遭難、 公演情報 遭難、」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
21-23件 / 23件中
  • 満足度★★★★

    教室の悪魔
    初本谷有希子。面白い台本。

    ネタバレBOX

    空き教室に追いやられた、中学2年を受け持つ先生4人と保護者1人。保護者の息子は飛び降り自殺未遂をして意識不明らしい。その息子は、担任の美波に手紙を渡したらしいが美波がそれを無視したせいで飛び降りたんだと、保護者の片桐はいりから美波は責められている…。

    実際に手紙で相談を受けていた菅原永二(女教師)は、中学時代の自称トラウマから手紙を無視し、公にならないよう他の先生の弱みを握ろうとネタをでっち上げようとする。マドンナ先生の美波もまた、生徒からの告白を黙っていたし、松井周と片桐は不倫にしけこむ。友人の自殺を止められなかったことを菅原からつけ込まれた佐津川愛美は、菅原の悪事に悩む。

    とある女生徒の件や「先生」の来訪の件で混乱する菅原は、皆の前で手紙の無視と言い切り、中学時代の2階からの飛び降りを告白する。そこからの佐津川以外の混乱がおかしくて、またちょっとズキっとする。「みんな自分が好きなんだ」という菅原の言葉の通り、保身に走る人間をどことなくユーモラスに鋭く描く。ここらへんシビレた。
    んで、生徒の意識が戻り、菅原のトラウマを消滅させるシーン。チャイムの音をかぶせてキレイにしめる。トラウマはなくならないと吐き捨てる菅原は、独り部屋の中で深々と雪の降る中、魔法?のお菓子を食べる…。

    ラストの暗転して、菅原がハケて雪が激しく舞う演出は好み。
    でっち上げのトラウマが、菅原の生きる原動力、存在の根幹で、それを守るため、理由にするため右往左往する姿が哀れ&怖い。でも、ギリギリの精神状態で生きている菅原をみると、一生懸命なんだなとも思った。まあ近くにいたくない人間だけども。

    突飛な人物像だけど、自分の中に心当たりのある性質を上手く描いた作品。ただ、演技的には普通に見えた。また、黒沢あすかverが見れなくて残念。
  • 満足度★★★

    遭難は好きです。
    初演を拝見したている好きな戯曲。
    やはり里見は凄いと思いますが、主演降板の影響はありましたね。
    好きで女性役も得意な菅原さんだ代役を務めていました。
    佐津川さん松井さん美波さんも良かった、
    それでも空気が軽かったんですね、菅原さんの女装自体は
    普通面白くみてしまってるので、篠井さん位違和感ないならOKだけど
    こればっかりは仕方ない事かな、面白いのは確かなので初見はお勧め

  • 満足度★★★★★

    劇団、本谷有希子「遭難、」観ました
     名古屋で三年前に、地元劇団が公演した舞台を観てます(オリジナルにかなり参考にしたと思われる、上質な舞台でした)。
     今回の本谷再演版は後ろのほうの席で観たけど、キャストが皆、独自の魅力を持って役にハマっている。代役の菅原さんも、すり切れた感じの里見が意外で新鮮。
     仕掛けとしては、あの「壁」によって芝居と観客の距離感が変わるのが面白い。回想シーンの閉塞感もラストの微妙な解放感も、視覚的にぴったり表現。磨りガラスに映るシルエットも、存在への想像を刺激。
     順を追って薄皮が剥がされるサスペンスドラマは、筋を知っていても見応えあり。私にとってはやはり、これが本谷さんの代表作です(回想シーンで泣いた男。身に覚えあり…)

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