ムサ×コジ〜アルティメット─武蔵×小次郎〜究極!─
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2022/08/05 (金) ~ 2022/08/11 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/10 (水)
宮本武蔵に関する複数の有名な挿話を殺陣とダンス、それに「しょーもないコント(笑)」で彩ったエンタメ作品。
もう冒頭の「アレ」から「あー、X-QUESTだぁ♪」と頬が弛む。それ以降も「そう来るか!」でありながら「そうだよね、それだよね」な展開が相次ぎ、長年観て来た身としてほぼ満足、いや、以前のような「野田秀樹チックなボキャブラマジック=言葉遊び」が少なめなのがやや残念ではあるのだけれど。
それにしても古参メンバーのあの動き、何なの!? 10年前と変わらない……どころかともすればむしろキレが増したアクションに驚愕。
いやホント、身体だけは大事にして下さいね。(真顔)
クアンタム【8月4日公演、大阪公演中止】
少年社中
紀伊國屋ホール(東京都)
2022/08/04 (木) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/08/08 (月) 14:00
2014年にチケット争奪戦に敗れて以降、チケットが取り辛そうだったりスケジュール的に厳しかったりして足が遠のいていた少年社中、観るのが9年ぶりとは我ながらビックリ。
劇団☆新感線が1993年3月にribbonをフィーチャーして上演した作品(9年ぶりに観に行ったのはこれによるものが大きい)の骨組みをちゃんと踏襲した上での大胆な換骨奪胎。
あれこれ正反対でありながらきちんと「TIME SLIP 黄金丸」であることに感服。
また、そこここに仮面ライダーやらスーパー戦隊やらのテイストが感じられたことにもニヤリ。
少年社中と併行して脚本で関わっていた特撮ヒーローもので培われたものがこんな風に反映されているんだなぁ、と。
楽屋ー流れ去るものはやがてなつかしきー
S企画
中野スタジオあくとれ(東京都)
2022/08/05 (金) ~ 2022/08/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/08/06 (土) 14:00
本作を観るのは通算6~7回目ながら直近で観たのは6月に楽園王、12月にオトナの事情≒コドモの二乗で観た2016年以来6年ぶり。
ほぼ素舞台だった楽園王とは対照的に作り込んだ装置のポップかつ「楽屋らしい」感に加えて「鏡」を大胆に使った演出で極めて動的な印象。
そして内容を知っているだけに冒頭の上手の「鏡」付近は明るく下手の「鏡」付近は暗めにした照明の暗示に頷いたり「そこはそうしますか♪」な演出に舌を巻いたりしつつ楽しむ。
さらに基本的にはコメディ(私見)な中に女優哀歌や(わずかとはいえ)戦争のことなども織り込んだ戯曲に改めて感心。
無表情な日常、感情的な毎秒
エンニュイ
SPACE EDGE(東京都)
2022/07/29 (金) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/30 (土) 14:00
昨年2月から「叩き続けて」きた公演の最終形態。
前回(今年2月)の「店長の葬儀後の居酒屋」という設定を踏襲しているが会場の性質もあってか抽象性が高くなり、さらに「遊撃」ポジションの人物がいることで観る側の「受け取る範囲」が広くなった(あるいは補助線が提示された?)感じ。
そしてそれまで毎回のように出ていた挿話はさすがになかったものの、それらはこの形式に至る過程であり依然として根底に流れているような気がした。(←スケジュール的に無理だった横浜版以外ずっと観て来た身ゆえの感覚か?)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!
東京にこにこちゃん
シアター711(東京都)
2022/07/21 (木) ~ 2022/07/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/22 (金) 14:00
「もしもロミオとジュリエットがあの時……」な状況で描くその後の世界。
漫画原作の某人気長寿アニメのようなホームコメディが展開されて所々に元ネタ引用の部分もありつつ、もう少し元ネタ関連が欲しいと思っていたら、終盤の「解毒剤」という言葉でうっすら察した後に「あーそういうことか!」となる怒涛の展開、前作に続いて「それまでの楽しい世界」が崩壊するとは萩田さんってばイジワル!(笑)
がしかし今回はそれによってジュリエットの悲嘆が伝わるし、ある意味でまたハッピーに転ずるのが救い?
また、「胡蝶之夢」が好きな身にとってその変奏とも受け取れる構造も好み。
あと、オープニング映像も良かった。最初に表示される「アレ」の通りで「ソレ」を知っていると見事なまでのオマージュなのがワカって頬が弛みっ放し。
TSUYAMA30-津山三十人殺し-
PSYCHOSIS
ザムザ阿佐谷(東京都)
2022/07/14 (木) ~ 2022/07/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/18 (月) 14:00
「八つ墓村」の元ネタである津山事件に阿部定のみならず陰陽道の形代や未来から来た人物なども絡ませた例えば海野十三など少年倶楽部に掲載された冒険もののような「跳んだ発想」の物語につくづく高取さんは「少年の心」を抱き続けた方だったんだなぁ、と。(換言すれば「オトナのごっこ遊び」的な?)
