パイレーツ・オブ・トレビアン2
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/16 (木) 19:30
座席H列7番
価格3,500円
#パイレー2
オカルト風味海洋冒険活劇のキモをきちんと踏まえた上でそこにユルさやおバカな小ネタを絶妙な比率で加えて一級の(褒めすぎか?(笑))娯楽作に仕立て上げる安定のノーコンクオリティ。
楽しみながら創り楽しんで演じているのが伝わってくるさまは「他人の鑑賞に堪える大のオトナの精緻なごっこ遊び」といったところか?(もちろん良い意味)
ロンギヌスの槍
風雷紡
d-倉庫(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/15 (水) 19:00
価格3,800円
昭和史に残る事件に想を得た、演説会で政治家を刺殺した女子高生の取調べを中心に据えた会話劇……いや「取調劇」と言ってもいいか?
そして、政治家刺殺に至る過程を解き明かすサスペンスの中に昭和中期の世相を色濃く漂わせると同時にイマの社会への警鐘も鳴らし、さらに親子の情や兄妹愛(?)も練りこむのはいかにも吉水脚本?
ただ、タイトルにも出てくる聖書関連の部分は「何となくワカったような気がしながら実は全然ワカっていない」かも?(爆)(吉水さんは執筆にあたり聖書を勉強されたとの由)
また、本作にしてもオフィス再生「二十歳の原点」にしても当時の若者の何とオトナなことよ! 同世代どころか今の自分と較べてもオトナな感じ。しっかりしていたんだなぁ。
あと、舞台上の装置を目にしていかにも袴田さんらしい部分にニヤリ。本当に窓のモチーフがお好きなこと。(笑)
「天守物語」〜夜叉ケ池編2018〜
椿組
花園神社(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/07/12 (木) 19:00
入場してまず気付いたのは夏恒例の花園神社野外劇としては異例の(私見)きっちりとした装置。確かに天守閣だかの設定とはいえテント芝居には不似合いというか終盤で後方の明治通りを借景にする演出は?などと余計な心配をしてしまう。
で、中心となる天守物語は2008年10月にアサヒアートスクエアでCOLLOL、2010年7月にテアトロ・ド・ソーニョ(現・シアターノルン)で舞活道 自由童子によるものを観ていたのだが、今回も含めてその内容ゆえ(?)独特な演出が多いな、などと思いながら観ていると、しっかりした装置は罠(笑)であり、クライマックスの屋台崩しで明治通りの借景は健在、やっぱりそうでなくちゃね。(笑)
ただ、ラストの布での水の表現(それはそれで見事だったが)に「せっかくのテント芝居なのだから本水を使えば良いのに」という声があるのも理解。装置と併せてどちらかと言えば一般の劇場での上演に近かったのはちょっと残念。
なお、紀保さんの登場時に大向う(?)から「高麗屋ァ!」と声が飛ぶのは想定内だったが、田渕さんの時に「たこ焼き屋ァ!」と飛んだのは予想のはるか外でワロタ。
ナイゲン(2018年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/08/10 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/10 (金) 20:00
価格2,000円
演を重ねられる演目というのは変わらない部分と新しくなった部分がそれぞれあり、何度も観ることに耐えうるものだ、などと思った。
今回印象的だったのはどさまわりの迫力。最上級生があれだけ強く主張したら下級生は(同学年でさえも)委縮するよなぁ……というのが如実に表れていて。発信側(どさまわり)も受信側(他の全員)もアッパレ!
ただ、もちろんそれはそれで良かったのだけれど、シアター・ミラクルにしては声のボリュームがデカく(もちろん激高して声が大きくなるのはワカる)、「静かな語り口だけれど他を圧倒するナニカがある」演出のどさまわりも面白いんじゃないか、それも観てみたいぞ、と思ったのだった。
夏祭り企画第三弾〜「夏めいろめいろめいろ」
制作「山口ちはる」プロデュース
小劇場 楽園(東京都)
2018/08/08 (水) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/08/09 (木) 19:30
価格3,300円
まずは劇中劇として短編が上演され、その関係者の日常(?)が本編として描かれる構造。
出だしの劇中劇部分にしてもそれに続く本編部分にしても小林光ど真ん中、な印象。特に小林光流「恋愛版・星の王子さま」、な本編は以前の恋愛監獄に続く恋愛シリーズ第2弾、的な。ただ、劇中劇パートと本編パートがさほど密接ではないようなのが惜しい。
こちらが王道的小林光作品で同じ下北沢のシアター711で期間がカブって上演されていた短編+中編は「こんなのもできますよ」といったところか。
悪い芝居vol.20.5『アイスとけるとヤバイ』
オフィス上の空
ブディストホール(東京都)
2018/08/08 (水) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/09 (木) 14:00
座席E列4番
今まで漠然と抱いていたイメージと異なり、公表された情報からの想像とも異なってコミカルだったがむしろ愉しくて満足。
で、全体的に既視感(というか具体的は浮かばないがどこかの作風に通ずる雰囲気)があったのは、関西小劇場のノリだろうか?
