葬送の教室
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/13 (水)公演終了
満足度★★★★★
『hg』の感動ふたたび
理路整然とした語り口でありながらも序盤から各人物の心情が直接こちらの心に伝わって来るよう。
違いはありながらそれぞれ前向きでなおかつ少しだけ遠慮もしている各人物たちもきっちり役割を担って的確に描き分けられているし、そんな内容をさりげなくしかしシッカリ際立たせる照明もイイ。
で、最大のヤマ場を何とか乗り切った、と油断していたらまんまと罠にかかってエピローグ直前に涙…。
そんなところも含めて『hg』の感動ふたたび…いや、上回ったかも?
今昔舞踊劇 遊びの杜 其之参
劇団パラノイア・エイジ
靖国神社内 神池前特設ステージ (東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
来年も晴れるとイイなぁ
能など古典芸能の手法とds.(& perc.)でラフカディオ・ハーン、宇治拾遺集、日本神話などを演ずる「クロスオーバー舞台」。
内容・表現方法・野外ステージが三位一体となって、独特の面白さ。
来年も晴れるとイイなぁ。
ペーパーカンパニーゴーストカンパニー
劇団6番シード
萬劇場(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
二段構えのクライマックス
タブロイド紙記者の立ち直る姿を記者・夫の両側面から見せることでクライマックスを「伏線を一気に回収してスビード感あふれる記者サイド」と「涙チョチョギレの夫サイド」の二段構えにするのは妙案。
また、夫サイドのクライマックスの照明が特に良く、エピローグの前に長めの暗転を置く配慮には感謝。
無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】
ぬいぐるみハンター
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
タダモノではない?(笑)
ヘンに大人びた幼稚園児たちが時にリアル、時にシュールで可笑しい。
いや、むしろ本能のままに行動する高校生や大人として見た方がイイのか?
いずれにしてもこんな舞台を創る発想、タダモノではない?(笑)
火蝶於七
快楽のまばたき
タイニイアリス(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★
ラストにもう少しケレン味が欲しい
この劇場によく似合う胡散臭さ(笑)たっぷり。
が、爆発力を秘めながらも小爆発に留まり大爆発には至らず不発感が残るのは惜しい。縁日の見世物小屋の「な〜んだ、やっぱり」感(爆)を狙ったならいざ知らず、やはりラストにもう少しケレン味が欲しい。
とはいえ、途中のミュージカル気味のシーンは好きだし、七の放火の見せ方もイイ。
デザート出しちゃってもいいですか!?
劇屋いっぷく堂
劇場MOMO(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
コメディなのにスリリング
騒動の原因が原因だけに非常に難しい笑いとシリアスのバランスを見事なまでにとる様は高所の綱渡りの如くスリリング。
また、解決に向かいながらももう一波乱ある構造と、そこでのデザート関連のネタも上手い。
愛知のオンナ
Theatre劇団子
座・高円寺2(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/10 (日)公演終了
満足度★★★★
三演きぼんぬ
70分の中編だけにプロローグの後いきなりハイテンションで飛ばして引き付け、ラストまで逃げ切り、みたいな?(笑)
また、背面の全面ホリゾントを活かしての夕刻の照明表現もステキ。
ただ、エピローグは蛇足ではないが微妙にすわりが良くない気がしないでもない。
で、三演があるとすれば『東京のオトコ』との交互上演がイイなぁ。セット券があればなおよし。
ルンバDE東西線
ポリタン煉瓦亭
劇場HOPE(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了
満足度★★★★
「大人向けジュヴナイル」?
ツッ込みどころは多々あれど(ゆえに評価は真っ二つと思う)レトロフューチャーな感覚が懐かしく、いわば「大人向けジュヴナイル」。
笑い、サスペンス、感動要素を少しずつバランス良く練り込んだ様は松花堂弁当…いや、やはり「大人用お子様ランチ」か?(笑)
横須賀、舞鶴、佐世保のカレー、ベトナム饅頭などの細かいくすぐりも好み。
Project BUNGAKU 太宰治
Project BUNGAKU
ワーサルシアター(東京都)
2010/09/30 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
各編とも存分に楽しむ
入院日誌の舞台化である「HUMAN LOST」、短い原典に他作品も交えリミックスした「燈籠」、正攻法の「ヴィヨンの妻」、現代に翻案した「人間失格」、とタイプが異なり、かつ各演出家の個性が色濃く出た4編、前夜から当日午前にかけての直前予習も功を奏してそれぞれ存分に楽しむ。
ゆえに順位は直感…どころか「えいやっ!」でしか付ける術なし。
友達が全員死んだ
チェリーブロッサムハイスクール
ザ・ポケット(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
次第に浮き上がる謎
コミカルに始まりながら次第に謎が浮き上がってくるストーリー、伏線の張り方が絶妙。
そのいくつかと以前のここの某作品に近いツクリだったこととで、「もしや?」と予期した真相のうちの1つが的中したのが嬉しい。
また、終盤の再現シーン見せ方とそこへの入り方も上手い。
気付かない奴は最強
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
「引き込まれ感」
ナンだろ、この「引き込まれ感」。
特色であるリアルな会話に聴きいっているうちにいつの間にやらどっぷり入り込んでいる、みたいな。
舞台となる事務所を斜めに置いて1つの角を客席に向けた装置のチカラもあるか?
