義務ナジウム 公演情報 義務ナジウム」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★

    民俗学的な…
    「九州の、とある山奥にひっそりと在る陸続きの孤島・美女都村」が舞台。昔から住んでいる村人と新しく移住してきた人の、その土地に伝わる因習をめぐるお話である。その因習というか風習はよく仄聞した内容だが、改めて芝居として見ると、あぁそうなんだと納得する局面もある。それだけ脚本が魅力的であり、それを上手く演出している。また、キャストはワンツーワークスの2人の女優はもちろん、各キャストが魅力ある人物を演じていた。その性格付け、役割が明確でわかり易い公演であった。しかし、その描いている内容はある種の問題提起をしており、見応え十分であった。

    ネタバレBOX

    さて、問題提起とは、古くからその土地で行われてきた「14歳男子の『筆おろし』」と「女子の『水揚げ』」(通俗的で失礼)をめぐる村人と新しく移住してきた人の意識のギャップ。地方にはそれぞれ生きるため、生活するための習わしがあるが、一方、新住民にとっては理解し難い習わしである。自分が思っている常識が時と場所を変えれば非常識になり得ることも確かだろう。その状況下での自分の信念とは何という鋭い問いが発せられる。実に興味深い公演であった。

    また、古城十忍 氏の演出であり、舞台美術もその土地感覚、雰囲気を出した素晴らしいものであった。

    次回公演も楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    正攻法
    村社会としての日本を描いた作品。

    ネタバレBOX

     従って村八分になることを恐れて、言いたいことも言えぬ状況が描かれている。つまり理屈の通らない社会がそれを支持する者、反対する者、他所から来て、関わろうとする者の構造を通して描かれるわけだ。
     然し、描き方が正攻法なので、あんまり真面目過ぎて楽しむ要素には乏しい。無論、キチンと見つめなければならない大問題を提起しているという意味で良いシナリオだし、上演することにも大きな意味のある作品である。だが、芝居の楽しみを考慮するなら、ミステリー仕立てにする、という手もあったのではなかろうか。今のままでは、余りに生々しい。
  • 満足度★★★★

    因習と言えば
    iaku『目頭を押さえた』やオペラ『フィガロの結婚』を思い浮かべました。

    ネタバレBOX

    14歳になった男女に性の手ほどきをする古い因習を守り通している村の話。

    すぐに、iaku『目頭を押さえた』を思い出しました。どちらも、本当かどうかはともかくとして、因習のある日常生活を真摯に演じ切っていたところは素晴らしかったと思います。

    『目頭…』が最後の最後に葬儀にまつわる山村の因習が明らかにされショックを受けたのに対し、本作品では最初から性にまつわる因習のこと、途中からはヘコ親と呼ばれるその年選ばれた大人が14歳の中学生に対してセックスするということが分かってしまったため衝撃度は低くなりました。

    生きたカエルを串刺しにして捧げる風習が動物虐待ということで反対運動が起きているとのニュースがありました。また、『フィガロの結婚』に出てくる初夜権も今はないと思います。風習とはいえ、子供に対する虐待に当たり、淫行条例に引っ掛かるような行為や動物虐待に当たる行為は即刻取り止めるべきだと思いました。

    ところで、九州の劇団ゼロソーにとって今回の演出家はヘコ親なのでしょうか。スローモーション&ストップダンスまで手ほどきしなくても良いのではないか、少々見飽きています。ゼロソーさんもこれが東京のスタンダードではないですから、そこんとこ宜しくです。
  • 満足度★★★★★

    ”おこもり”と”へこおや”の因習
    脚本が興味深く、舞台セットも十分な雰囲気醸し出していました。
    役者も皆さすがと思わせる芝居でした。
    まだ、どこかで表に出ない因習が残っていそうなそんな気持ちになりました。
    ラスト前の揚場(あげば、関谷)、九(いちじく 、山下)、美女都出身でない妊娠中の沙織(さおり。松岡)の3者による沙織の夫の次郎の”へこおや”が受け入れられない気持ちのまま、最後に堕胎を口にしようとした時、長男の嫁でありながら子供ができない揚場が言った言葉と一滴の涙が零れるシーンは感動しました。(凄い!)
    この場面だけでも観に来て良かったと思いました。
    素晴らしかった。

