ホールドミーおよしお
オフィスマウンテン
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/06/28 (水) ~ 2023/07/09 (日)公演終了
実演鑑賞
#横田僚平 #岡田勇人
#宮﨑輝 #飯塚大周
#矢野昌幸 #神村恵
(敬称略)
散文詩のよう。その呟きにカラダを繋げる。言葉がリレーし、カラダもリレーする。
飯塚大周さんがラスト近くで観客の仕草を真似して表現するシーンがあった気がする。ワタシと同じことを舞台上でしばらくしていた気がする。初めての経験でそれは面白かった。勘違いかもしれないけれど。
それ以外は、終演後の心には何も残らない。自分は、観る意義を感じる作品が好きなのだと再認識した。
この雨やむとき
海外戯曲をやってみる会
雑遊(東京都)
2023/06/29 (木) ~ 2023/07/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#井上幸太郎 #大沼百合子
#斉藤麻衣子 #相樂孝仁
#田中里衣 #松本みゆき
#三宅勝 #山森信太郎
(敬称略)
魚、スープ、帽子……さまざまなバトンを渡し、繋ぎ、紡ぐルーツ。語らないこと、語れないこと……知りたいこと、知らせたくないこと……守りたいモノ、守り得ないモノ。
とても興味深い作品。
斉藤麻衣子さんが滲ませた葛藤がわたしにとってハイライトだった。
松本みゆきさんがはめる最後のピースで世界が終わりを告げる。目眩がする。
最後の晩餐のような最初の晩餐。田中里衣さんの眼差しは神を信じない者にもマリアに見えただろう。彼女の瞳に映る者への慈しみが、穏やかで柔らかなその表情から溢れた。美しかった。
逆に大沼百合子さんが見せた絶望の闇の深さに、どうしようもない人間の愚かさを思い知る。
井上幸太郎さんが渡す最後のバトンが、すべてを浄化させる扉の鍵であることを祈る。
劇場空間の使い方も興味深かった。
楽園
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2023/06/08 (木) ~ 2023/06/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
#豊原江理佳 #土居志央梨
#西尾まり #清水直子
#深谷美歩 #中原三千代
#増子倭文江(敬称略)
これは子宮の話だ。
子宮は世界だ。
子宮は宇宙だ。
子宮は深くて広くて温かい泉。
子宮は神秘。
何が善で何が悪なのか。
政治がゲームのようで、そこに渦巻く権力争いも、なんだか『はないちもんめ』の数取り合戦。
神に捧げる祈りの歌と踊りが、ソコを刺激する。
確かにソコに宿るモノを可視化させた土居志央梨さんが素敵だった。
とっぽくてヤンチャ風な若者が真っ直ぐに世の中を見つめ、大上段に構えて正論を振り下ろす。そのギャップを豊原江理佳さんが見事に立ち上げた。
暗躍する権力者の嫌味を清水直子さんが好演。あの感じは、そう容易く演じられるモノではない。嫌われる空気をしっかり纏っていた。
作・演出の山田佳奈さんの作品の中で一番良かったかもしれない。
意外性はなくとも、王道の展開が楽しめる。
もっとたくさんの方に届いてほしい。
ココノイエノシュジンハビョウキデス
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#宮崎雄真 #日野あかり
#澤原剛生 #神山慎太郎
(敬称略)犬組2回目。
作品の隅々に腐臭が漂う。腐っているのは肉。腐っているのは精神。腐っているのは思考。腐っているのは関係。
幼い少女に見つけられてしまったコト。幼い少女には見ることができなかったモノ。見られてしまったのに見られていなかったコト。見てしまったのに見えてなかったコト。
その人は生きているのかいないのか。存在しているのかしていないのか。
大切で愛しい人の喜びを喜べないなら、関係は腐っているのかもしれない。人間の喜びは未来を約束するコトなんだ。そこで自己存在価値を確認しているのかもしれない。生きていてイイんだと思うのかもしれない。
だから、誰かと未来の約束をしよう。またねぇ。
ココノイエノシュジンハビョウキデス
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#宮崎雄真 #日野あかり
#澤原剛生 #神山慎太郎
(敬称略)犬組初日