『三姉妹の罠』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
テアトルBONBON(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
王道パターンをダブルで
三姉妹の妹二人の思惑に振り回される人々を描いた笑劇系、その場しのぎでかわす王道パターンを2重に交差させることで込み入った状況を無理なく(ホントか?)作り上げる手腕が見事。
また、笑わせるだけでなく底流には姉妹愛が貫かれているのもイイ。
やわらかいヒビ
カムヰヤッセン
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★
シニカルな本末転倒論?
解釈の余地が大きくいろいろな意味に取れそうだが、「まず今があり、それがあってこそ未来が成り立つ」から深読みしてのシニカルな「本末転倒論」と受け取る。
また、アフターイベント「北川サドンデス」も程よい気分転換として愉快。
悪魔の絵本
Theatre Polyphonic
サンモールスタジオ(東京都)
2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
濃密な130分
関係者の証言で綴る絵本作家の物語。6メートル四方の「工場」に作家人生を詰め込んだかのように濃密。メインキャストがそれぞれ役にハマっているのでなおさらか?
また、終盤で高まった緊張感をふっと抜く手口が巧妙。
しかし、あのサラウンド音響、凝り過ぎでは?(笑)
Project BUNGAKU 太宰治
Project BUNGAKU
ワーサルシアター(東京都)
2010/09/30 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
休演日特別企画っっ!!!
この日だけのためのリーディング系短篇4本(それぞれタイプが異なる)を手料理・酒とともに楽しむという休演日の特別企画。
その両者に加えて門外不出の秘話(笑)も飛び出すアフタートークまであり、スケジュールが空いていた幸運を神に感謝。
Yell ~たとえ君に届かなくても~
劇団Peek-a-Boo
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2010/09/30 (木) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
次は青山円形劇場で…
劇団第三反抗期時代の初演でベタ惚れという思い入れの強い作品ながら遜色のない出来。
通算三演目の今回はヤギとフタゴンの少年時代のシーンに特に涙を誘われる。
四演があるとしたら、初演と同じ青山円形劇場で観たいモンだ。
4-doors
サマカト
シアターシャイン(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
満足度★★★
後半にモタついた感も
ドアにまつわる短篇4編、前半2編の意表をついた「そこ!?」な笑いが楽しい。
また、4編目でのドアがない?と思わせての電車のドアというひっかけも面白い。
が、短篇から中篇に、という流れのためか後半にモタついた感無きにしもあらず。
ジーンズ -gene(s)-
劇団銀石
ザムザ阿佐谷(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
満足度★★★★
次は吉祥寺シアターだって!?
娘が生まれる夜のC.ダーウィンをタテ軸に、まだ水だけの星であった太古の地球に生物が発生し進化するさまをヨコ軸として絡め、ミクロからマクロまで自在にズームして見せるのは芝居ならでは…と言うか、ここが得意とする手法か。
また、詩的なコトバが多数ちりばめられた叙事詩的な内容は羊水の中を漂うように心地好い。
東京バーグ 【舞台盤】&【映像盤】
円盤ライダー
【舞台盤】東京バーグ【映像盤】上野毛アクオス(東京都)
2010/09/24 (金) ~ 2010/12/23 (木)公演終了
満足度★★★★
ここならではの味わい
「脱サタ」した悪魔が開いたハンバーグレストランのウラ稼業での顛末で、O.ヘンリーの「賢者の贈り物」的なハートウォーミングなストーリー。
閉店後の仕込みの音や香りが本編のスパイスにもなっており、劇場以外での公演を得意とするここならではの味あり。
TorinGi(トリンギ)「捨てる。」再演【キャスト写真UP】
feblaboプロデュース
エビス駅前バー(東京都)
2010/09/24 (金) ~ 2010/09/29 (水)公演終了
満足度★★★★
スローカーブ、直球、チェンジアップで三球三振
とあるバーで常連客とその家族たちが会話の3話オムニバス。
1話目は「いとこ編」で、結婚式帰りの男女3人のいとこたちを描き、その3人とちょうど入れ替わるように入ってきた姉(=田舎から上京してきた)と弟(=東京でマンガ家をして多少売れた)による2話目が「きょうだい編」。
それぞれの会話で血の濃さというか、血縁の距離というか、そういったものがこの2編に如実に顕れているのが巧い。
で、またも入れ替わりか?と思いきや、今回はその2人が出て行ってからしばらく間が空く…んだが、実はいとこ3人組よりも早く待ち合わせだという少女が入店しており(しかも彼女はそれぞれのエピソードに1言2言辛辣な言葉を投げる)、彼女とマスターの会話でつなぐワケで、この構成も見事。
そうして始まる「おやこ編」は、前2編がスローカーブとストレートの速球であるのに対して変化球、的な。
4親等、2親等と来て今度は1親等なので繋がりはより濃いかと思いきや、かつて自分(と母)を捨てた父親と対峙する娘、ということで「近いけれど遠い」感覚。決裂しての別れのように見えるものの実は…な終わり方もイイ感じ。