    ネタバレBOX

    ”おこもり””へこおや”は美女都(みめと)の美女祭りの日に行う因習にあることば。

    ”おこもり”とは、
    美女神社の社で中二(14歳)の男の子に性の手ほどきをする成人した女性。性的に間違った道にいかないようにし、男としての自信をもたすことがが目的。
    ”へこおや”とは、
    中二(14歳)の女の子が性の手ほどきを受ける相手の成人男性。
    男の家に泊まるため、前もって決めておく。目的は”おこもり”と同じ。

    ひとつだけ疑問だったのは,美女都出身のスカッシュ選手の千晶は中二の時には、”へこおや”の処へ行っているはず。その千晶が今度は”おこもり”となると気持ちに整理がつかないのは、外の世界を見てきたからでしょうが、そこをもう少し掘り下げてほしかったです。
  • 満足度★★★★★

    ならわし
    チラシのデザイン、あのかたちっぽいなあと思ってたら、やっぱりそうだった。最後に並んだ女3人がエロチックかつ「厳粛」(←惚れ直しました)。現代日本ではこういうならわしは絶滅したと思いますが、同時に大切な何かも失われてしまったような気がします。

  • 満足度★★★★★

    まさかの題材
    奇妙な村の掟を精巧に描写し、時には禍々しく表現する。
    おどろおどろしい舞台美術、奇妙な風習をまじめに悩み苦しむ様を演じきる役者陣にすっかり引き込まれました。

  • 満足度★★★★★

    惹き込まれました!
    登場人物の葛藤がよく描かれていました。ワンツーワ-クスの女優陣は安定感がありますね

  • 満足度★★★

    異世界のような日本の民俗
    どこか柳田國男氏の学説を読んだような錯覚。
    劇中、太鼓の祭囃子が懐かしくもあり、場面的には追い立てられているような気にもなり。
    その場に居合わせた男。その出身の女、これからの夫婦。苦悩と葛藤と摩擦熱、もう少し話を詰めてくれれば良かった。女優さんたちが良かった。
    約2時間。

    ネタバレBOX

    九州のとある山間部の町、そこに暮らして住む人々にとっては当然の行為「オコモリ」は古くから続く祭事慣習のようなもの。それを知った他所から来た者にとっては、その風習は因習にも受け止められる。それを受け入れるかどうかで、自分もその土地の人間になれるか試されているようで薄気味悪さを感じた。
    多分、自分自身の知らないところでは似たような風習が今なお残っているのかもしれない。辺境の地でも不自由なく生活していたら郷に従い、受け入れているかも。
    沙織が指摘する場面で、兄嫁や知人が悪意もなく、その土地の大人の男や女が思春期の男の子女の子を成人教育するという事を、ただ心境を吐露しているだけなのに生々しく想像してしまい、嫌悪感まではいかないがその2人の話にどこか納得しそうにもなった。こう言うと偏見と思われるのかな。

    トンネルが開通して公式競技キャンプ地の誘致に成功しても、田舎の歴史経緯を知っている周辺自治体などの横槍も入りそうで、この町の行く末が楽観的になるとはあまり想像出来ない。地方文化と都市文化、経済の循環、男女の考えが色濃く出てた気持ち悪い人間ドラマだった。

    すぐに賛同は出来かねるが、こういう世界もあるんだなと認識。ただこの舞台は自分には合いませんでした。
  • 満足度★★★★

    なるほどのタイトル
     「オコモリ」って何だ?それが部外者の疑問を解く形で、次第に観客に明らかになっていく。このとんでもない因習をめぐっての、登場人物の一人一人の距離感の違いが面白い。全否定するするわけにもいかないから、ああいう結末は説得力がある。
     ワンツーワークスの舞台らしい演出と熊本弁がなじんでいた。難を言えば女優陣と男優陣に力量の差が見えたところだろうか。

     

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