Nessun dorma
かはづ書屋
エビスSTARバー(東京都)
2024/06/20 (木) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/23 (日) 13:00
前半の「夢がたり」は擬人化された虫や動物の語る内容が当時の世相を皮肉ってシニカルでラストはブラック。4人の役者の複数の役の演じ分けが見事。
後半の「大いなる不眠」は「いかにも柳井脚本」な理屈っぽさ(笑)を堪能。
また、帰ってからWikipediaの「大いなる眠り」「三つ数えろ」の項で補完してあれこれ納得。それにしても「ストーリーは分かり辛く矛盾も多いとされる」と評されるとは……(笑)
きく
エンニュイ
アトリエ春風舎(東京都)
2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/22 (土) 13:00
主題が提示され別の主題が現れたり主題の変奏があったりソロや合奏があり最初の主題に戻り……という「言葉/台詞/会話による交響曲」、5年前の初演と較べて歌や漫才(?)なども加わって多彩な展開となり、初演が「デッサン」ならこちらは「油彩画」な印象。
ちなみに前日観た同じく「会話とは?」な劇団普通の作品はタイトル通り「水彩画」であり、先述の音楽の喩えで言えば室内楽か。
が、これだけ対照的なな2作品、「物語」ではなく「状況とそこでの会話」を描いているのが共通。「会話とは?」を演劇で表現するとそうなるのかしら?
水彩画
劇団普通
すみだパークギャラリーささや(東京都)
2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
茨城県内のカフェでの二組の客(親子二代の夫婦ともう一組の夫婦)6人による会話劇。
一方の会話が途切れた時にもう一方の会話が始まるように上手く組まれているが「会話の中の沈黙」もテーマということで大いに納得。
そして近しい間柄ゆえの妙な気遣いや無遠慮さから生じる気まずい沈黙などリアリティがあって身につまされる……ってか身に覚えアリ。
で、互いにもう一組の会話も聞こえてしまっていそうなのが気になったりも。(笑)
キネカメモリア
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/20 (木) 14:00
かつては三館あった映画館が一館だけとなってしまった街の創業70年近い映画館のロビーを舞台にした「今様人情喜劇」、13年ぶりの再演。
映画そのものや映画館での鑑賞マナーなど映画愛たっぷりなのはもちろん、(憎まれ役1人を除いて?)登場人物の「人間愛」のようなものもふんだんに描かれ楽しくかつ優しい気持ちで劇場をあとにする。
初演の時も「好きだなぁ、これ」と思ったんだよなぁ……トオイメ
地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/19 (水) 14:00
柱の一つでもある「企業もの」新作。
地面師にハメられた不動産会社の面々を次期取締役選任問題も絡めて(→いかにもJACROWらしい)さらに笑いやダンス(!)まで交えて描き娯楽性もたっぷり。
事前に「9人の慌てる男たち」か?と予測したが概ねアタリ(?)で、なおかつ取締役会場面(池井戸潤ものを想起)では「怒れる男」も。(笑)
そしてある歴史的出来事になぞらえたのも面白かった。
「囚・囚・囚!(トラ・トラ・トラ!)」
Oi-SCALE
サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)
2024/06/10 (月) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/16 (日) 16:00
【SIDE B】
4作品すべて脚本担当が異なった SIDE A に対してこちらは(原作ものはあれ)すべて灰二さんの脚本なので(照明による印象もあるが)劇中設定とは別に(普段の「真冬の」とは違えど)「夜」のイメージで統一された印象
そして「囚」感が薄いものもありつつ4編目「固執」はまさしく「囚」(笑)だし「そっちの「こしつ」かい!」なところ(とメタな部分)に頬が弛む。ダークな部分もある全8編の締め括りがこれなのは巧いなぁ。
「囚・囚・囚!(トラ・トラ・トラ!)」
Oi-SCALE
サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)
2024/06/10 (月) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/16 (日) 13:00
【SIDE A】
タイトル通り「囚われた」人々を描いた短編集だが、いずれも切り口や味わいが異なり「そういう視点もアリか♪」というのが面白い。
一方、夢(それも悪夢?)をを見ているように変幻自在だったりつかみどころがなかったり、どこか都市伝説っぽかったりという点は共通。普段のOI-SCALE作品と趣が異なるがこれはこれで佳き。
