満足度★★★★
ウェルメイド・ドラマとしての洗練
劇団朋友の名前には馴染みがあり、いくつかの過去演目を覚えており、予約して観劇する寸前にもなったせいか一度は観た気で居たが、実は一度も観劇していなかった。が、想像していた通りの雰囲気を持つ劇団、舞台だった。「よく出来たホームドラマ的な芝居」を、観たいと期待し、その期待通りの芝居を、意外にも休憩を挟んだ(25分!)二幕構成でゆったりと、観劇できた。そして芝居の質としては洗練の域で、本の面白さもあるが、役者が十全に、破綻なく「らしい」庶民のそれぞれを演じ分けていた事により、意外にも(?)「真に迫った」芝居の瞬間を作れていたのだ。コーラスグループのメンバーとその家族(凡そはメンバーの抱える問題が会話の中で言及される)の話だから、「歌」は出てくるのだが、ミュージカルテイストにはならない。働いてたり定年を迎えてる庶民が作る地域のささやかなコーラスグループの、実にリアルな、バタ臭いドラマなのである。歌は二曲がフルコーラスで歌われる。真面目に歌っていて、そこそこ聞けてそこそこ素人臭い絶妙さが良く、選曲が良い。特に二曲目。だが決して「歌」に頼った感はない。深刻な社会問題をストレートに扱ったりしていないが、しっかり身につまされる部分が作られている、うまく出来た芝居。