それで世界は変えられるのか?
ただ一言。煽動された。この言葉に尽きる。観終わってからもしばらく身体が震えていた。脳内が掻き立てられた。魂を揺さ振られた。心の内から燃えるように熱い思考が思想が生まれ出てきた。初めての生コクーン歌舞伎は、凄かった。
脚本の出来だけを見れば、実はそこまで良い本ではないように思う。登場人物が立っていない。映像で観たコクーン歌舞伎「三人吉三」の衝撃があまりにも大きいのが原因かも知れない。あの本に出てくる人物はいちいち強烈な個性と深遠な心理、そして人物同士の繋がりが感じられ、主人公が何人もいるかのような芝居だった。それに比べると、「佐倉義民傳」では勘三郎演じる宗吾だけが濃く濃く描かれており、他の人物像の描かれ方が緻密ではなかった。
では何が良かったのかというと、圧倒的に演出と役者である。脚本の不具合を感じさせないほどに、芝居のほぼ全てを担っていた。演出がキャンバスにこれでもかと言うほど絵の具を描き殴って極彩色に塗りたくり、柱を背負った勘三郎が途中一度も倒れそうになることすらなく、三時間の芝居を走りきった。
全ては一つの道に繋がっているんだ。千年後までも。何を燻っている。日和ることなく進め。この自身の道すらもまた、千年後へと続いていく道だろう。このままの延長線上で、果たして満足できるのか?変えなきゃ、変えていかなきゃ、この世界を。
脚本の台詞からの言葉ではないが、そんなメッセージを僕は受け取った。「芝居が伝えられるもの」はまだまだ有り過ぎるほどに残っている。脈打つこの熱い血は芝居以外の表現媒体では注ぎ得ない衝撃だろう。
満足度★★★★
良かったです
クライマックスでは涙を誘い、笑える部分も所々に配置してあるバランスの良い作品でした。実はこの話は劇中劇でした、と最後に明かされる演出が効果的でした。
ラップは少し聞き取りにくかったのですが、案外マッチしているように感じました。
総立ちのカーテンコールが4回も続く、良い雰囲気の公演でした。
満足度★★★★★
感動覚めやらぬうちに
筆を執ろうと思わせてくれた。
勘三郎の持つエネルギーと優しさと強いまなざしは、日本中の俳優達が一度は目にし感じるべき、大きな師であると感じる。
解りやすく単純な筋書きの中に、緻密で繊細な演技が光る。
客にどう接するか、どう伝えるか、そして夢空間の構築の仕方。
一部の隙のない、清冽な魂を見せてもらった。
年配~中年女性の姿が客席に目立つ。
若者にこそ、もっと貪欲に本物に接してもらいたい。
満足度★★★★★
泣きました!
観る前は、歌舞伎にラップって〜!?と思ってましたが・・。
ラップが聞き取りづらいところもあり、ちょっと残念でしたが、なんかいい具合に融合してるし、心にガンガン響いてきました。
木内宗吾は、ほんっとスゴイ人ですね。むっちゃ感動して、泣きました。