『キルキルバンバン!』
劇団SUBUTA!
こった創作空間(東京都)
2022/06/18 (土) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/19 (日) 13:00
小劇場俳優だったが30歳を前に就職した男が先輩社員と共に訪れた先で思わぬトラブルとなり……な物語。
「なワケねーだろ!」なナンセンスコメディがいつしか殺し屋たちの疑心暗鬼サスペンス(?)に転ずるという、まるでそれまで普通に飛んでいた飛行機がいきなり背面飛行をするようなトンデモ展開なのに木に竹を接いだような違和を感じさせない(あくまで私見)のが不思議。
さらに終盤で復讐の意義などにも触れたかと思えば「なワケねーだろ!」で締めるという……ナンじゃこら!?(褒めてる)
しかし刀の反りを上に向けての抜刀・納刀では親指を切るおそれがあるのではないかしらん?
Secret War-ひみつせん-
serial number(風琴工房改め)
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/06/17 (金) 13:00
戦争が人(の心)を蝕むさまを「銃後の人々」を描くことで見せることに目から鱗が落ちる。
そして現代パートが「あの日」の出来事であると示すとともに強いメッセージを伝える最終場は圧巻!
小刻みに戸惑う神様
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/16 (木) 14:00
劇作家だった男の通夜が終わってしばらく後から約1日の関係者たちを斎場の休憩スペースを舞台に描く。
優しくあたたかく時にユーモラスというはここの持ち味だが、エキセントリックな人物がいたり時折露骨に笑いをとりにゆく部分があったりするのは新機軸?と思ったが書き下ろしではなく3年前にジャブジャブサーキットで上演されたと知り得心。こういうのもイイんじゃないか?
ゴンドラ
マチルダアパルトマン
下北沢 スターダスト(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/15 (水) 19:30
[赤いゴンドラ]
事故で寝たきりになった父と二人暮らしの男・その父の介護に通うヘルパー・時々訪れる男の妹による会話劇。認識などの違いから時折ずれる会話で笑わせつつ「生きるとは」なテーマをさらりと提示して鮮やか。
堅苦しくなったり説教臭くなったりせず、悲哀も滲ませながら優しく包み込むように終わるのも巧い。「そして、人生は続く……」みたいな。
小規模・少人数でどこかの誰かの生活を覗き見るような「アパルトマンシリーズ」、今後にも期待。
おずわるど
東京ノ温度
小劇場B1(東京都)
2022/06/11 (土) ~ 2022/06/15 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/14 (火) 15:00
現代日本の女子大生が母と共に竜巻によって家ごとオズの国に飛ばされてしまい……から始めて原典であるオズの魔法使いの登場人物に創作人物や新たな設定を加えてあの物語の後の世界を描いた「二次創作」。
原典でのあの事は実は、という発想がユニークかつ面白く、さらにそこに偏見・差別などの社会問題も(類型的とはいえ)さらりと織り込んでおり「だから再演(初演は2017年とのこと・未見)したのか?」と思ったり。
そしてこういう発想が2019年の「ぐりむさん」(初めてここを観た作品) に発展したのか?とも。
本編に入る前というかいわばアヴァン的な部分もちゃんと本編後半での伏線になっているのがまた上手い。
バロック【再演】
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/13 (月) 14:00
舞台が洋館ということもあり、欧米の家系怪談的な(かつある種のSFを想起させる)印象は初演時と変わらずだが、今回は漠然と梶尾真治作品に通ずる味もあるような気もした。
また、「そこにいるがいない人」の見せ方/表現方法も巧く、その場の明かりが入った時点で察しがついたほど。
あと、下からあおり気味の照明も効果的。典型的な怪談話者のそれだし。(笑)
無視できない私の中の感情
劇団皇帝ケチャップ
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2021/11/20 (土) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/19 (金) 13:30
高校時代からバンド活動をしていて岐路にさしかかりつつあるミュージシャンを中心とした物語。彼女が長年の友人や近親者、新たに知り合った高校生たちと交わす会話の巧いこと。皇帝ケチャップの十八番。
そして彼女の終盤での行動がオトナ(というより(バンド活動/人生の)先輩?)としてステキで、自ら導き出した結論はちょっと切ない。
一方、主人公のストーリーと併行して高校以来の親友の物語も描かれるので物語の厚みが出たのは確かだが「物語の軸」が分散してしまった憾みがなくもないか。
将来的に桜の物語とスピンオフとしての楓の物語、という二本立てもアリではないか?
