河童 公演情報 河童」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    彼女が最後の河童ではない
    なんて呪われたクラス!

  • 満足度★★★★★

    全国制覇!超高校級!
    青森演劇鑑賞会例会で「修学旅行」と同時上演された「河童」を見ました。

    初日の本番を見て、二日目の本番を観劇するのをためらってしまいました。
    なぜなら・・・・・
    内容があまりにも「切ない」から。
    河童役のコがあまりにも「かわいそう」だから・・・?いや、!自業自得!?
    あ、これ以上はネタバレ・・・

    最近、畑澤聖悟作品に連続でかかわらせて頂き、すっかり畑澤作品に惚れ込んでいる自分として、戯曲の完成度の高さが申し分無しなのは当たり前。
    しかし、それ以上に演じきった生徒さんたちがすごすぎる!!

    実はここ数年、高校演劇で勝つためには脚本力が重要で、生徒の力はほとんど関係無いのでは?と思っていました。
    しかし!そんな考えを完全に覆されました!
    全国制覇出来る高校生は、やっぱりちゃんと芝居が出来ているから脚本が活きるんだな~と・・・
    逆に、他に生半可な気持ちで「河童」に手を出しても、全くつまらない芝居になってしまうかも・・・と。

    僕は映画でも演劇でも、悲しい気分のまま終わるモノは正直な話「嫌い」な方なので、この「河童」も「嫌い」なジャンルのお芝居です。
    でも、そんな「嫌い」なジャンルのお芝居を2回とも観てしまうくらい、完成度が高く、引き込まれる芝居だったと思います。

    観劇後、深く考えさせられました・・・
    「いつの日か、河童が河童で無くなる日が来るのだろうか」と・・・

    ネタバレBOX

    冒頭の群読シーン。
    これが終わっただけで演劇鑑賞会の皆さんは拍手。
    甘い評価かもしれませんが、拍手が起きてもおかしくないほどのキレのいい群読シーン。
    中央にたった一つだけ空っぽの席が有るのもポイント。

    突然クラスメイトが河童になっている不条理を平然と会話でつなぐクラスメイトたち。
    「彼女を受け入れよう!」と一致団結?するクラスに本当に制服姿の河童娘が登場。
    彼女はぬめっとしていて生臭いらしい。
    受け入れたクラスメイトたちはぎこちなく、なんやかんや理由を付けてどんどん離脱して行き、あっという間に半数以下になってしまう・・・

    ・・・と、ここまでは、「病気?いじめ?などにあったコが勇気をもって学校に来てるんだから、普通に接してあげよう」的な美談の比喩なんだな~と思っていたら・・・

    実は河童娘が元々いじめっこだったり、彼氏に嫌がられたり、河童娘の事を好きだと言う男子の事を嫌っていたり、という人間関係も複雑にからみ始めていく・・・

    今まで率先してヒメノ(河童娘)を受け入れようと、リーダー格になっていたクラス委員?の女子が、ヒメノに抱きつかれた腕を、悲鳴を上げて振り払うシーンが非常にショッキングでした。「あ~、この子も無理してたんだ~・・・」と・・・

    「臭い」「気持ち悪い」等の生理的な嫌悪感にプラスして、元々がいじめっ子だったヒメノへの同情の気持ちが薄れている「自分」にふと気付く。
    「ヒメノが河童になったのは天罰では?自業自得なのでは?」と・・・

    そして、「自分」という存在を否定されるたびに河童化が進むヒメノの演技は多分誰にも真似が出来ないだろう。
    河童としての鳴き声しか出なくなって行くヒメノの声は、ほとんどのクラスメイトに無視され、そしてヒメノは河童として泣く・・・その声は誰にも届かない。

    そんな孤立した彼女を守ってあげるには・・・
    仲間になるしかない、「河童」になるしかない・・・
    彼女を心から愛する男は「河童」のふりをする。不恰好に。
    そんな愛も受け入れられないのだろう。だから彼女は「河童」なのだろう。
    ・・・そして・・・彼女の親友も「河童」になってしまうらしい、「河童」は「伝染る(うつる)」らしい・・・
    仲間は「河童」になるらしい・・・

    ・・・と言う風に、僕には伝わって来た芝居だったのですが、意外にも「わからない」との評価も多いらしいです。
    僕が勝手に深く受け取りすぎなんでしょうか?(^^;)

    各々の演技の出来がよく、本当に各キャラクターの心理が伝わってくる芝居でした。
    それはやはりキャストの皆が真剣に演技に取り組んだ成果だと思います。
    河童娘ヒメノは、本当に河童化が進んでしまい、終演後もしばらく立ち直れないらしい。
    それを支えてあげながら、生徒さんたちはこの作品を通じて「いじめ」や「差別」について学んで行けるのだろう。「いじめっ子」と「いじめられっ子」の立場の逆転を怪演したミナミちゃんの手は、実は河童メイクを担当しているために緑色がほんのり落ち切っていない。まあ、演技ですから当たり前ですけど。

    そんな青森中央高校さん、今年も地区大会通過したらしいです!
    今後益々のご活躍をお祈りします!

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