ハンダラの観てきた!クチコミ一覧

2001-2020件 / 3248件中
GHOST SEED

GHOST SEED

カプセル兵団

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/02/26 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

安倍政権下司共への薬 ノブレスオブリージュ 言うだけ無駄か
世界の生態系は5本の世界樹によって支えられている。世界樹は、時が来ると幹が割れ、新たな種子を放出する。然し、時期で無いハズの時に、1本の世界樹が、種子を放出した。

ネタバレBOX

 而も、その種子は、自動人形に奪われてしまった。ヒトは人形を敵視し、世界中の人形は破戒されたかに見えた。然し、誰も恐れて寄りつかない森の中の邸宅には、多くの人形が破戒されずに残っていた。しかもその中の3体は、自動人形だったのである。世界樹によって命の相を、純粋に夢を追い求める姿勢によって純化の勝利を、ノブレスオブリージュによって為政者の心構えを示した作品として、今迄、自分が拝見したカプセル兵団作品の中で最も高い評価を与えたい作品だ。この劇団の特徴である様々な装置や、器具、新種のコンセプト等を身体表現と手短な科白で補完してゆく作法は健在であるが、これだけシナリオの骨格がしっかりした作品を書けるのであれば、このような小手先の技術は割愛するか、別の形に落とし込んで脱皮を図る時期に来ているのかも知れない。
『一人づつ』ご来場ありがとうございました。

『一人づつ』ご来場ありがとうございました。

演劇ユニットG.com

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2015/02/27 (金) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

プロの舞台
 チェーホフの「たばこの害について」とジャン・コクトーの「声」をベースにその対をSF太郎氏の創作によって補完したシナリオが、上演台本になっている。

ネタバレBOX

4パートに分かれているのだが、1.たばこの害について2.声3.耳4.わが麗しの案山子殿、構成が見事である。というのも、1は4に、2は3に其々照応していて、照応する各々の作品は、それぞれの補完作品となっており、必要最小限の暗転でスムースに展開が図れる演出と空間処理の上手さ、役者陣の演技力、シナリオの良さに粋なセンスが加わって、当にプロの舞台である。ラスト、全員で踊るタンゴも、普段からの鍛錬が見えて見事である。
へんしん(仮)

へんしん(仮)

ENBUゼミナール

シアター風姿花伝(東京都)

2015/02/27 (金) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★

願望のもと
今、できの良い連中は

ネタバレBOX

“大衆のレベルは落ちる所迄落ちたと見ている”と見て良いのだろうか? “若い頃大衆の二歩先を歩み、これでは理解されまいと半歩先迄減速して来たのに、それにすら追いつく者が極力少なくなった。何と言う劣化であることか!! 何故、ここ迄馬鹿になったのか? 日本の大衆は”などと考えているのかも知れない。出るは溜め息のみだろう。
 ところで、その現況を生きる若者達の不如意が、今作には感じられる。序盤、ちょっと硬くなったか、間のとり方の悪さが目立ち劇になっていなかったが、中盤以降盛り返した。
 何れにせよ、主張は以下のようなものであろう。
 変身を意志や作意の埒外に置くと、生まれ出る瞬間と死ぬ瞬間だけが真に変化し得るチャンスだと捉えるものの、認識を充分突き詰めずに、生死を統一する視座があるかも知れないと思った瞬間、この論理も崩れた。次に頼ったのは想像力である。然し、個々の主体の命は永遠では無い。想像力を何処まで駆使した所で、宇宙の無限に完全に対応できる訳ではない。我らは死すべき存在だから、永遠や無限に主体として関与し続けることはできないことは自明である。結局は、変身願望へ至った原因の傍らで叫びを繰り返し、それも迂回することと似たりよったりだと気づいてしまう為、赤ん坊に戻る。無論、最初の問いが出てくる原因であった、変身願望へ至る原因から立ち上る不如意は解けていない。
 だが、我々に未来があるとすれば、この不如意をそれ自体として認識する縁を得たことであろう。その先には、不如意を立ち上らせる原因の究明は不可欠だとしても。
お月さまへようこそ

