イエ系 公演情報 イエ系」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/10/29 (日) 13:30

    血が繋がっていようとなかろうと
    疑似だろうと疑似じゃなかろうと
    家族の煩わしさを甘んじて受け入れられるかどうかだとは思うけど、その煩わしさをこれっぽっちも懐かしく思わないわたしが観てよかったのかとも思うけど、じつにおもしろかったです。はい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    国内外、そしてドラマや映画で取り上げられる「家族とはいかなる存在なのか?」を正面から
    取り上げた作品。作・演出の「サンプル」松井周らしい奇妙な部分はありつつも、物語的には
    結構ストレートでかつ笑いの要素も強いのでかなり入りやすい作品になっているかと思います。

    ネタバレBOX

    近未来の北九州では、独身の老若男女を集めて「父」「母」「息子」「娘」などといった
    疑似家族を構成し、経済活動を行わせるというプロジェクトを行っていた。

    プロジェクトは、少子高齢化そして人口減少が進む地域の経済発展に寄与する代わり、独りで
    生きていくにはちょっとワケありな人たちが孤独死、または防犯治安上の問題にさらされる
    ことなく、一定程度安全に生きていくことを保証される形なため、もしメンバーが
    ねんごろになって子供ができた場合、コミュニティを追い出されるという罰則があるとのこと。

    三上家もそうした疑似家族の1つであり、一家の大黒柱と目されている「父」和也のもと、
    「母」真希、「長男」頼人、「長女」弥穂、「次女」つくし、「祖母」景子の総勢6人で
    ラーメン店のオープンを1週間に控えている。

    店はラーメン屋の親族を持つ市広報課・田中のバックアップを受けつつ、旧来の父親像に
    こだわりがちな和也に各人が思うところありつつも、表向きは順調にいっている「家族」と
    して順風満々とみなされていたさなか、お隣にやってきた大木家の「母」と「娘」が、なんと
    和也が20年前に捨てた実の家族だと判明して……。
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    大木家のことが家族にバレ、今までの各種ハラスメントも影響して、最終的には「父」から
    家の「ペット」「置物としてのマスコット」まで転落した和也だけど、「和也に父親を辞めて
    もらうか」の決では半分賛成だったのが、「和也に辞めてもらって、ラーメン屋はそのまま
    続行する」ではほとんどの人が手を挙げていたのに笑った。和也嫌われ過ぎ、そしてみんな
    ちょっと打算すぎるでしょ(笑

    大木家の「娘」杏は血縁関係を持つ者こそが家族である、意味なす関係であるという立場を
    変えず、自分の実の父が「父」を降ろされて、頼人が新しい「父」として店を
    立派にまとめているのを知って家を捨てて出奔するの、ヘンなところで血って争えないなと
    思ったし(作品のテーマじゃないんだろうけど意識はされているはず)、

    父親もいる疑似家族コミュニティから出ていったの、「家族」って血筋とかじゃなくただの「役割」と
    「コミュニティ」の複合物なんだな、って、子どものころから抱いてた思いが確信に変わったな。

    「万引き家族」でも同様のことがあったと思うけど、血縁を逃れても今度は「役割」から逃れられず、
    別の地獄に転がり込んじゃうことある……。本当の家族じゃないはずなのに、本当の家族並みの
    息苦しさと不満が渦巻いてるの、どうしようもできない、と。

    ただ、一家を束ねるには明らかに古臭くって不適格な和也が降ろされて、物静かだけど人を尊重する
    ビジョンはちゃんとある頼人が新しい「父」になったとたん、店の雰囲気が良くなったのみると、
    血縁の家族でも疑似の家族でも、その役割に向いてない人が長期間居座って権力を持っちゃうことが
    問題なのであって、前者なら離婚や逃走、後者なら多数決での解任や役割移譲させることが最善で
    ベストな解決法なんだろうか……?

    家族ってポジでもネガでも特別な地位を与えられてるけど、ここまでいくと同じコミュニティである
    「会社のメンバー」とあんまり変わらない気もしてきちゃって、あらためて考えさせられる作品
    だったなって。

    余談ながら頼人、口数少なすぎるから元引きこもりで自立した生活の一歩として疑似家族プロジェクトに
    参加したのかと思いきや、途中でチラッとのぞかせる腕の入れ墨に「あ、修羅場をくぐってきた結果、
    物静かな人になったルートなのね……」と違う意味でハッとした。各人の半生にいろいろ思いを寄せる
    2時間でもあった(中には児童養護施設を卒業して行き場がないまま成り行きで参加したつくしみたいな
    人もいる)。三上家や大木家以外にもアンティークショップやソバ屋もあるらしいけど、どんな家族なんだろう。

    そして真希はヤバいよ……。「夫」の和也が無理だから家出て大木家の手伝いすることになって、でも「妻」で
    「母」の間隔が抜けないから、新生三上家のラーメン屋の接客に理不尽な難癖付けて……。「あなたたちが
    私を追い出したんだから」って言ってたけど、都合のいい風に事情を解釈することも含めて、「家父長制」って
    なにも男性だけじゃなくて、「家婦長制」としての危うさも当然あるなって感じた。

    よくよく考えたら男女で権限や権力握った後、対応や態度が性差で変わるってことあんまりないよな。個人の素質の方が大きいような気が。
    そこ描いてくれたのも問題の根深さを理解しているようで良かった。

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