絶対に怒ってはいけない!?
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2022/05/18 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/18 (水) 19:30
劇団プッチンが次の公演の準備をしているさなか、他劇団主宰がハラスメントで炎上しているとの報が入り……な物語。
昨今の件に関する楢原さんの考え方や想いが表現されているばかりか他の時事問題にも触れ、さらに「他の要素」まで加味して100分に収めるのはさすが。
が、メインにしたテーマが笑えないものだけに茶化すのは難しく、観ていて現実でのその問題について考えてしまい笑い飛ばすことができなかったのは前回公演に引き続きでつくずく「変な現実だな」と。
そして、もしかするとそれが楢原さんの目的ではないか?と深読みをしたり。
ホテル
20歳の国
新宿眼科画廊(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/15 (日) 14:30
【コーヒー】
マッチングアプリでマッチしてホテルで待ち合わせる男女とそのホテルの清掃スタッフ2人の会話を中心としながら時に会話や場をクロスさせつつ両者の関係を明かしてゆく構造が演劇手法としても話の進め方にしても巧みで、こういうの好きだなぁ。
選ばれるのはいつだって一人なんだから
劇団皇帝ケチャップ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/13 (金) 14:00
【Team Doughnut】5/13 14:00
【Team Pudding】5/14 13:00
生徒会長の改選(と一学期の期末試験)を控えた高校の生徒たち(+α)の群像劇。
生徒会長改選の件が芯になってはいるものの一つの大きな流れがあるのではなく芯に沿ってエピソードを羅列する構造は物語として弱いが、各人物のキャラクターの描き分け(脚本のみならず演技も含む)と会話/言い回しの巧みさによって終盤の「ある事件」まで飽きさせずに見せてしまうのがこの団体/吉岡戯曲の魅力か?
終盤でのある人物の論旨がいささか強引に感じられるが、保身のために似たようなことをする人物は現実としていそうでもあるし「芝居のウソ」の範囲内か。
強いて欠点を挙げれば冒頭の「ピアノの件」が回収されないのが惜しいかも?
衣人館 / 食物園
牡丹茶房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/12 (木) 14:00
【食物園】
究極の自給自足を目指す(?)主人公に「衣人館」の主人公に通ずるものを感じる。
一見裏表に見えるが同じルーツを持ちつつ別の発達過程を経た二人、みたいな。そしてこの主人公も「最後に幸せを掴んだ」と受け取れる。
また、両編を繋ぐ人物の設定・使い方が巧いんだなぁ。
あと、終盤の「窓」関連の照明効果の工夫も見事。劇場ではなくギャラリーでこういう表現をするとは……。(いや、ギャラリーだからこその照明効果と言えるか)
なお、二編通して観て感じたのは以前の眼科画廊での「山猫/辺獄の葡萄」が「土着的怪異譚」だったのに対し今回は「アーバンホラー」なオモムキということ。次のギャラリー公演はどう来るのかな?
衣人館 / 食物園
牡丹茶房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/12 (木) 12:30
【衣人館】
服飾に魅せられた主人公の行く末。
冒頭から主人公の「イッちゃってる」感が強烈で、そこからさらにのめり込んでゆくさまはまさにとり憑かれたよう。
それはあたかも笑ゥせぇるすまんの喪黒福造に「ドーン!」をされた後にも似て……と思ったが、ふと古来からの「怪談」にままあるパターンではないか?と気付く。
また、受け取り方によっては当日パンフレットにあるように「主人公が幸せを掴む」物語であるな、とも。
グレーな十人の娘
劇団競泳水着
新宿シアタートップス(東京都)
2022/04/21 (木) ~ 2022/04/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/04/24 (日) 13:00
上手く騙されたし概ね理解できたと思うが「そういうコト」に「そういうヒト」が関わってイイのか?という疑問が残った(あれも嘘なの?)
