夏の夜の夢 公演情報 夏の夜の夢」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    “子供のためのシェイクスピア”の後継劇団。イエローヘルメッツとは、元々は開演前に一曲歌う黄色いヘルメットに黒コート集団の呼び名。今回は若松力氏が松田聖子の「SWEET MEMORIES」を歌った。ハンドクラップ、オノマトペ、腹話術人形のシェイクスピア、「ほーほーほぉぉぉ」。山崎清介氏の味のある声。小さな机や椅子をレゴブロックのように自在に配置して組み合わせる舞台美術。とは言えガチガチに原典に準拠するファンダメンタリズム(原理主義)は健在でシェイクスピアの品格を貶めない。

    『夏の夜の夢』は高橋留美子調のラブコメ。妖精王が惚れ薬を使ってこの世の諍いを整理しようと試みるも、手下のパックがいい加減な仕事をすることで更に事態はこんがらがっていくというもの。惚れた腫れたの大騒ぎを笑うドタバタコメディ。

    この世に要らぬ揉め事をもたらす美女ハーミアは大井川皐月さん。
    誰にも相手にされない悲しいヘレナに川澄透子さん。彼女が実に良かった。
    妖精の女王は劇団代表でもある鷹野梨恵子さん、凄い貫禄。若いのに大御所のオーラ。
    若松力氏は月船さららさんのmétro(活動停止中)で大好きになった俳優。
    8人の芝居とは思えない入れ代わり立ち代わりの妙。

    このシリーズを味わわないのは実に勿体無い。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    オウィディウスの『ピラマスとシスビー』をアテネの職人達が上演しようと森で稽古する。素人達が浅知恵で弄り倒してどうしようもないドタバタ芝居となるのだが、実はこの話は『ロミオとジュリエット』の元ネタ。『夏の夜の夢』と『ロミオとジュリエット』はほぼ同時期に書かれたそうで、一方はシリアスな悲劇に、もう一方はシニカルなパロディに。

    あんまり子供が楽しめそうな感じではなかった。もっとてんやわんや感で賑やかしくやった方が。アテネの職人の劇中劇のくだりは同一人物が演っている為、よく判らないで終わりそう。”マニアのためのシェイクスピア“みたいな通好みの風味。でもやはりこの空間は中毒性がある。初めて観た時の、あの感覚を思い出す。また觀たい。

このページのQRコードです。

拡大