そして「濃厚な」人物に実在感を持たせて演じた出演陣はもちろん、冒頭の惨劇場面で客席後方上部のオペブースを使うのに明かりの明滅だけで表現したことを筆頭とする照明や舞台下手の螺旋階段などもステキだった。
なお、2008年の初演以来3度(or more?)上演された月蝕歌劇団版は観ていないが、そちらよりもアングラ色が薄いのではないか?と漠然と推測。
コマネーア!~Call My Name Again~
GORIZO
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2022/07/13 (水) ~ 2022/07/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/14 (木) 14:00
急逝した者が遺された人々に何かを伝える、という好みの傾向の一つにもう一捻りを加えたファンタジー系。そういえば最近はこういう「オトナ向け児童文学」(あるいはNHKの「少年ドラマシリーズ」)的な懐かしさのあるシンプルかつストレートな芝居を観ていなかったので和む。
また、それでいて切なさの残るラストも巧い。
あと、那珂村たかこさん。うじすけさんを随分久しぶりに拝見して「ああ、やっぱりねぇ♪」な感慨も。
最悪な大人
劇団献身
新宿シアタートップス(東京都)
2022/07/13 (水) ~ 2022/07/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/13 (水) 19:00
運送業者の事務所を舞台に所長と息子、従業員らの騒動を描く。
ドタバタナンセンスコメディ、血の繋がっていない父子の距離感、エリートの捻じれた心理など部分部分は悪くないものの全体を見るとコーディネートがマズいというか、寿司、酢豚、グラタン、パンケーキ、カレーを一皿に盛り合わせたような統一感の無さが引っかかって個人的にはどうも居心地が悪い憾みアリ。
なお、「一皿」の喩えは、そういう盛り合わせをする/そういう盛り合わせが好きな人もいる、ということも踏まえている(笑)。
ハヴ・ア・ナイス・ホリデー
第27班
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/07/07 (木) ~ 2022/07/18 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/13 (水) 14:00
老いることがなくなる薬の発明により改めて問われる「生きる意味・価値」。後半に出てくる現象(?)とラストのそれについての研究論文はいかにも最近の「哲学系SF」っぽく、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品に通ずるようにも思えた。
いや、全体に流れる「静かながら何故か引き込まれる」感覚もヴィルヌーヴ監督作品に通ずるか?
あと、ラスト(とチラシの)シーンに往年の某イタリア映画も想起。
岸田國士戦争劇集
DULL-COLORED POP
アトリエ春風舎(東京都)
2022/07/05 (火) ~ 2022/07/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/10 (日) 15:00
【動員挿話】
仕えている軍人から日露戦争出征への同行を求められた馬丁とその妻を中心とした物語。
男尊女卑傾向が強かった当時にあれだけ主張する妻が痛快だし、それだけ夫を大切に想っているのが顕れて素敵であり、数年前によく観た岸田作品との共通項か?
【かへらじと】
冒頭部分と後半の演出が印象深く、青空文庫で戯曲を読んで独自のものと確認。
さらに抽象的な舞台美術により二幕ものを幕どころか暗転もなく通して見せたことも知り、これが演劇/演出の面白さだなと再認識。
Ba酒屋Qの謎解き
UNITレンカノ
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2022/07/07 (木) ~ 2022/07/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/09 (土) 14:00
商店街の謎解きイベント会場となった店の顛末。謎解きの製作過程など見せつつ終盤で関係者の「人生の謎解き」に発展し「ただのコメディ」から一気に深いハナシに。そしてその後に各自が語る内容でさらに深く、あぁ、進化型レンカノだなぁ。
ベイビー・ベイビー・ブルー
新宿公社
下北沢Piazza(東京都)
2022/07/01 (金) ~ 2022/07/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
訳アリ関係の兄と妹・兄の妻・妹の親友の4人による会話劇で劇団員のみの出演者・上演時間ともコンパクトな公演。
「人と人との距離」について親密な筈の人々で描いた辛口……いや旨辛ホームドラマ的な?
ところで「かき氷店の開店準備中」という設定は元々のものか、公演会場を見てのものか?