お月さまへようこそ

イークエスト・カンパニー

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2015/02/23 (月) ~ 2015/02/25 (水)公演終了

満足度★★★★

USA
「月の輝く夜に」でアカデミー脚本賞を受賞したJ・Pシャンリィ初戯曲集のうちから『喜びの孤独な衝動』「どん底」「お月さまへようこそ」「星降る夜に出掛けよう」4作をチョイス、オムニバス形式で上演した。
何れもアメリカのマイノリティーについての物語だが、キリスト教原理主義の影響が非情に強いアメリカ社会で、同時にインテグリティーを求められるマイノリティー個々の姿を通して、プロパガンダを散々利用したアメリカの国家経営や、ゴッドブレスユー的価値観維持の持つグロテスクで滑稽な社会を寂しく笑っているような作品群である。

独りぼっちのブルース・レッドフィールド

独りぼっちのブルース・レッドフィールド

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターサンモール(東京都)

2015/02/22 (日) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

完成度高し
 ブルースはガンマン。近くで銃声を聞くと25年前に逆戻りしてしまい、以降の記憶が一切なくなる記憶障害を持っている。彼の前職は、ネイティブアメリカン狩りである。が、25年前、弟が町でならず者たちといざこざを起こし、為に一家は襲われてブルース以外の全員が殺された。彼は復讐を誓った。然し、彼は銃声を聞くと25年前に戻ってしまうのだ。一発で仕留めなければならない。(追記後送)
 

ネタバレBOX

 いつもながら、所々に仕掛けられた飛躍の見事さと歴史的事実とその歴史に翻弄された者たちの悲しみ、苦しみをキチンと錘として用いて物語を普遍的な高みに導く辺りは流石である。
 また、回り舞台と箱を用いて出捌けをスムースにし、スピード感を維持、途切れ目のない舞台作りをしている点でも、この劇団のサービス精神が遺憾なく発揮されている。どんでん返しの見事さ、ラストの哲学の深さも、役者陣の出来も上々。
そういう目で見ないで

そういう目で見ないで

パセリス

シアターシャイン(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

スペシャルステージ
 対バン団体総てと、パセリス各々一作品総てが観れるスペシャルステージを拝見。
 対バンを張るのは、景浦 大輔(落語)、パンチェッタ、スカブラボーの3グループ、対するは無論パセリス。対バングループは、何れも軽妙な擽りの入った作品であったが、今回、パセリスは、人間の心の奥底に秘められた暗く渦巻くものを描いて対照的である。世の中の趨勢がどんどん暗く陰鬱な方向にのめり込む昨今、流石に敏感な感性を具えた浅海氏の作ということになろうか。(追記後送)

わざと食べられる

わざと食べられる

ヒメタヌキモ

新宿眼科画廊(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

我らに未来はあるか?
ヒメタヌキモとは実在の食虫植物だそうだ。今作は、4本の短編のオムニバスだが、その4本は、総て高尾山に関わっていて内容的にも多くは緩やかな関連を形作る。