綺麗なお姉さんが好きなら観なきゃ損。薄幸の美女が健気に生きる姿なんて、オトコにはこの上ないご馳走のはず。堪らない。薄幸の美女は、文字通り闇をかかえている。いや、闇に包まれている。それも真っ暗闇ではなく、薄ぼんやりとした靄のかかった闇。彼女は人生を手探りで生きている。それを支えるのは天使か悪魔か。
そこにいる人も居ない人も、人は皆それぞれの闇を抱えている。生き辛さの中でもがいている。
彼らは闇から抜け出すのか。アナタは⁉️
宇宙の旅、セミが鳴いて
劇団道学先生
新宿シアタートップス(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#中村中 #尾身美詞
#浅野千鶴 #月海舞由
#鈴木結里 #稲葉佳那子
#佐藤正和 #速水映人
#青木友哉 #川合耀祐
#本間剛(敬称略)
枯れ枝に産みつけられた蝉の卵は越冬し、暖かくなるとカラダを形成し始める。湿度を察知すると準備して、雨が降ると孵化して1時間以内に土の中に潜る。そこから7年ほど木の根から栄養を吸って成長し、夏に羽化して僅かな成虫期を過ごし産卵して一生を終える。我々がセミと呼んでいる姿で生きるのは100ヶ月の一生のうちの最後の2ヶ月くらい。人間の生涯を80年としたら最後の1年半の姿。想いを巡らせると胸が締め付けられる。セミは哀愁の塊。哀愁そのものだな。
遭難したり、航空トラブルや船舶……タイタニックもそう。生きながら死が迫る状況に直面するとどうなるのか。どうするのか。
人はいつでもどこでも恋するイキモノなんだな。
ざわわだな。
中村中さんは、やはり目を引く俳優さんだ。発する声や言葉と表情がちゃんと繋がってる。
大好きな尾身美詞さんと浅野千鶴さんが姉妹というキャスティングに身悶える。
加えて、文学座研究生の時から拝見している鈴木結里さんと川合耀祐さんの活躍も嬉しかった。
チュー💋したくなった。
地獄のオルフェウス
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2023/05/09 (火) ~ 2023/05/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#名越志保 #小谷俊輔
#下池沙知 #鬼頭典子
#赤司まり子 #つかもと景子
#廣田高志 #金沢映実
#高橋ひろし #若松泰弘
#鈴木弘秋 #太田しづか
#木津誠之 #頼経明子
#室園元(敬称略)
初日。この感覚はいつ以来だろう。完全に作品の世界に取り込まれた。ヒリヒリとした空気を体感し、集中が研ぎ澄まされて、心も脳も前のめりになっていることを感じていた。
そこにあるのはアメリカ南部に蔓延った差別と、その暴力性。肉体への暴力は勿論のこと、精神を打ちのめす思想による暴力も存在する。それは人生を踏みにじる。人は誰かを上から見下し、弱者の存在を感じていないと安心できない生き物なのだろうか。ネチネチと人に絡み、尊厳を金と暴力で奪う。毎日死にたくなりながら、一体何を守って生きていけばいいのだろうか。
何が善で何が悪なのか。善に見えるものと悪に見えるものの本質は、本当に見えている通りなのか。
今作は作者による、愚かな世界愚かな社会愚かな人間へのアンチテーゼ。他者と違う装いで立ち、疎まれ蔑まれ村八分にされる者の叫び、そしてその者の瞳に宿る怒りの中にこそ、追求すべき真実がある。大好きな下池沙知さんが、孤高のジャンヌダルクのように、美しき精神を持ちながら虚勢と不安の中で溺れそうな汚れたキャロルを見事に立ち上げた。たくさんの人に彼女を観てほしい。
名越志保さんの声の美しさは宝石のようだった。ウットリと聞き惚れた。
鬼頭典子さん演じる保安官夫人も印象的だった。彼女が抱えた、人生を生きるというある種の信仰が、希望と絶望を内包しているように思えた。
研究生の時から抜群の存在感を放った小谷俊輔さんも、やっぱり良かった。
演劇の素晴らしさを実感する公演がここにある。たくさんの人が、この素晴らしさを共有してくれることを願ってやまない。
DEEP FOREST
青色遊船 aoiroyusen
王子小劇場(東京都)
2023/05/05 (金) ~ 2023/05/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ふくろうの森▶️
#板橋直久 #大賀美佑治
#黒田智栄 #桜羽萌子
#羽田敬之 #日野あかり
#廣川千紘 #星澤美緒
#真寿美 #丸本陽子
#村上愛梨 #鈴木ゆき