リディキュラブ
南京豆NAMENAME
王子小劇場(東京都)
2022/04/15 (金) ~ 2022/04/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/16 (土) 14:00
郷里で交際していたが男の上京により中断しその後東京で再会した男女と彼らに関係した人々のあれこれの顛末。
複数の登場人物はエキセントリックだし、出来事も日常をちょっとハミ出したことなのに白けたりせずむしろ共感して観てしまうのは、それらが「芝居のウソ」の範囲内にとどまっていることはもちろんだが、タイトルにもあるように恋愛における愚かさや「したいと思っても理性でガマンしていること」が描かれているからではあるまいか?
そんな匙加減が巧いんだなぁ。
あしたばのおひたし
オカムラ企画
雑遊(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/23 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/23 (土) 14:00
長野の旧家(?)に嫁いだ若い女性とその家の関係者による会話劇。奇しくも公演時期が被る劇団普通「秘密」と共通する部分もありつつ表現が真逆に近いのが演劇の面白さ。
また、従来の南慎介作品とはかなりテイストが異なるので「成立過程」が気になる。
それにしても終盤で「あること」が明かされてからは観ていてしんどい。もうどうなることかと心配で心配で。ラストに救いの光は見えるものの、それでもあれこれ考えるとこのあとの心配はつきない。
なお、劇中ではどの地が舞台なのか語られず、劇中に出てきた五平餅と語尾の特徴から静岡か?と推察したが、関係者さんから長野と知らされて「あ、そっちか」と思ったのだった。
なんとなく幸せだった2022
かるがも団地
北とぴあ カナリアホール(東京都)
2022/03/31 (木) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/03 (日) 13:00
高校の同級生たち(+α)の高校時代と社会に出てからを描く二部構成の「青春もの」。
「そういえばそんなようなこともあったなぁ」という共感/郷愁を呼び起こす出来事満載な上に台詞などがいたって自然で無理がなく(私見)、抜群に巧い場の創り方と繋ぎ方、それに歌の使い方によっておよそ「一般的な劇場の舞台」とは異なる多目的ホールでの上演であることなどいつの間にか忘れてしまうほど没入できた。
画廊にて 他3篇
日本のラジオ
新宿眼科画廊(東京都)
2022/04/22 (金) ~ 2022/04/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/22 (金) 15:00
従来とは異なるパターンで「日本のラジオ流コント集」なオモムキ。
それでいながら4篇中2篇がSFテイストで他の2篇も未来の話っぽかったりして「異世界っぽい」のが日本のラジオらしさか?
こういう路線もまたいつか観たいと思う。
春夏秋冬
世田谷シルク
座・高円寺1(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/21 (木) 14:00
3年前の横浜版より広く天井も高い会場になったことで投影用スクリーンが巨大になり迫力増(笑)。それだけでなく横浜ではただの(?)白いパネルだったものが厚みがあり障子戸の付いた装置になったりとグレードアップしていわばデッサンとそれを元にした油絵、的な?
個人的には抽象表現で「想像の糊しろ」が大きい横浜版の方が好みだが今回のコレもアリ、みたいな。
また、終盤の「アレ」に女性の生涯を描いた他の芝居を想起。
秘密
劇団普通
王子小劇場(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/20 (水) 19:00
特に大きな動きがあるわけではなく、ある家族(と近しい一部の人々)の「ほぼ日常」を描いている「だけ」(かつ装置もテーブル1つに椅子4脚のみ)なのに約2時間を飽きさせないのは「物語を見せる」のではなく「演技を見せる」あるいは「演技 で 見せる」作品だからではないか?と。
また、北関東の訛りと一般市民の話ということに立松和平作品を想起。
今まで何度も観ている団体ではあるが、今回改めてそんなことを考えた。
DGURA MAGRA
PSYCHOSIS
新宿スターフィールド(東京都)
2021/07/16 (金) ~ 2021/07/19 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
高取英脚本の月蝕版は未見だが、月蝕テイストに森永理科演出による「新たなモノ」が加わって化学反応が起きた、的な?