ネタバレBOX

 
 拝見したのが最終日だったので、ネタバレも許されよう。一応、四幕構成ということになっているので、当日リーフレットから各タイトルを上げておく。
第一幕「クマ」第二幕「ムーブメント」第三幕「ダイオウイカ」第四幕「わざと食べられる」である。
 背景にある事情は、アラサーか三十路をじき迎える女性達の心理でもあろうが、無論、彼女達が置かれている擬似近代の植民地日本の戯画でもある。当然、女優達個々人によってそれは内在化されてはいるものの、その内在化は世界レベルで見れば、無論、幼稚ではある。
ネトウヨのどうでもよいような喧伝に目くじらを立てたり、恰も価値があるように取り上げてみたりするお茶らけ「メディア」と同時代に生きて、呼吸している多くの日本人の、何にも通過していない軽さを矢張り感じるのである。一例だけ挙げれば、苛めを気にして空気を図り、マジョリティーに擦り寄るなどである。
然し、例えば、2月22日の新聞で報じられたように、辺野古移設に反対している住民を米兵が拉致したことを見ても分かる通り、第一の我々の敵は占領軍である米軍である。実質、治外法権状態で彼らは好き勝手をやり、殆ど処罰されない。処罰される場合でも異常に罪が軽いのだ。これは、植民地政府である現自民・公明連立政権がそのようにはからっているからである。先ずはこういった所に目を向けなければならないはずだ。何故なら、産む性である女性は、子供を産めば、未来に具体的責任を負わざるを得ないからである。無論、父になる男も同様である。再稼働ありきの原発政策の根本的原因は、アメリカの核爆弾製造基地としての機能を期待されているからであろう。そんなことで、我ら自身の命のみならず、未来世代、そして影響を受ける総ての動植物、生き物・微生物、ウィルスの変異迄含めてどう責任を負うのか? 問われているのは、生命の健やかさそのものである。演じてくれた四人の女優達にインスパイアされて自分が、書くことは以上である。
蓼喰う蟲

蓼喰う蟲

イエローケーキ

ラ・グロット(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

初期の目的は果たした。で?
 谷崎をどうにも受け入れられない人々が、彼の作品を演劇化したら、どうなるか? という点では、成功していると言えるかも知れない。彼の作品の良さが殆ど全部削がれているのだから。ただ、その先に何を表現したかったのか? それも伝わってはこない。

「戯作 肉体だもん」

「戯作 肉体だもん」

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

華のある舞台
 作者は、ドガドガを立ち上げてエンタメと時代とをシャッフルしているように感じる。無論、エンコを舞台にしてである。何故、浅草なのか? 野暮なことを聞くバチが居る。エンコは、関東大震災でめちゃくちゃになり、1945年3月10日の東京大空襲で廃墟と化した。大震災の被災地地図と大空襲の被害地地図を重ねてみるがいい。その上で、戦中・アジア侵略への道も含めて歴史を鏤めているのだ。(追記後送)

金色の翼に乗りて

金色の翼に乗りて

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2015/02/18 (水) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

所在なさ
フィリピーナと日本人の偽装結婚に端を発したセンチメンタルな物語かと思いきや、そこはピープルシアター、そうは問屋がおろさない。(追記後送)

ネタバレBOX


仕切っているのは、デペイズマンに精神を食い荒らされ、生まれ落ちた場所に居場所を持てない、即ちアイデンティファイできないことに悩む在日インテリやくざ。彼のバシタは矢張りフィリピーナであり、元々、地元マフィアの手を通して売られて来たジャパ行きさんである.
男の壁/女の壁

男の壁/女の壁

劇団献身

RAFT(東京都)

2015/02/19 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

男の壁を拝見
早大演劇部出身の奥村 徹也氏がリーマン生活後に立ち上げた劇団献身の第4回公演は、二本の異なる作品を日替わりや回替わりで上演するという贅沢な企画。初見の劇団だが、「男の壁」を拝見した。上演中故、ネタバレはしないでおく。ただ、バイアスの掛からない、柔らかいがしなやかな感性と適度な距離をとった観察から生まれた作品の手作り感と必要な要素をキッチリ手作りしている緻密で知的な表現は今後を期待できる内容である。