(敬称略)千秋楽。
4本の短編オムニバス。作者の異なる色合い違う作品ながら、思ったよりひとつにまとまった印象を受けた。
目当ての日野あかりさんは、白井ラテさんの二作品に出演。これまでの出演作では観たことのないキャラクターを演じられていた。ギャルの設定は、観ていて楽しかったし、きっとご本人も楽しんだのではなかろうか。ギャルに思いのほか嫌味がなかったのも、日野さんの美しさによる愛らしさの為せる技。クルクル変わる表情が可笑しくも可愛いくて目が離せなかった。
ダダ漏れする心の声も可笑しかったし、ちょっぴり切なかった。
ともかく、今回も抜群に素敵だった日野あかりさんを堪能できる作品だった。
丸本陽子さんの漫画家の孤独も共感を生む好演だった。
あたらしい朝
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/05/03 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#清水緑 #北川莉那
#木村巴秋 #小瀧万梨子
#亀山浩史 #菊池佳南
#金澤昭 #大池容子(敬称略)
人との出会いも芸術との出会いも、一瞬で気が合うかどうかって分かる気がする。察知できるモノだと思う。今作もオープニングのあの瞬間、初演の興奮が甦ったし、楽しい〜ってなった。
上演時間が70分であることに驚く。それは『えっ⁉️たったそれだけ⁉️』の意味。充実し過ぎていて、体感は100分超。つまり、無駄なく有意義な時間が詰まっていたってこと。
辻褄を合わせるように観てしまいがちだけれど、幾つかの時間や場所や視点が交錯して、時空も思考も歪みが生じて、まるでシチュエーションコメディのように脳内で混乱を引き起こす。でも、嫌じゃない。むしろ気持ちいい。
金澤昭さんがイイ味を出している。好きだなぁ。
菊池佳南さんが綺麗だったなぁ。
小瀧万梨子さんの美しさと惚けた表情がサイコー。
挙げるとキリがなくなる。皆さん魅力的。
そう、つまりは『演劇って素晴らしい』ってこと。
そういうこと。
だから、ぜひ観てほしい。
ワタシもおかわりする。
デンジャラス・ドア
爍綽と
浅草九劇(東京都)
2023/04/26 (水) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#佐久間麻由 #安藤奎
#安藤輪子 #永井若葉
#西田麻耶 #西出結
(敬称略)アフタートークのゲストは #山田由梨 さんと #橘花梨 さん。もちろんこの回を選んで観劇。
ゲストはアンパサンドを未見で、#爍綽と 主宰の佐久間さんが観たのは昨年末とのこと。わたしは2021年の10月のテアトロコントで、鄭亜美さんを観るのが目的だった。そこであのテイストに打ちのめされた。
オフィスの悲哀。互いを思いやりながら追い詰めていく。まるで女子の部活の縦社会の掟のような世界。ヒリヒリしながら焦れる。焦れながら可笑しくて笑っちゃう。
その上、今作は踊り出す。それがまたカッコよくて可笑しい。可笑しいのにカッコイイ。完全にハートを鷲掴みされる。
なんと千秋楽にまだ席があるらしい。演劇の可能性を、面白さを味わいに浅草へ出かけてほしい。
立ちバック・トゥ・ザ・ティーチャー
Peachboys
ザ・ポケット(東京都)
2023/04/19 (水) ~ 2023/04/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#GO #KYOKYO
#KYOSUKE #生粋万鈴
#大石ともこ #佐藤友
#田中彩優希 #つつじあゆこ
#永吉明日香 #根本こずえ
#福永理未 #熊野善啓
#島田雅之 #園田シンジ
#三宅法仁 #山田健太郎
(敬称略)
いいオトナがめいっぱいはしゃいで羽目を外して下ネタ満載で馬鹿をやり尽くす公演は、ある意味清々しい。キャストは様々な作品で拝見した百戦錬磨の名優たち。これも舞台ならではの良さ。客席も大いに笑って、劇場を後にする人のスッキリした笑顔も印象的だった、
ハートランド
ゆうめい
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2023/04/20 (木) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#相島一之 #sara
#高野ゆらこ #児玉磨利
#鈴鹿通儀 #田中祐希
(敬称略)