そして楽屋落ちもありつつけっこう忠実に描きながらも95分に収めたのはアッパレ。
あと「やたらに濃い」遊佐さんにニヤリ。
#15『朱の人』
キ上の空論
本多劇場(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/15 (金) 14:00
高校時代に「不純な動機」で演劇部に入ったことをキッカケに演劇の道に進んだ兄について語る弟、という形式で進む小劇場界内幕系。説明文には「「演劇」の話ではなく」「「人間」の話で」とあり、確かにそうでもあるが、演劇に憑かれた男を描くことで反面的/逆説的な(=裏返しの?)「演劇讃歌」になっているのではないか?そしてそれは中島主宰の信条表明的なものであるのではないか?と感じた。
1981年のグッドバイ
成井硝子店
新宿スターフィールド(東京都)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/02 (土) 13:00
1980年、大学入学後すぐに演劇サークル/劇団に入団した主人公の1年間……という脚本の成井さんの自伝的な物語。
登場人物や彼らの劇団名は多少変えてあるが、台詞で出てくる劇団・作品・人名は実在のもので「あぁ、あの頃か」などと身近に感じつつ楽しんだ。
また、アフタートークで登場人物全員のモデルが明かされ、うちお二方はよく存じていたので大いに納得。
「流れる」と「光環(コロナ)」
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/10 (日) 14:00
座席J列6番
【光環(コロナ)(「Letters」改題)】
昨年11月の「試演版」と65分の尺は変わらないがあれこれ削ぎ落して(とはいえ出演者の数は1人増えた)様式美にまで昇華させた「現代能(未来能?)」な趣き。
それでいて終盤の日蝕のスペクタクルと言って過言ではないダイナミックな表現たるや。試演版の表現も優れたものだったがまた別のアプローチで圧巻!(試演版では照明で表現していた「波打ち際」を本水で表現するとは……(!))
「流れる」と「光環(コロナ)」
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/09 (土) 14:00
【流れる】
能の「隅田川」に「子を喪った親」という共通項で天馬博士とアトムを加え、狂言回し的に芭蕉・曽良のコンビを配するクロスオーバーぶり。
「隅田川」を予習して臨んだので確かに下敷きになっていると思いつつ「一筋縄では行かない(私見)」あはひのこと、もしかして「女」は実在していないのでは?とか盛大に誤読(なのか?)して楽しむ。
なお、この回のアフタートークでライター・編集者の九龍ジョーさんが「観ながらあれこれ関連付けたり想像したり」とおっしゃっており「わが意を得る」(笑)。
明日のハナコ
なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので自分たちでさくっとやってみる会
梅ヶ丘BOX(東京都)
2022/04/08 (金) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/08 (金) 15:00
とある演劇部員が通りかかった元部員と次回作の構想を実演してみて……な二人芝居。劇中劇は福井地震からの復興から原発の建設までたどり、さらに遠い未来まで語って問題を提起するのが実に巧みかつ面白い。
そして既にある問題を提起するだけでなく、それに対して自分たちには何ができるか?と観客に問いかける内容なのに「なかったことにした」側は何を危惧したのか、が結果的に新たな疑問となるのが痛烈な皮肉に感じられる。
演劇史の貴重な1ページかも?
イン・ザ・ナイトプール
コンプソンズ
王子小劇場(東京都)
2022/04/05 (火) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/07 (木) 14:00
座席D列8番
劇団員4人それぞれの作・演出による短編集。シリアス、コミカル、SF、実録もの(ホントか?)とタイプは全く異なるが3編目までは幕切れの切れ味が鮮やか。4編目はσ(^-^) が思うコンプソンズらしさ満載(笑)だが盛り込み過ぎてモタついた感があるのが惜しい。
ちろうに検診
Peachboys
サンモールスタジオ(東京都)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/01 (金) 14:00
毎度お馴染みパロディ満載の艶笑芝居。ここまで振り切った内容を全力で演ずるのは尊く(?)昨今の厳しい現実からの逃避に絶好♪ また、この会場だからできる「アレ」も見事。
ところで今回は従来以上にメタな部分が多かったような。
さらに、パロディの元ネタも新旧の幅が大きく時事ネタや自虐ネタも増量気味? そんな中に時折現状についての悲鳴的なものもあってヒヤリとしたとかとなかったとか。
あと、毎度ながらチープなものも含めて衣装や小道具も楽しい。