ネタバレBOX


 無論、現代を生きる若者らしく、政治やメディアによって意図的にミスリードされている社会の底に蠢く下司共の利害と、その利害によって歪みを蒙らされた人々の奈落に落ち込むような不安感覚や閉塞感を対象化する為の、トリオによるコントが随所に鏤められ、間のとり方の上手さとトリオのキャラの作り方の妙味がマッチして糞ったれ! と叫び出したいであろう世の中に、呆け、突っ込みの通常キャラでジャブを入れた後、天然オオボケのキャラが、桁外しのオオボケで不条理性を持ち込むことによって、笑いを単純なものからグロテスク、不条理、ナンセンスなものまで広げるという離れ業をやっていて、これが実に良い。今後も注目したい劇団である。女の壁も観てみたい。尚、一度、観た後、2度見、2本目などは、半券を持参すると500円引きになるそうである。
恋桜

恋桜

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2015/02/18 (水) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

桜の木の下には
 原作は能の「通小町」である。原作で四位の少将が、通った百夜目、その日を迎えた少将は、発作を起こし亡くなってしまった。ただ小町と会って飲む祝いの酒や愉しみについて考えるた時、戒律を守って飲まないことにしたので、それまでの罪が許され二人ともに成仏できた、という話だ。
 今作では、原作にあるように僧の所へ小町の亡霊が現れ、市原野に住む小野と告げる。僧は、それが小町であると心得た。その原野には、桜の古木が一本。散っても散り切らず、花をつけたままだという。その不思議からか、その木の根元には不老不死の妙薬が埋まっているとの噂があった。(追記後送)
 

さくらさくらさくら~うちの長屋(バカども)を紹介します~

さくらさくらさくら~うちの長屋(バカども)を紹介します~

劇団皇帝ケチャップ

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2015/02/12 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

平板
楽日で在りながら、結構かむ役者がいたことは残念。本来初日に完璧に仕上げているか、かむかまないがどうでもよい、というレベルの舞台を創っていれば兎も角、観客に分かり易いということを理由として、自ら研鑽を積むレベルを低く設定しているのではあるまいか? 時代設定がめちゃくちゃなのは兎も角として、其処まで現実を無視するのであれば、笑いに徹し、源四朗などは、関西弁が流暢なのだから、星と言葉レベルで舌戦を展開するとか(この場合、星は無論、東京下町の方言を用いる。それがさくらであっても良いが)、無理なくシナリオの筋に溶け込みつつ、全編を通して使うことができ、且つ、面白くて飽きないようなギャグセンスが欲しいのだ。捻りが殆ど無いのが退屈である。役者達の個々の力を発揮させるのは演出である。その辺り、演出の工夫も欲しい。無論、シナリオにも、もっと次元の異なる笑いを鏤めて欲しい。役者達にとっては、その本領を充分に発揮したとは言えないような演出だったのではあるまいか? ダメダシについても、蜷川氏ではないが、初日に完璧に科白が入っていなければ帰らせる位の厳しさが欲しい。