あと、4編目「しの6」での居酒屋の皿、ジョッキからつまみまで段ボールで表現した小道具に感服。
また、3編目「Remember」で、独房の壁を人物と接する部分だけ登場した黒衣が表現するのも面白かった。
眠れぬ森の人々
吉祥寺GORILLA
studio ZAP!(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
【STAGE葡萄】
太宰原作の一人芝居+劇団員の作・演出作品+主宰の作・演出作品という短編集別プログラム。
太宰作品には日本語の美しさを感じ、劇団員作品はファンタジー系RPG?からのエヴァや直近の牙狼などを想起。主宰作品は檸檬と異なるハッピーエンドに安堵。
眠れぬ森の人々
吉祥寺GORILLA
studio ZAP!(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/14 (金) 14:00
【STAGE檸檬】
太宰原作の一人芝居+劇団員の作・演出作品+主宰の作・演出作品という短編集。
太宰作品はその発想と描かれた世相に感嘆、劇団員作品はホラーに近いダークさにゾクゾク。主宰作品もビターだがSTAGE葡萄は異なるエンディングと聞きそちらに期待。
ラフカットFINAL
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/13 (木) 19:00
【Bプロ】
今年で最後ゆえの堤作品セレクション別プログラム。こちらもすべて初演を観ており、「776」などダブルキャストの再演も観て通算4度目だったりして懐かしいったらありゃあしない。
で、「第二の心臓」はAプロの「幕張の女」と通ずるモノがあり、堤さんってばこういうの、好きなの?とか。(笑)
また、ABとも4話目が演劇……ってか小劇場ネタなのも何だかジンと来る。
そして8作品すべて「いかにもラフカット」と感じたのは刷り込みによるものか?
今回の8作品に限らず様々な作家が書き下ろした作品群も今後上演の機会があるとイイなぁと痛感。
ラフカットFINAL
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/12 (水) 19:00
【Aプロ】
1995年に始まった短編集、今年が最後ということでここで生まれた堤作品セレクション的な企画。
4本とも初演を(一部は再演も)観ていたので「あー、そうだったそうだった♪」「あの役は以前あの人だったっけ……」などと思い出しながら楽しむ。
そしてタイプもシリアス、コミカル、スリリング(?)などそれぞれ異なり、最後に「演劇讃歌」で〆る構成も巧み。イイ2時間半を過ごせて満足♪
白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/11 (火) 14:00
終戦直後、郷里の山形県に疎開していた斎藤茂吉と賄いの女性、訪れた息子らを描いたフィクション。
実在した人物を主人公にユーモラスな部分も多々ありつつ反戦も訴えるツクリに井上ひさしの評伝系戯曲を想起しながら堪能。
そして戦中の災難を描くよりも終戦後の平穏な日々の中に浮かんでくる人々の心に遺された傷を描いた方が沁みる気がする。それは「戦争詠みをしたことから歌が詠めなくなった」などの特別なものに限らず「戦争だからしかたがない」と自分を納得させるしかなかった一般人など辛いし哀しいし本当に嫌だ。
また、この前々日に観た悲喜交交「余炎」も戦争を美化したことを悔いる俳人を描いており、その偶然性に驚く。
余炎
悲喜交交
縁ひらく庭 百才(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/09 (日) 12:00
終戦直後、すべての句を寺に奉納し断筆しようとしていた俳人を句妹が訪れて……な物語。
会話の中から最初は俳人の矜持や悔いが、そしてやがてダークな部分が浮上し、強かさ(?)で締めくくる、と柳井作品丸出し(笑)な脚本を落ち着いて説得力がある演技で演じ、それを衣装や会場の雰囲気が補強するという脚本・演出・演技の三位一体な45分、贅沢な体験だったなぁ。
また、客席周囲に貼りだされた俳句や生歌・生演奏の音楽も味わいがあって佳き。
阿呆ノ記
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/06/04 (火) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/06 (木) 14:00
いつもながらの手の込んだ手作り舞台美術の中で繰り広げられる濃密なドラマ。
劇中の赤紙が来る場面がちょうど放映中の朝ドラとも重なって強い反戦の意志を感ずる。そして悲劇的な展開ではあるものの僅かな光明が見えるラストに救われる。そう言えば2年前に音無さんが客演した「夏至の侍」もソフトランディングだったっけ。
あと、クライマックスの装置のギミックに「あ、あのパターンね」と思ったが前回観たのは何の時であったか?
