っぽくて面白くて良かった。でも出演人数配分で分けると、この役者さん、もっと出番があってもよかったのに、と頭に思い浮かべながら見ていた場面もあったり。
普段ならPOPさとは対極な位置にいそうな松尾作品。新感線側と大人側で役柄シャッフルしても違和感なく成立している世界にも感心したが、話自体は擬似感ある展開で毒っ気も中和されていたような印象。
源ちゃんの歌声を聴けて、ついラッキーwって思ったり。ダンスの振り付けは新感線風だなーと見えたり。
休憩25分含む、約3時間30分。
【不帰の初恋、海老名SA】【カラシニコフ不倫海峡】
MAパブリッシング
ウッディシアター中目黒(東京都)
2014/07/29 (火) ~ 2014/08/01 (金)公演終了
満足度★★★★
「カラシニコフ不倫海峡」15時の回
川口覚&ハマカワフミエ版を観劇。
大小様々な形のキャンドルに彩られた中、その灯りをぼんやり眺めながらステージ上では読み手2人が座り込、文面を読み進める。
前回の公演(草月ホール)より劇場規模も小さいが、この作品についてはこのくらいでちょうど良いと思う。
「〜、海老名SA」より、内容も成熟しているように感じたが、読み手2人の息づかいや、男と女の微妙な思考の距離感等、読み進めるうち悲劇とはまた違う感情の変化の会話世界に入り込んでしまった。2人ともよかった。
窓に映るエレジー
ジョンソン&ジャクソン
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2014/07/24 (木) ~ 2014/08/06 (水)公演終了
満足度★★★
くだらないのにジーンとくるのはなぜw?
笑い控えめなのにくだらなさとゆったり感がベストナンセンス。
男と女のおふざけ加減、成志先輩の存在の揺るぎなさ、哀歌とはこういう事なのな。毎度の事ながら成志さん池谷さん村岡さんの歌上手!大倉バンドマンも必見。
この手の芝居に感想や説明する行為は野暮なのかもしれないけど、くだらないけど最終的にジーンときて面白かった。でも、ちょっと長かったかな。約2時間。
「廃墟の鯨」
椿組
花園神社(東京都)
2014/07/12 (土) ~ 2014/07/23 (水)公演終了
満足度★★★★
最終日観劇
水飛沫を大量に浴び泥塗れになりながら戦後直後のヤクザ、娼婦、耳つんぼ、市井の人々の地獄絵図から熱気と生命力に溢れた、ダイナミックでロマンチアングラ劇でした。
配役の設定に多少の荒さのようなものも感じたけど、面白かった。
平日千秋楽で飲み会参加なんて無理、なので大人しく帰宅せねばならないのは残念w
河童
DULL-COLORED POP
吉祥寺シアター(東京都)
2014/07/18 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★
緑色な世界
原作未読。音楽劇とあり楽曲は聴き易く、照明も和風の妖しさで気を惹く。20人近くの配役にそれぞれ意味合いがあるので、それがある為か、やや長く感じられた。
人間と河童界、中盤の道徳観の異文化交流のような展開から、自分で理解するのに多少わけわからん状況になってしまったが、終盤でようやく話が理解できた感じ。
夢か現か幻か、まるでファンタジー。尻子玉抜かされた気分。
休憩時もイベントあり、約135分。
ビタジルダ
サモ・アリナンズ
駅前劇場(東京都)
2014/07/16 (水) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★
初日観劇
6年経ってもガッツ団!終始ゆる〜い空気に包まれてグダグダも変わる事ないサモアリらしさ満載。小道具やセットも変わらずかわいい。
場内満員、遅れてくる客誘導の合間もあの人達がショートコントで盛り下げるような上げ方も変わらず。
これぞサモアリ、話の筋はあることにはあるけど、まじめに見ると損をするような小学生の教室感覚を久々に思い出し、ゆるゆると楽しかった。
初日、約95分。
おとこたち
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
良い舞台だったなぁ•・・
いつもの調子で男子4人がふざけて笑わせながら成長し、自力で生きていく、という人間の根幹の話。
劇的な何かがあって、話の空気が変化するでもないのに、見ているこちらに、じわりと老いを自覚させ、終いには涙腺までも刺激する。泣かないつもりだったのにw、深く胸を鷲掴みされ、こっちもこんな生き方してすみません、と誰かに謝りたくなる。
今後の自分の人生に於いても、こんなに良い舞台、あと何回見られるだろう。約2時間。
鎌塚氏、振り下ろす
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2014/07/04 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★
良質なコメディ舞台
鎌塚氏シリーズ第三弾、旧作の話題も話のコシを折らない程度にあり。毎回最後にタイトルネタあかしは今回も適用。ナイーブで変人公爵は今回も良い、堂田夫妻ゴージャス感増強し小物感たっぷりで面白い、執事と女中の恋愛模様はマイルド、次に繋げるんでしょうか。鎌塚氏父の絶妙な台詞廻しと執事の仕事ぶりはまるで素でやっているようにも見えた。
アカシ執事の所作の動きと格闘は綺麗、今回も舞台はよく回った。
約2時間。
てんぷくトリオのコント
こまつ座
あうるすぽっと(東京都)
2014/06/19 (木) ~ 2014/07/06 (日)公演終了
満足度★★★★
芝居を見る幸福を感じた
井上氏の初期のコント作品から、劇作家転向のキッカケ、こまつ座父娘(麻矢さん)話、演芸と井上戯曲の珠玉の台詞が上手い具合に脱線せず絡みあい、この辺は芝居としてもっと見たかった。コントの相互場面で芸人さんがツケ打ちを見せたが実に上手い‼︎それには感心したが、肝心のコント場面になると面白さが半減したネタが幾つかあり。井上氏の台詞の重要性の意思を継ぐのもいいが、舞台も生き物なので昭和のネタが平成の時代状況にあっているかは微妙。
タイトルはちゃんと覚えていないが、「歌舞伎入門」と「死刑台の男」が面白かった。
和田誠画風の井上氏=山西さんと杉山さんの熊倉さん激似!