自ら慰めて☆

自ら慰めて☆

ウンゲツィーファ

新宿眼科画廊(東京都)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/18 (水)公演終了

満足度★★★★

遊べる(下ネタも出てはくるよ。でも本質はまじめ)
初めて聞く意味や単語が続出。例を挙げると、未来人、夜明け、エコメン、オナホール等々。

ネタバレBOX

 読者諸氏は直ぐ理解できるだろうか? まあ、舞台を観ると大体察しはつくのだが。今作を書いた作家が余り本を読んで来なかったタイプなので、イマジネーションの飛び方が、面白いのだ。例えば今作では、性の在り様の変化は女性より男性・♂に顕著に現れているという形で描かれているのだが、未来人レベルになると単性生殖迄可能になるらしいのである。然し、通常、生物学のパターンでは、単性生殖では女性・♀のパターンが多いだろう。生物のプロトタイプは♀だから当然の結果なのであるが、普段読書を余りしない今作の作者は、そういうバイアスがないからある意味自由な発想をする。知識をひとまず得たうえで、その知を捨てるなり越えるなりして次元の異なる自由を獲得することは並大抵のことではないのだから。
 だが、知識不足故の問題がたくさんあるのも事実である。現実認識が正鵠を得ていない。そして、このまま、ふらふら漂い続けることのできる時間は、限られている。殊に、安倍が利用されている間に急速に進んだこの「国」の反動化は、相当の政治手腕と有能で見識のあるブレーンを抱えた人物とそのサポーターたちが本気になって、下司共を駆逐し、宗主国アメリカを一旦は追い払うのでなければ、また、今迄、アメリカにコネをつけ、甘い汁を吸って来た、裏切り者・下司官僚共を矢張り駆逐しなければどうにもならない。既に、そういう時点に来ているのだ。その間には合わない。だが、間に合うにせよ、間に合わないにせよ、生きて行くなら何とかしなければなるまい。老婆心ながら、そのレベルに立って個別の自分は、どういう選択肢を選び取るのか、その選択肢を選んだ理由は何か、未来はあるのかという程度のことは、作品の中に織り込みつつアピールしていって欲しい。
 作品自体は楽しめるし、荒削りではあるものの、オリジナリティーの片鱗は感じる。今後、何処まで回りを取捨選択しながら、結果として間違わずに舵をとって行けるか期待している。
シキサイ

シキサイ

裏庭巣箱

スタジオ空洞(東京都)

2015/02/12 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

本当に表現したかったのは何? 
作家は敢えて分かり難く作っているのだろうが、分かられてたまるか! というのでなければ、不必要にプレシオジテを使用する必要はあるまい。そんなものは、もう、とうの昔に滅んだ。フランスで流行したのは、18世紀であるから、フランス革命を準備したものだった、などという見方をする者があるかもしれない。いずれにせよ、デモデである。
 観客を混乱させる為に使われているノウハウは、終演後に明かすとして、上演中故、今回はこれまで。

u-you,company 14th STAGE『UTSUKE』三部作

u-you,company 14th STAGE『UTSUKE』三部作

u-you.company

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/02/11 (水) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

うつけを拝見
 少女5人アイドルユニットは、解散寸前。マネージャーが社長に直談判して、もう1公演打たせて貰えることになったが、失敗すればオシマイ。で、少し勉強することになった。テーマは信長の居た戦国時代だ。ところが、出掛けて行った山梨の樹海で彼女らは、(以下追記)

deprived

deprived

shelf

さくらWORKS<関内>(神奈川県)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/14 (土)公演終了

満足度★★★★★

ゆったりした空間で考える 必見の舞台
 depriveは“奪う”ということだから、その形容詞形の今タイトルはpoorの婉曲表現である。我ら日本人が、現在置かれた被植民地の状況を以下のテキストの中から選ばれた言葉で重層的・多面的に描いた今作は、役者の「語り」を眼目とした作品だが、テキストのセレクトが、実に的確で緊張感のある構成になっており、役者達の存在感によって肉化された言葉が、永い歴史を秘めた旧オフィスビルをリノベーションした空間に響く。この響きは観客を深い思索に誘う。思索を行為する稀有で濃密な時間を過ごせる。
日本国憲法前文、太宰 治『おさん』・『人間失格』、1977年10月の岩手県東山町公民館「丸山 真男先生と語る会」公演記録から『デモクラシーとは』、『君が代』、武者小路 実篤『ますます賢く』、『星条旗よ永遠なれ』、武田 泰淳『ひかりごけ』、ベルナルド・ブレヒト『セツアンの善人』、ウィルフレッド・エドワード・ソールター・オーエン『たたかいの記憶』

丘の上、ただひとつの家(全公演終了・ご来場ありがとうございました)

丘の上、ただひとつの家(全公演終了・ご来場ありがとうございました)

鵺的(ぬえてき)

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/02/11 (水) ~ 2015/02/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

肉親
 切っても切れぬ縁として肉親を描くことで、レゾンデ―トルや幸・不幸、愛とタブーを炙り出し、考えさせる作品。(追記後送)

僕の内定先は、ショッカーです

僕の内定先は、ショッカーです

劇団サラリーマンチュウニ

上野ストアハウス(東京都)