ハートフルなランドではなかった。それでもそこは生きづらさを抱えた人の楽園かもしれない。現実と虚構、人生と映画、実世界の中に侵食したバーチャルワールド。交錯するのは人生なのか人間同士か。
どんな作品にも、わからないモノは存在する。それは当たり前で、我々は文学も映画も舞台も、芸術は観聴きする者が観聴きできないモノを補完しながら鑑賞、観賞する。それが作り手の独りよがりでは困るけれど、登場人物や作家の向こう側に思いを馳せるような難解さは心地良い疲労をもたらす。今作はまさにそんな疲労感を味わうことのできる作品だった。
歴史に名を残すことのない凡人は、如何にしてこの世に存在したことを何かに刻むことができるのかを漠然と求めているのだと思う。それが、ナイフで幹に名を彫ってみたりすることになるのではないだろうか。その延長線上に、読み人を必要としない遺言があるのかもしれない。
教育現場に身を置く者としては、いじめの持つ大罪について改めて考えなくてはいけない気がした。どんな世界でも、弱者を感じることで自己存在感を得ようとするのが人間の習性だと思うから。
キャストも素晴らしかった。大好きな相島一之さんはもちろんのこと、文学座の超新星saraさんのスタイルと歌と演技…というか佇まいに痺れたし、児玉磨利さんも素晴らしかった。
開演と終演に施される映画上映スタイルの試みに拍手。作品の特色とリンクしての演出だけれど、そうでなくても演劇にエンドロールがあってもイイと思った。演劇でも、スタッフにも光が当てられてイイ。
2023年の重要な作品になると思う。必見。
星レト短編集 『plumaje』
縁劇ユニット 流星レトリック
サンモールスタジオ(東京都)
2023/04/14 (金) ~ 2023/04/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
#厚地彩花 #堀有里
#山本彬 #中島大地
#江花明里 #水瀬まなみ
#村上紀生 #神田澪那
#榎あづさ #沢田美佳
(敬称略)【読】
リーディング公演を観た。
椅子に座ってのシンプルなリーディング公演。視覚情報で補えないため、言葉と声に集中して、それを存分に味わった。
4本の短編によるオムニバス公演。別々のカラーを堪能した。
目当ての江花明里さんが、これまで拝見してきた多くの作品の中でも一番美しかったのではなかろうか。可愛らしさを卒業して、大人の女性の美しさを纏ったように思えた。可笑しさは散りばめつつ、後半のサスペンス寄り急展開の重馬場も、この美しきジョッキーは見事に駆け抜けた。惚れ直した。
今回の出会いは厚地彩花さんだった。ジェンダーがどうのこうのは関係なく、ともかく純なトキメキを観客に存分に味わわせてくれた。ルックスも良いのだが、声がとても魅力的でウットリした。動きのある彼女の演技を観てみたいと思った。
リーディング公演だから当然なのだけれど、ト書きが読まれる。もちろん画を想像するために必要なのだけれど、それがあることで、説明的なセリフも浮かび上がって目についたと思ったのは思い過ごしだろうか。
やはり次回は、本を持たない演劇を拝見してみたい。リーディングでも短編でもない、吉原優羽さんの本と演出を味わいたい。
こぼれるかけら
UGM Kreis
Mixalive TOKYO・Hall Mixa(東京都)
2023/04/12 (水) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
#西村美咲 #木下綾菜
#宮本愛 #木所真帆
#小野沢智子 #緑川良介
#西川俊介 他(敬称略)
初見の団体さんにご招待いただき拝見した。キャストも皆さん初見で新しい出会いの予感を感じながら劇場へ。
すると、ひときわ目を引く美しさとハートを鷲掴みする振り切ったキャラを見事に立ち上げたキャスト。直ぐに気づいた、『新編ロミオとジュリエット-薔薇の名は-』で抜群の存在感を放って魅了した西村美咲さん。最高だった。登場する度にキュートで可笑しくて笑った。こんなにも『早く出てきて、もっと出てきて』と思いながら観ることはない。それほどに群を抜いて素敵だった。
脚本もなかなか興味深いモノだった。美術は経費の問題があるのだろうけれど、もう少し工夫が欲しかった気がする。客席通路を使う演出は、出捌けの多様化と共にキャストと近くて楽しめるだろうという狙いもあるのだろうけれど、多過ぎはしないだろうか。やや鬱陶しさも感じてしまった。