三好十郎の『殺意』
演劇企画集団THE・ガジラ
APOCシアター(東京都)
2022/07/01 (金) ~ 2022/07/09 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/07 (木) 14:00
最後のステージを前にしたダンサーが語る戦前・戦中・戦後を生き抜いた半生とそこから生じた殺意の行方……。
戦争によって蝕まれる人、思想を変える人などを描いて先日観たserial number「Secret War-ひみつせん-」と通ずるものを感じる。
しかしこれだけ濃密な内容を控えめな照明(ガジラの十八番?(笑))で2時間半近くだとしんどいわぁ。(笑)
で、元ネタは一人芝居とのことで、確かにプロローグとエピローグにその面影はあるが、メイン部分は全く想像がつかず……
正義の人びと
オフィス再生
六本木ストライプスペース(東京都)
2022/07/02 (土) ~ 2022/07/05 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/04 (月) 13:00
同じ目的の下に集ったメンバーでも行動指針の違いがあることに「正義の反対はもう一つの正義」という言葉など思い出しつつ観る。
そして劇中人物は男性約も女性キャストが演じ、唯一の男性キャストは出ずっぱりながら常に後方にいて台詞を一言も発しないというまるで通奏低音のような存在という「謎」がいかにもメタ構造を得意とする再生らしく、しかもその男性が劇作家・演出家の長堀さん(楽園王主宰)なのがまた……。
PADMA vol.13 Bollocks ボロックス
Performance team PADMA
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2022/06/30 (木) ~ 2022/07/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/07/02 (土) 13:00
コロナ禍の影響もあって2年半ぶりとなった本公演は10周年という。
結成時は30代だった面々がそれでも変わらぬパフォーマンスを見せることに脱帽。
そして小ネタ・大ネタ、小技・大技に新たなパターンを加えた構成はスゴい。
あと、かつての定番ネタながらコロナ禍を鑑みてか他のネタと組み合わせて新たなスタイルで見せた「ヤキニク大好き!」の工夫にも感心。
ホントすげぇよ♪
『Drunk-ドランク-』
singing dog
サンモールスタジオ(東京都)
2022/06/30 (木) ~ 2022/07/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/01 (金) 14:00
バーを舞台にアルコール依存症の者たちの生態を描く120分。
病院の更生施設内の話だった2年前の「ブラックアウト」と較べて「野放し」なだけに危うさもパワーアップしてしんどい(いやそれだけ演者が巧みなんだが)。げに恐ろしきはアルコール依存症。
あと、同じ装置内ながら様々な見せ方をする照明が見事だし、某出演者さんの歌唱力には感服!
JACROW#28『鶏口牛後(けいこうぎゅうご)』
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2022/06/23 (木) ~ 2022/06/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/06/17 (金) 14:00
当日パンフレットにある通り、ある分岐点で異なる道を選択したら?な往年のドラマ「if もしも(1993年)」を想起させる構造だが、ラストの「え、どゆこと!?」からの「あ、そういうことか」な展開がM.C.エッシャー「邂逅」を想起させて(ってか「実演版」みたいな?(笑))見事。
また、ちりばめられたユーモアも楽しく、ともすれば重くあるいは暗くなりかねない部分さえも娯楽性たっぷりに描くのはJACROWの真骨頂か?
後半で短い回想を挟む時の川田さんの出ハケまど楽しかったな。
ところで時折、視野の片隅にユースケ・サンタマリア(ってか「パンドラの果実」の長谷部勉)がいたような……いや、ちゃんと見ると小平さんなんだが。(笑)
ナイゲン(2022年版)
Aga-risk Entertainment
駅前劇場(東京都)
2022/06/21 (火) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/06/26 (日) 12:00
元々好きな台詞の1つである「延長戦」に入って間もない頃の「監査の叫び」、この日は座席位置の関係系からほぼ終始監査の顔が見えていただけにより沁みた。それまで冷静だったが感情と責務の板挟みになってつい……というのが監査のキャラを如実に表現しているんだもの。
登場人物を「十二人の怒れる男」登場人物と較べるのも一興。翻案ではないのであまりないとはいえどさまわりは3号だし、議長は時々8号。あと、監査とアイスクリースマスが4号気味とか?(笑)
セイレーンの痕
たすいち
吉祥寺シアター(東京都)
2022/06/23 (木) ~ 2022/06/27 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/24 (金) 14:00
カリスマ的な人気を博す萌香のライブに足しげく通うファンはそれぞれに「迷い」を抱えていて……というイマを反映したような物語。
それぞれの物語を併行して描いてそれがやがて一つに撚り合わされてゆく構造が大きめ(従来比)の会場・多めの出演者に即して巧み。
また、この会場ならではの舞台美術もステキでやはり何年かに一度でもこういう公演が観たいな、と。(「FIRELIGHT」以来10年ぶりだったとは……(驚))
ナイゲン(2022年版)
Aga-risk Entertainment
駅前劇場(東京都)
2022/06/21 (火) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/06/23 (木) 14:00
偶然だが12日の試演会と対角に近い位置だったので2年生・3年生の表情に注視。終盤のどさまわりの表情の変化はやはり本作の見どころのひとつだよなぁ。
また、試演会の時は省いたあるいはその後に書き加えた部分もあり、演技も含めてブラッシュアップされた印象。
さらに、毎度のことだが終盤の「あの二人」のやりとりの「十二人の怒れる男」オマージュの見事さに感服。