2015/02/12 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

爽快 明るい笑い
 ショッカーって、あの仮面ライダーのショッカーである。当然、世界征服を画策する秘密結社なのだ。だから挨拶はヒトラーに対してするハイルみたいな形で、鋭く“イーッ”と叫ぶ。(更なる追記後送)

ネタバレBOX

 東大文Ⅱの学生、住友 大地はひたむきになれるタイプの人間を羨ましく思っている。勉強でもスポーツでも、何の努力もせず、できて仕舞う彼には夢中になることなどないからである。おまけに金もあれば、こねもある。総てに恵まれていることが、総てに距離を取らせるのだ。一方、そろそろ、就活も解禁。彼ほどの才もコネもなく、卒業も危ぶまれる中村は、経済的にも恵まれない為、矢張り就活に必死になるしかない。そんな時幼馴染のショッカーファンが、ウェブでショッカーのインターン募集のサイトを見付けてきた。
幼馴染の彼女と大地はインターンに応募、採用される。大地と同じ日に面接を受けたのがKO大学卒の女子。大地に対して、幼馴染の女の子とライバル関係になるが。恋の鞘当はあくまでサイドストーリーだから、そんなこともあるんだ、と流してくれれば良い。
問題は、世界征服とはいえソフトランディングの時代、ショッカーとて、強面で勝負できる訳ではない。表面上は無論普通の会社である。
トップは無論総てを統括するが、現在、極東支部幹部は3人。新エネルギー開発部門には最も若いゾル大佐、手下の開発した特許や諸成果をパクることで有名であり、能力は3人の幹部の内で最も低いが、強権的で形式主義者である。メディカル事業部門は、蜂女。優秀だが、自分が自分が、と我の強いタイプ。年中ゾル大佐をからかい、喧嘩寸前で止められている。幹部の喧嘩は法度だからである。何故なら、改造が施されているので、破壊力が半端ではないからである。3人目は情報管理部門を担当する死神博士。人望厚く、部下の能力を最大限引き出すことに長けており、普段はマネージャーに現場統括を任せており、マネージャーも矢張り部下を活かす術に長け、各スタッフの好きなようにやらせて最も成果を上げている。大地らは、早速、配属先で仕事を始めるが、現場には新しい支部長を決める為のコンペの影響が現れ始めても居た。大地は、最も合理的と考えることを実践。早速、成果を上げるが、マネージャーに自らのやり方を説明し、成果を示すと、明日から来なくていいと言われてしまう。生まれて初めて、自分の“合理性”を否定されることになった大地は、矢張り生まれて初めて、本気になって働くとは何か? を考え始める。(2.15分追記)
ゾンビ沼袋

ゾンビ沼袋

lovepunk

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/02/10 (火) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

”どどいつ”がレビューには出てくるにゃ
 皆、一所懸命なのだ。闘いのシーンや闘いに向けて闘争心を燃え上がらせるシーンでは三白眼になる役者も居て、中々迫力がある。

ネタバレBOX

が、どうも表現に深みが無い。それは、身体性に頼りすぎているからだろう。無論、演劇に於ける身体は、最も重要な要素には違いない。然し、我々が生きる現代は、それなりに複雑な社会でもあり、人々の孤立も深い。この植民地では、マヤカシが大出を振って中味の無い阿保面を得意気に晒しているのに、それに気付かない人々、気付かない振りをする人々がマジョリティーなので、深く生き、悩む事を避けない生き方をすることは、容易いわけではない。だが、そのことに甘んじていては、無論、良い作品は作れない。心の内側を耕して更なる境地を開いて貰いたい。
今作は“諦めましょうとどう諦めた諦めきれぬと諦めた”というレベルをちょっとアメリカナイズした上で、植民地に当て嵌め、皮相に押し上げられたM版とみた。であれば、この状況を逆照射する痛烈なアイロニーも欲しい所だ。

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