好きだったのは、小野沢智子さんがお茶しながら語るシーン。優しさが滲む良いシーンだし、温もりを感じる自然な語りが素敵だった。
ノビノビしたキャラを楽しげに見せてくれた木所真帆さんも良かった。
木下綾菜さんのスタイルの良さにはビックリだし、宮本愛さんの可愛らしさはもちろん、後ろ姿に惚れ惚れした。
男性キャストは、人を繋ぐ西川俊介さん、賑やかしの緑川良介さんが観ていて気持ちよかった。
作品の印象は、イケメンと美女がたくさんいらっしゃって、地下アイドルたちのカーニバルかと思うほど。ちょっと場違いな公演に来てしまったかと思った気持ちを、上記のキャストさんたちが救ってくれた。キャストというか、登場人物がやや余剰な気がした。キャスティングとの兼ね合いとかもあるのかもしれないけれど、もう少し整理すると作品のクオリティは上がるような気がした。
紙は人に染まらない
藤一色
OFF OFFシアター(東京都)
2023/04/06 (木) ~ 2023/04/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
#藤束遊一 #谷川清夏
#浜舘洋 #島津尋 #林竜三
#藤屋安実 #加藤広祐
#藤松優(敬称略)
かの大戦を終えるまでの日本の国家主義や全体主義と、教育が担った役割とその崩壊については、語り継いでいかなければいけないと思っている。
敗戦したからこそ、戦争をすることは間違いだと言える世の中になったけれど、それを言えないあの時代に、どれほどの人間が本当にそれを思えていたかは分からない。そうした思いを抱く人が多くの作品に登場するけれど、その存在はどれくらい居たのだろう。召集令状が届くことを喜びと受け取る社会で。
個人的には、最近その辺のことがわからなくなってきた。
今作品でも、それぞれの立場や主張の根拠を掴むことができなかった。何故そう思うのか、それを訴えるのか、理解しきれなかった。多分に、花粉症の薬の副作用による眠気も影響しているけれど。
目当ての谷川清夏さんは素敵だった。観る度に魅力を増している気がする。また拝見したい。
けむりの肌に
キ上の空論
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#安西慎太郎 #大和田南那
#谷佳樹 #宇佐卓真
#木村葉月 #岩崎悠雅
#藍澤慶子 #鎌田麻里名
#小野里茉莉 #山本華
#板場充樹 #平野紗貴
#笠原紳司 #丸山敦史
(敬称略)
イケメンと美女しかいない世界は、なんとも美しくキラキラした夢の世界だった。額に収められた絵画のようだった。
それでも、藍澤慶子さんが出てくれば他は見えないのだけれど。アレに夢中になって暴言も吐いちゃってる姿が可愛くて可笑しかった。
大学時代の友人は特別だと思っている。仕事に直結することを通じて繋がっているからなのかもしれない。頻繁に会えたりできないけれど、いつだって側に居る感じ。そんな風に今も繋がっている。
そんな四人のあの頃と今。二人のキャストでそれぞれを見せてくれる……アノ人以外は。それが、時が止まっていることを感じさせてくれた。
人との距離って如実に感情に反映する。別れが直ぐに感情を揺さぶる距離がある。それは近さと比例する訳ではない。近いとソレを感情が無意識のうちに拒否しているのだろうか……悲しみを直ぐには感じないような気がする。砂時計の砂が落ちるように、ゆっくりと沁みて積もっていく。それは根雪のようで、簡単に溶けたりしない。
そして、この世は恋心と、そこから派生する憎悪で動いていると再確認する時間だった。
肌と心を焼いて天に昇る白い煙と共に、空っぽになった心も昇華するだろうか。いつか、月を照らす水が心の器を満たす時が来ることを願う。
沈黙の春 світло
コンドルズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2023/04/07 (金) ~ 2023/04/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#CHAiroiPLIN
#チャイロイプリン
#しょくたく
#ダンサーのための芝居
#柏木俊彦 #鳥越勇作
#小林らら(敬称略)
なんとも可愛らしく愛おしい。それなのに……それだから……大好きな人に久しぶりに会った時の嬉しさとその後に襲われる寂しさに似た、訳もなく涙が込み上げるような切なさを味わった。
観ながら、昨年、三鷹で再演された『あたま山』を思い出していた。ケチ兵衛を想う娘の悲哀が蘇った。