ところで、冒頭のシカケは好きなヤツだし、少し後ににその応用編もあるんだが、あれってヘタすると「第二の新宿眼科画廊事件」だよね。(笑)
涼風至る
Minami Produce
ギャラリーしあん(東京都)
2018/08/04 (土) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/08 (水) 19:00
価格1,500円
【夏祭り編】
滑稽噺1編に人情噺2編の「立体落語」。
演じ手の江戸ことば(と言うよりは江戸弁?)と「間」が噺家ばりの完璧さで「いかにも落語の世界」を感じさせ、地の語りを演じ手が随時担当するのもイイ。
また、半間×二間(?)の緋毛氈が板間をちゃんと畳の間などに思わせるし、洋物に和物を羽織る衣装やメイクも雰囲気を出していたし、大満足♪
涼風至る
Minami Produce
ギャラリーしあん(東京都)
2018/08/04 (土) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/08 (水) 14:00
価格2,500円
【蝉時雨編】
太宰のテキストに演者たちの「朝起きてから稽古場に来るまで」の様子なども交えながら時に静かに時にリズミカルに進行するさまは言葉で奏でるコンチェルト・グロッソ「太宰治「女生徒」の主題による変奏とフーガ」。
南さんによると音楽を意識したそうで(カテゴリは違ったが)当たりぃ♪
客入れ時BGMがカバー曲集で、アーティストも曲もバラバラだったのだけれど、わざわざ作ったのかしら?それともそういうCDがあるのかしら?
情熱の地図
劇団ペリカン
劇場HOPE(東京都)
2018/07/26 (木) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/07/27 (金) 14:00
座席E列4番
価格3,500円
前2作の青春もの系とは趣を異にした(作家も違うし)冒険ファンタジー路線。
事前情報からRPGっぽさを予期していたが、いざ観てみるとむしろ「オズの魔法使い」に近いイメージ。
もちろんアイテムを集めてゆくというRPG的な部分もあり、そのような内容ゆえ過去2作にはなかった衣装・メイクも見られ「こういうのもアリなんだ」な感じ。
そう言えばあまり「不協和音」は感じられなかったか?
最高の一揆
希望の星
d-倉庫(東京都)
2018/07/12 (木) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/14 (土) 14:00
価格3,000円
原因は違えど3年連続での不作に苦しむ農民たちが一揆を起こす物語。
為政者側に一揆を示唆する人物がいて農民想いかと思ったが、後から考えると主君の失脚を狙ったのかも?(笑)
で、一揆の目的は相手を殺すことではなく「人民の声を伝えること」という台詞に何となくイマの政治状況への皮肉を感じたりも。
あと、冒頭の異種格闘技戦のような殺陣も良かった。
プロポーズ難民
ピヨピヨレボリューション
吉祥寺シアター(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/20 (金) 19:30
座席D列4番
婚活セミナーのとある1コマでの顛末。ピヨレボ史上最長の上演時間であることに加えピヨレボ作品では定番とも言えるイベント性パートを敢えて排し物語性に特化したことに加え、一部のキャラの成長・覚醒(?)が描かれていたり(いや、これは毎回か?)楽曲の使い方が進化していたりと、一つの完成形ではないか?と思った。
また、この回のアフターイベントであるダンスバトルもツカミはオッケーな色物系(爆)(三人祭「チュッ! 夏パ~ティ」)に始まり歌詞内容をドラマ仕立てにしたもの(山口百恵「絶体絶命」)を経て魅了のソロダンス(キアラ・セトル「This Is Me」)と半端でない内容で堪能。
夏祭り企画第二弾〜「外呑み親善大使/誰もみたことない絵本」
制作「山口ちはる」プロデュース
シアター711(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/02 (木) 19:30
価格3,300円
「外呑み親善大使」
とある名作の本歌取り(約70分)。多少突飛ではあるがなるほどそうなるか、なアレンジが楽しく、いわば往年のプログラム・ピクチュアのような無難な仕上がり。
「誰もみたことない絵本」
小林光作品としては異色? 意外にも(失敬!)詩的というかリリカルというかな感じに「菊次郎の夏」を連想したのはピアノ曲を使っていたせいもあるか?(約35分)
福島三部作 第一部「1961年:夜に昇る太陽」
DULL-COLORED POP
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/25 (水) 14:00
価格3,700円
1961年、原子力発電所建設のための用地買収交渉を受ける家族の物語。
クライマックスとなる交渉場面はその後の震災による事故を知っている身としては「ダメだダメだ、そっちに行っちゃダメだ!」とやきもきするし東電側が悪役のような気もするが、当時は誰しも「新エネルギーによる明るい未来」を信じており事故の可能性など全く考えていなかったのだろうと思うと複雑な気分に囚われる。
また、余所者に対すして警戒する小学生たちや大学卒業後に帰るのではなく東京で暮らす決意をする若者など、昭和真っ只中の人々も描かれてタイムトリップ感覚を味わったりも。
あと、交渉場面で子供役の人形を操っている井上さんの表情が、いかにもそういう場に居合わせた子供のそれなことに感嘆。
self document 01
早坂企画
アトリエ春風舎(東京都)
2018/08/03 (金) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/08/03 (金) 19:30
価格2,500円
身体表現のハヤサカ、理屈を捏ね回すの巻?(笑)
「そんなことを言葉にして語るのは演劇として野暮の骨頂」などと思った時点ですでに術中に落ちているのではないか?「そもそも芝居において……」なんて考え始めたら堂々巡りから抜けられず、命題がゲシュタルト崩壊を起こす、みたいな?
