満足度★★★★
戦後の人々の精神的な混乱を描いた作品。
こないだまでは殺すことが善とされていた、
今は、殺すことが悪なのか。
ここに自分がいるのは本当なのだろうか。
もっと違う世界があってそこにいる自分が本当の自分なのではないか。
狂人だというが、本当は君たちの方が狂人なのではないか。
死んでいるのはどっちなんだ。本当は君たちが死んでいるのではないか。
神を崇高している者、でもその神が戦争をするような人間を作ったのだ。
その神を君は崇高するのか。
戦争を停めるため、その停めるための戦争を人間がしている。
そして、原子爆弾という恐ろしい兵器を作った。
神にしか立ち入ることのできない領域に人間が立ち入り、
人間を殺すための兵器を人間が作った。
とまぁ、さまざまな矛盾に苦しむ人間模様を描いた作品でした。
とても重たく、体に力の入る作品でした・・・・・・、
が・・・・私的には、
何と言っても、松田龍平くんを目の前で見れたのが
めちゃくちゃうれしかった。
いまや、ミズタクイメージが色濃いですけど、
私としては優作さんの息子を間近に見られたということに鳥肌の立つ思い。
また一つ夢が叶いました。
満足度★★★★
昔の戯曲とは思えないほど“今”だった
戯曲を読んだ時には気づかなかったことがわかったり、今の自分に引き寄せて考えることがあまりに多く、観ている時間=考えている時間という、演劇としてとても豊かな体験でした。松田龍平さんが素晴らしかった。
満足度★★★★★
さすがでした!
キャストのラインナップも凄かったけど、お芝居自体もすごかった。
見応えがありました。
最初から、長台詞をよどみなく語る田中哲司。
静かに、静かに演じる松田龍平。
情熱的で美しい松雪泰子。
良質な、素晴らしいものを観せていただきました。
満足度★★★★
濃密な芝居を小劇場で。重く暗い人間の葛藤なのに、不思議と華やかな印象が残った。
戦後の東京郊外、焼け残った大屋敷に9名の人間が集い、
平穏な日常を送っていたある日のこと。
一人の人間の来訪によって狂い始める日常。
人生経験が希薄な自分として、舞台上の日常は
まるで金田一耕助もので連続殺人が起きる金持屋敷のよう。
田中哲司の長セリフから始まり、
松田龍平の静かな狂気の存在感、
中村まことは去勢に満ちた人物が一気にもろく人格が崩壊、
松雪泰子は、きっぷが良く見えたもののやはり急変する。
個性波、実力派の俳優さんたちが
吉祥寺の小劇場の舞台に集まり、
とても濃厚な人間の葛藤を演じる
なんという贅沢な時間と空間だったでしょうか。
暗く重い内容であるにもかかわらず、楽しい内容でもないのに
とても華やかな印象が残った不思議な感覚のまま劇場を後にしました。
満足度★★★★
三好十郎の最後の到達点
三好十郎という劇作家は、今ではあまり記憶されることのない
作家のように思えますが、その心血を注いだ、裏表のない
言葉の数々は、何十年経っても変わることなく人を打つ威力が
あると思います。長塚氏は、その圧倒的事実を、巧みに観せて
くれました。心から感謝します。