(株)デスゲーム工務店
電動夏子安置システム
赤坂RED/THEATER(東京都)
2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/02 (日) 14:00
とある会社が企画・進行・開場設営を請け負ったデスゲームで発生した「不測の事態」の顛末。
基本的にはコメディで前半は笑いの渦だが次第にサスペンス要素が強まりその事態が偶発的なものではなく実は仕組まれたものだったと明かしてさらに二転三転させるわ復讐の是非やその原因となる問題に言及するわと社会派的な部分も持ち合わせているのが巧み。4年ぶりに観たがさすがだなぁ……。
マスターピース
余人会
イズモギャラリー(東京都)
2024/05/28 (火) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/01 (土) 13:00
三人組の演劇ユニット「賛人会(表記は推定)」の記念公演への作品創作過程と劇中劇としてその作品の内容を交互に(シームレスで)見せる構成。
もちろん現実とは違えど、本作もこんな過程を経て生まれたのでは?などと妄想したためか観ている自分もその層構造に取り込まれたように錯覚してラストのヒロインの心情に他人とは思えないほどシンクロしてしまう。何なんだこの感覚!
ピテカントロプス・エレクトス
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/30 (木) 14:00
時を超える「穴」を通して問答を交わす猿人・原人・旧人・人類・未来人(?)……。
星新一の「おーい でてこーい」も想起しつつお得意の(?)能楽っぽい表現を愉しんで観ていたが終盤の「問いかけのラッシュ」が痛烈。
しかし事前に公開している「あらすじA」は比喩で裏に「あらすじB」があるって、もう一度観させる巧妙な策略では?(笑)
破壊された女
お布団
サブテレニアン(東京都)
2024/05/23 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/27 (月) 14:00
女優の一人語りによる「或る女」の顛末。そうして語られるのはいかにも「イマの世界」。5年前の初演時に昨今の情勢(?)をここまで言い当てるとは「予言の書」か?(驚)
また、時々あった語りの合間に日常的な受け答えの台詞が差し挟まれるのを面白いと思っていたが、アフタートークで作・演出の得地弘基氏から「種明かし」があって大いに納得。
あしたはてんきにしておくれ
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2024/05/22 (水) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/22 (水) 14:00
急逝した作家の通夜に起こる奇蹟……。
一言で表せばトツゲキ倶楽部版「煙が目にしみる(鈴置洋孝原案・堤泰之脚本)」だがあちらよりややビターテイスト? 故人が(太宰に心酔するあまり)ダメ人間なことや「一方は覚えているがもう一方は覚えていないこと」に関してなどけっこう辛辣。
その一方で故人に対する各人の気持ちがにじみ出ている台詞が随所にあったり「なぜその人だけ?」な種明かしが巧妙だったり熟練味を感ずる。
あと、「憑依する」舞台表現も巧かったな。
なお、序盤ではプラチナペーパーズ「ラフカット'95(=最初のラフカット)」で上演された鈴木聡「村田さん」を連想。
ひなたの道を
しゅうくりー夢
ザ・ポケット(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
元公安の刑事を主人公としたハードボイルド系犯罪ものシリーズ最新作。
今回の中心となる宗教法人の所業は映画ならPG-12、テレビドラマなら23時以降の放映という陰惨なものだし、主人公側の複数のゲストキャラが命を落とすなど悲惨な内容ながら、主人公たちの人物造形や彼らが交わす「粋な(あるいはオトナな)会話」により2時間を超える長尺を見せてしまうのはベテランの味か?
しかし当日パンフレットや劇中の台詞であれだけルイ・アームストロングに言及していながら、主人公とヒロインの「あの場面」とエンディングがトム・ジョーンズの「I'll Never Fall In Love Again」って……(笑)
いや、内容に合っているので異論はない、どころか感服したんだが。