11/20 13:30 5000 E-11 奏チーム
11/21 13:30 5000 E-09 響チーム
を観劇。
あかあか
ゆうめい
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2022/05/28 (土) ~ 2022/06/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/29 (日) 13:00
画家だった祖父・俳優の父・劇作家の息子という作者自身の三代をモデルにした「私戯曲」系。
冒頭から「音声解説」と自称する父のナレーションが流れ、以降も随時舞台上での出来事を補足説明する手法が独特にして効果的。ヘタに説明台詞にするより開き直って(?)こうした方が潔いしワカり易いという。
また、「弟兄」でも使ったキントーン(バーがないセグウェイ)の登場にニヤリ。
lucK girL blooD tuesdaY
ーヨドミー
TACCS1179(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ある種の障碍者を抱えた家族を中心とした物語。
従来の-ヨドミ-作品……と言うより知っている範囲内の藤丸作品は娯楽性たっぷりだが後味が良くない(いや、それが快感なんだが(笑))ものが多かったのに対して本作は娯楽性に欠けるが後味は悪くない(個人的感覚)と、ある意味真逆。そして後味が悪くないのはいくつもの出来事を丁寧に積み重ねていっての「アレ」なので説得力(正当性ではない)があるからではないか?
さらに決定的なラストの後の二場面や冒頭で物語の行く末(の一部)を見せていることが悲劇性の緩衝材となっているのではないか。
巧みな作劇に迫真の演技、見応えがあった。
ところでこれ、今後の方向性を示していたりするのかしら?
異色作ということでは七味の一味「家族百景」(2017年)のようなものも観たいなぁ……。
夏至の侍
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2022/06/07 (火) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
人外探偵結社
お茶の間ゴブリン
萬劇場(東京都)
2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/02 (木) 14:00
人間以外からの依頼しか受け付けない探偵社の面々には秘密があり……という奇譚系物語。
民俗学的なあれこれに複数のどんでん返しを組み込んでいる上に登場人物が皆個性的、とかなり内容ズッシリでシッポまでアンコの詰まった鯛焼きの如し。
でありながら笑いやアクションもあって娯楽性もたっぷりで2時間弱の尺を飽きさせないのが上手い。シリーズ化構想もあるそうで、続編にも期待
なお、一言で言えば星野之宣「宗像教授伝奇考」にドラマ「妖怪シェアハウス」のポップな感覚をミックスしたような?
リバーシブルリバー
24/7lavo
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/05/26 (木) ~ 2022/05/31 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/31 (火) 13:00
「思っていることの逆のことしか言わない/言えない人物」が登場する芝居は観たことがあるが、それを中心に据えての作劇は見事。そこに意図的に嘘を吐く人物も絡ませるのは上手い。
そうして「結局どっちなの?これからどうなるの?」な余韻を残す幕切れも巧み。
トゥイードル
AURYN
スタジオ空洞(東京都)
2022/05/25 (水) ~ 2022/05/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/27 (金) 14:00
双子姉妹と姉の交際相手、妹が心酔する占い師の4人が織り成す双子・占い師・音楽(あのグループ)の三題噺。
登場人物4人が皆前向き・ポジティブなので「爽やか」な感覚?(双子の妹もネガティブに見えるが芯は前向きだし終盤にポジティブに転ずるように思えた)
ポラリス
ーヨドミー
TACCS1179(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/12/16 (木) 14:00
愛ゆえに狂気に走った科学者の起こした事の顛末。心とは?人とは?という哲学的な問いやあるジャンルのSFでお馴染みの命題の変奏、そしてもちろんメアリー・シェリーによる「あの小説」へのオマージュなど多彩。
ツッ込みどころは多々あるが、そんな枝葉に囚われるよりそれらは「あくまでファンタジー」と割りきって呑み込み太い幹たる哲学的(宗教的?)・SF的な命題に思索を廻らせつつ楽しんだ♪
とはいえ終盤でクリストが言う「お前なんか……(後略)」という台詞、彼が混乱していることもあるし、話の流れから意味は通っているのだが、よく考えてみるとあの相手に「お前」と呼びかけるのは対象が特定しにくいのではないか?(ネタバレBOXで補足)
四則演算
ーヨドミー
中野スタジオあくとれ(東京都)
2021/07/15 (木) ~ 2021/07/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/07/16 (金) 14:00
ほぼコントな二場に導かれて幕を開ける愛憎の果ての復讐劇。
最初は「どどど、どうしたんだ、作風変えたの!?(汗)」だったが次第に「いつもの調子」になり「後味の悪さが快感」なアンビバレントな幕切れは藤丸作品の真骨頂か?