二組の皿と箸。そこに加わる小さめの皿と小さめの箸。子どもはみんな、親から箸の持ち方を教えてもらうに違いない。
成長していく子どもは、楽しい経験を重ねながら時を過ごしていく。やがて長い人生を歩んで、順番にその時を迎える。自分を大切にしてくれた人が逝き、自分を守ってくれていた人のいない寂しさや孤独をフワリと纏う。きっと役割を交代して、自分が新しい生命を守り育てて、その長い人生を豊かに生きるサポートをすることだろう。しているのだろう。
ただ、幾歳になろうとも親の子であり続ける。
みんなそれぞれの時間を持ち寄り交錯する食卓。優しさと愛情を山盛りによそって味わう食卓。
笑いとペーソスが散りばめられたま〜るい時間を堪能した。
それにしても、小林ららさんの体幹の強さ、バランスの良さに改めて驚かされた。そして美しかった。
沈黙の春 світло
コンドルズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2023/04/07 (金) ~ 2023/04/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日。
未見だったコンドルズ。
カッコ悪さがカッコいい。正直さがきっと自分らしさで、自分らしさはカッコ悪いのかもしれないけれど、それを受け止めて正直に生きるとカッコ良さに変換されることを目の当たりにした気分。
そして紛れもなく、カッコよく生きる方法は必ずあるのだと教えられて、それを探しながら生きようと思わせてもらえた。勇気を与えられた気がしている。
次回の埼玉公演は、妻の誕生日。連れていきたいな。
K2
滋企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/03/24 (金) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#太田宏 #佐藤滋 #伊藤毅
(敬称略)
とっても楽しみにしていた。アフタートークで知ったが、日本での上演は4つめのカンパニーになるらしい。日本初演が菅原文太と木之元亮だというのだから驚き。それ観たかったなぁ。前回の上演がパブリックシアターの堤真一と草彅剛でチケット争奪戦で大変だった。
その作品を、アゴラ劇場の狭いスペースでやるのだからたまらない。臨場感を想像するだけでゾクゾクした。
結論から言うと、良いとか悪いとかではなく、冷静に落ち着いて観終えた。きっとそれは内容も結末も知っていたことが多分に影響している気がする。そしてやはり、舞台の余白が物理的に少ないことで標高8000mの絶壁における畳二畳に満たないスペースの孤独を、美術セットのコントラストから感じることは出来なかったことが大きい。加えて、陽気さ(恐怖心や葛藤からの裏返しであったとしても)やハイテンションに葛藤を受け止め難かったように思う。冒頭に孤独を感じさせる時間を長く入れたら違うモノを感じたかもしれない。
剥き出しの鉄パイプで組まれた舞台セットは、見えている時の活用法よりも、暗転時に響く音の利用に高山の孤独や恐怖を感じさせる効果があったように思う。
あのサイズの劇場で上演したことに価値があったし、二人の俳優さんも好演していた。空間とどう融合させるか、演出のアイデアが光った。
今作の内容を知らずに観る人を羨ましく思う。
本人たち
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
STスポット(神奈川県)
2023/03/24 (金) ~ 2023/03/31 (金)公演終了
実演鑑賞
#古賀友樹 #渚まな美
#西井裕美(敬称略)
開演前と前説と開演のボーダーレス。そこに休憩までも。上演部分自体も作品として構築するというコトを取り払ったような造り。感じる人…感じ方によっては、演劇なのかと疑問に思うのではなかろうか。そういう実験的な試みを続けてきた彼等の現状、今を観ることができた。
言葉は意味を成しているとも成していないとも感じる部分が交錯する。会話もバイオリズムや周波数の違う個々の人間が紡ぐものであり、噛み合ったり噛み合わなかったりを繰り返す。
紡ぐ言葉も、句点が失われ、文を完結せずに別のことを放り込むので、主述が迷子になって、真っ暗な宇宙に放り出されて帰還できなくなったアストロノーツの気分。脳が疲弊した。
身体表現は少なく、楽しさは求められない。
今回は、持ち帰るものをあまり手にできなかった。