楽しかった。
「庭にはニワトリ二羽にワニ」 「キニサクハナノナ」
せんがわ劇場
調布市せんがわ劇場(東京都)
2014/06/14 (土) ~ 2014/07/01 (火)公演終了
満足度★★★★
声色の豊かさに聴き惚れる
キャスト登場時から、小ネタを見せてくれる幕開け。
それぞれ約30分程度の作品だが、後方に映像を映し出しその前でキャスト4人(後半3人)が単なる読み聞かせではなく芝居を合わせ、ピアノ伴奏で歌ったり。
話の面白さや聴き易さ、それぞれにあった衣装等、とても工夫した舞台で楽しめた。
今回の企画、当初は花組芝居の水下さんが演出予定だったそう。志賀さんが演出を引き継いだ形の上演となったが、とても楽しかった。
公演時間中、東京都内に雹が降った時間帯で、雨(雹)音も激しく聞こえ多少気になったものの、演者さんの声は支障なく聞こえました。
約80分 (休憩15分あり)
毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」
鵺的(ぬえてき)
小劇場 楽園(東京都)
2014/06/12 (木) ~ 2014/06/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
A:定や、定 観劇
Bプロ観劇から数日経過し、あが定版観劇。
ハマ定版同様、テンポ良い話だったが、定と正直のやり取りは「喜劇阿部定」とタイトル変えてもいいくらい笑えた。時々切なくなったけど。
男が若き日の定との交流を噺家のように語り尽くし、行き着いた先は、父性が芽生えたんだろうか。
どちらの定さんも魅力的で迫力あってチャーミングだった。
面白かったです。約70分。
毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」
鵺的(ぬえてき)
小劇場 楽園(東京都)
2014/06/12 (木) ~ 2014/06/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
B:昭和十一年五月十八日の犯罪 観劇
ハマカワ版の安倍定。
226事件から間もなく起きた事件で、逮捕後の取調室が舞台。面白かった。約70分。
サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2014/06/11 (水) ~ 2014/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
国を思う気持ちや誇り
100年前の世界地図を頭の片隅に思い描きなから、世界昔話を見てたような錯覚。登場人物名も特有の「〜ヴィッチ」名義で、すぐに覚えられないせいもあり事象を追いかけてるうちに終わってしまったが、このお話では、主に青年チームに重点を置いて見てた。
その中でもポポヴィッチの西尾さんとチュブリロヴィッチの岡本さんの瞬時に役を切り替える上手さは見事だった。
国を思う熱意が妄信に変化させるような愛国心を煽る方法は嫌いだが、ラスト場面は現代の世論みたいだなぁと思ったり。
気の緩む隙を与えない舞台だった。
約135分。
毒舌と正義
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/06/06 (金) ~ 2014/06/12 (木)公演終了
満足度★★★★
話し合い
高校の修学旅行先で起きた生徒達の問題行動、それに対応する様々な立場の引率教師達。宿泊先のホテルの一室で各々集まり会議、また会議。
学校法人の有名進学校から同系列の底辺校に移動させられた阿久津先生を主軸に話は進む。前任校の事件と交差するので、その疑問が解明されるまで最後まで気が抜けない舞台でした。舞台中央を囲む、椅子の配置等も面白い見せ方と思った。もー、教師って大変!って実感した。
阿久津先生と実藤先生の叩きあいは見ていてハラハラしたが。このメンツの中で若い先生たち、奮闘していたと思う。
約110分。