満足度★★★★
雨の中、豊島区の廃校の校庭で
当日は雨だった。小雨ではあったが降っている。ビニール合羽が100円で売られているのを買い、ポリ袋に荷物を詰め、心して椅子に座って観た。
以前書店で立ち読みしたテキストから感じた「世界」を裏切らないタッチで、一人一人がそれぞれのエピソードにおいてスポットを当てられ、語られる言葉はその時間・空間が3・11後の世界で吐かれ、そこに遡り得る時間を生きている主体であることが、横溢している。
初演が、いわきの学校で生徒と共に作られた事と場所との関係が、今回の再演では異なる。どうしたか。・・冒頭、初演時の校長先生の挨拶が大型テレビから流れ、また終盤には今回参加出来なかったキャスト(他は初演時のオリジナルキャスト)が近況を語る録画映像も流れた。キャストの卒業後の現在の立場を語る場面もあって、オリジナルの「ドキュメント」性がそれらによって一貫していた。作品(テキスト)としては、最後に付け足されたらしいシーン・・延々と続くリフレインが、終りを見ない事が分った時(相当時間は経っている)、飴屋氏が終演を告げに出てくる。「グランギニョル未来」公演のラストで飴屋氏自身が叫んだ叫びを思い起こさせる張りつめた、長いシーンだった。
遊び的な言葉や詩の中にドキッとさせられる鋭利さが時として光る。存在の心許なさの中に、「命」が意識される。