で、終盤で既視感にとらわれる。「こういう事件、実際になかったか?」な錯覚のようでもあり、往年の鵺的作品に一脈通ずるようでもあり。そして妙に身近な感覚は人の業(ごう)を描いているからではないか?「あと一歩」のところで踏み外してしまう人の哀しさ・残念さたるや!
ビニール
コンプソンズ
シアター711(東京都)
2022/05/25 (水) ~ 2022/05/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/26 (木) 14:00
外部の作家に委嘱する「別冊コンプソンズ」の第一弾は地蔵中毒の大谷皿屋敷さんを作・演出に迎えて。
登場人物が皆多かれ少なかれ常軌を逸している奇人・変人だが妙に実在感があり、彼らが織り成す物語も単なるドタバタナンセンス劇でなく説得力(?)があるのは脚本・演出・演技の三位一体の賜物であり、それに加えてテーマが実は身近だからではないか?
別冊コンプソンズ、第二弾はどなたと組むのかな?(期待)
夜明けの華
演劇ユニット 少年cycle
cafe&bar 木星劇場(東京都)
2022/05/19 (木) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/22 (日) 14:00
地域振興で企画された祭で地元ゆかりの中澤琴を描いた芝居を上演すべく集まった7人だったが……な物語。
劇中劇パートでは「力による解決の是非」を問い、地のパートでは「信念を貫くとは?」を語りさらに劇中劇は実は?な匂わせもある凝ったシカケ。
また、地の物語が「雨降って地固まる」的に収束するのは往年の学校放送の道徳ドラマ番組あるいは「中学生日記」のオトナ版のような感覚でどこか懐かしい。
あと、そう言えばそういうイメージだなぁ、な方が(まさかの(?))殺陣まで披露とは……(驚)
ホテル
20歳の国
新宿眼科画廊(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/21 (土) 14:30
【マジック】
3編の中では一番オトナの恋愛……と言うより性愛を描いているか?
そして冒頭の二人のモノローグがトリッキーだし、回想場面もある意味トリッキー(爆)だが、考えてみるとマジックだけにトリックはつきものか?
そうしてやはり他編とのリンクもあり3編観るとより楽しいかも。
ホテル
20歳の国
新宿眼科画廊(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/21 (土) 12:00
【官能小説(B)】
人気官能小説家の書き下ろし新作は編集部の意向と異なるもので担当者の意見・アイデアも取り入れて手直しすることになり……な二人芝居。
回想や小説中の出来事など場が変わる時に変化する照明がイイし他作品へのリンクらしきものがあるのも楽しい。(そう言えば「コーヒー」にもこちらへのリンクがあったっけ)
もちろんそうして語られる内容も上手くまとまっており、手頃な上演時間も相まって見事。
花柄八景
Mrs.fictions
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/05/19 (木) 14:00
近未来、AI噺家との対決に敗れ弟子が皆去った老落語家のもとにおよそ落語に似つかわしくない若者が来て……な物語。
劇中の落語のアレンジぶりや落語ネタの活かし方がユニークかつ巧みで「まさかそんな題材を落語にするか」とか古典落語の一部を取り入れるとか、もちろんそのままでも面白いが、落語を知っていれば知っているほど楽しめて、まさに落語愛に満ち溢れていると言え、最終場のあの台詞はその極致だろう。
序盤の微妙な照明の変化や場転後に変わっている舞台美術(上手の床の間や下手の暖簾)などスタッフの芸の細かさも見事。