もう風も吹かない 公演情報 もう風も吹かない」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    行ってよかった!
    実は青年団を観るのが初めてで、どんな雰囲気の作品なのかもなんの前情報も入れずに行ったのですが、大満足。
    奥行きがあって明るい爽やかな舞台美術にも満足だし、役者さん・物語には言わずもがな大満足。
    歌っちゃったりして一見にぎやかながらも底には暗い空気が漂っていて、どこかみんなギクシャクしていて、それでも必死に笑顔で終わる。作り笑いが似合う、そんな作品でした。

  • 満足度★★★★★

    アンビヴァレントな、、、オリザ
    青年海外協力隊は善か偽善か。
    政府の海外支援は、本当に援助なのか、企業ぐるみの第三世界支配(金儲け)の一環なのか、、、などに揺れる物語。

    作品とその作者を重ねて見る観方はよくないと言われるが、
    この作品においては、そのように観てしまった。

    ここで揺れている主体は、青年海外協力隊であり、この戯曲を初演時に書いた桜美林大学の学生(つまり、現代の若者)であり、そして何より平田オリザ氏自身のように思えた。

    アジア問題をはじめ社会批評的な作品を作りながら、
    教育について言及・実践を重ね、政府系の権威的な役職にも付き、
    一時は民主党政権で内閣官房参与を務めるなど、
    政治的に賛否の別れる立場で振る舞い続けている平田オリザ氏。
    ここで描かれているのは、彼の葛藤なのではないか。

    それは、権力批判や資本主義批判をした瞬間に、その批判される対象に自分も重ならざるを得ない私たち観客自身の姿とも重なる。
    (もっとも分り易い例で言えば、日本に住んでいるだけで、世界レベルの構造の中では、好む好まざるにかかわらず、不可避的に搾取する側になってしまっているということなどが挙げられる。)

    また、近未来に日本が財政破綻することや、(TPP交渉などによって)農業が壊滅することなど、10年前に書かれた脚本なれど、初演当時より、今の方が物語の現実味を帯びてきている感じもする。そういう批評性も素晴らしい。

    ただし、芝居としては、かつて見た青年団の作品と比べると、それほど刺激的とは思えなかった。
    そのため、芝居の満足度は☆4ですが、やはりそこに平田氏自身の葛藤を感じるので☆5。

    ネタバレBOX

    志賀廣太郎さん演じる:植田の葛藤(沖縄のくだり)では、特に平田氏の葛藤を感じた。

    いままで何作品か青年団の芝居を観たが、
    素晴らしいと思う作品には、いつも余白がたくさんあり、
    台詞やその意味にではなく、役者と役者との微妙な関係性の中にその凄さがあった。
    そういう部分は今回の芝居では感じなかった。

    それが作品としての物足りなさではあったが、
    逆に、脚本の台詞やその意味に感じ・考えるものがあった。
  • 満足度

    うーん
    演技に不満

  • 満足度★★★★★

    勇気づけられる
    青年団の芝居でこんなに笑ったの初めてかも、って位アットホームな観客席。笑いが多く、わかりやすく、でもとても深い。作中の登場人物達と同世代だからか、自分の事のように一人一人に共感してしまう。この国で生きる事のやるせなさ。日本が滅んでいく可能性。人が人を救う利他性への懐疑的な視点と希望を与えるような物語構成。一つの作品に出会う事が、多くの人の生き方を変える力を持つなぁと、力をもらうような傑作でした。

  • 満足度★★★★★

    青春群像劇
    全くのSFでもなく、なさそうでありそうな特殊な環境下における青年たちの発想を想像してみることは非常に有意義だと思いました。

    ネタバレBOX

    宇宙ロケットの中の飛行士たちの話でもありません。学園ドラマでもありません。青年海外協力隊の派遣前の訓練所という馴染みの薄い場所、加えてIMFの管理下に入って1ドルが480円台になっているような財政破綻した日本という状況下、そして、今回の派遣が最後となるという特別な回に当たることなど、もしかしたら起こり得るかもしれない特殊な事情がいくつも重なった環境下における青年たちの話というところが絶妙です。

    青年たちも青臭くある種特殊な人間で、鬱屈していなかったら普通に就職してここには来ていないという話や、相手国のためにではなく自分探しのために協力隊に入るのだなどという話を納得しながら聞きました。

    食堂のお姉ちゃんが一番印象的でした。彼女は訓練生たちにこれまでも時々ちょっかいを出しながら、それでも訓練生に恋してはいけない、なぜならば、と言ったところで、学校の先生と言うのかと思いましたが、特攻隊の若者を送り出す食堂のおばちゃんの心境と同じだと言い放ちました。

    物凄くなるほどと思いました。訓練生が飲酒したぐらいで一々追放していたら誰もいなくなってしまいます。また、青臭く鬱屈した精神を持つ青年をなだめすかして旅立たせることも大切です。良く分かる例えでした。

    同じ植民地運営でも、ポルトガル、スペインなどの略取的手法と、イギリスなどの殖産的手法があったこと、そしてその手法の違いがその地域のその後の発展に大きく影響したという解説には、何となく分かっていましたが目からウロコでした。

    そして、日本の韓国併合について考えさせられました。植民地だったことを恨む気持ちは分かりますが、略取的手法と決めつけている韓国の言い分はあまりにも一方的過ぎると思いました。

    青春群像劇を楽しむとともに勉強にもなりました。
  • 満足度★★★★★

    若い力の演技を見せた120分
    もともとは、平田オリザさんが、演劇コースのために書きおろした作品ですが、青年団の若手メンバーと、脇役のベテラン(志賀さんや、山内さんほか)の演技の融合がよかったし、何のために援助活動が停止するのか、人々の心理が若手メンバーのから、ベテラン俳優へのひとつのメッセージかも知れない、120分でした。

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