奇手奇策によってケムに巻かれた感覚。(爆)
オールアップ
フロアトポロジー
六本木ストライプスペース(東京都)
2018/07/31 (火) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/02 (木) 15:00
価格3,500円
映画撮影最終日の控え室での人間模様、「あー、業界ってやっぱりそうなんだ」な誤解を招く(?)こと必至なビターコメディ。
主演女優とメイクさんとグラビア出身女優の三つ巴やらベテラン女優と小道具さんやらの火花散るバトル(!)やそれらに振り回される(時には当事者でもある)助監督のさまを安全な対岸から観て笑い飛ばす悪趣味な観客(爆)……という構図はありがちながら人物設定の細部が利いているし、演者はそれをリアリティをもって体現するので説得力がある、みたいな。
また、真ん中に階段のある会場、上階で撮影をしている設定として「よぉ~い、ハイ(カチンコ音)」「はいオッケー(カチンコ音)」などの声が降ってくるという使い方も巧い。
映画業界版ショウ・マスト・ゴー・オンとも言え、面白かった。
夏祭り企画第一弾〜「真夏のカーニバル〜再来〜」
制作「山口ちはる」プロデュース
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/01 (水) 19:30
価格3,500円
とある演劇公演の稽古場、一般公募(?)のマダムチームと現役役者のヤングチームとの間には時折微妙な空気が流れ、そして……な物語。
初演時にも感じたが、やはり倉本作品としては異色。ベタで熱血って他にないのでは?
が、賑やかさや華やかさはたっぶりで「夏祭り企画」にはうってつけかもなぁ。(笑)
最後に役者を一人ずつ紹介するのも「青田買い」には便利でヨイ。(爆)
草苅事件
しむじゃっく
高田馬場ラビネスト(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/22 (日) 14:00
価格3,000円
とある文学賞の発表記者会見、覆面作家である受賞者の代理人として女性占い師が登壇したことで会見は紛糾し……な物語。
「まんまじゃん!(笑)」な淺越さんを筆頭に人物の造形・表現が愉快で、文学界の一部にケンカを売ってないか?な文学賞への揶揄にはニヤニヤする一方、安心して「順路」をたどっていたら、あるところで急にその通路が溶けだして膝あたりまでズブズブ沈んでしまうような感覚が快感。
「メビウスの環」「クラインの壷」を想起させる構造の物語がお好きな方には特にオススメ♪
ボックスプログラム
劇団Bケイカク
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/29 (日) 17:00
価格3,000円
【Pチーム千穐楽】
BチームとはMUで言うところの「(ほぼ)反転」、配役が男女逆な他にラストが異なる。
その最終場、「ある結末」の少し前(P)と少し後(B)とも取れるが、それぞれ相手を「駆逐した結果」と深読み(誤読?)することができるのがまた何とも。
また、「管理された共同体」という点において、この前夜に観たオフィス再生「猶予された者たち」(エリアス・カネッティ原作)と通ずるものを感じたりも。
ボックスプログラム
劇団Bケイカク
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/29 (日) 13:00
価格3,000円
【Bチーム千穐楽】
服役中の受刑者を想起させる個性を消した面々が作業に従事する現場に1人の異色な人物が加わったことで起こる波紋……。
極めて実験的な作品、娯楽要素は無きに等しく賛否両論というのもむべなるかな。(笑) 個人的には「面白い」というより「興味深い」。
1940年代前半にドイツの心理学者がユダヤ人たちを被験者として行った実験を基にした、と言われると信じてしまいそう。管理された共同体に自由人を放り込んだら「壊れる」のは共同体か自由人か?的な。その意味で「カッコーの巣……(をこえて/の上を/の上で)」も想起。
また、出だしは抑揚がなくロボットのように言葉を発していた面々が人間性を取り戻すかのように普通の喋り方になるが、また抑揚がなくなってゆく台詞回しの変化も上手い。
Minimal Magic Orchestra
天幕旅団
すむぞう外苑前スタジオ(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/21 (土) 12:00
価格2,300円
【鏡の奥のジムノペディ(渡辺実希ver.)】
長年住み続けた末に売却した元・自宅に3週間も潜んでいる双子の兄のもとに大阪に栄転した妹が訪れ……な会場へのアテ書きの新作中編。
幼いころから住んでいた家への愛着、双子の兄妹の互いの想いなどが木肌を活かした会場に雰囲気と相俟って伝わり優しく温かい気分になれた。
実は双子のどちらか一方、あるいは二人とももう死んでいるのではないか?と誤読。いやそれ、個人的に好きなパターンだけれど、天幕旅団じゃあそういうの、やらないよね?(笑)