チルドレン 公演情報 チルドレン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★

    2011年3月11日の震災と、原発にまつわる事故を踏まえた3人芝居。
    未来の世代に対する責任の物語ですが、あっさりし過ぎかなと感じました。

    ネタバレBOX

    時代も、場所も特定できない、とある海沿いの人里離れた住居。
    ひっそりとそこに住む元物理学者の夫婦のもとを、38年ぶりに
    同僚の女性が訪れる。

    3人は久々の再会を楽しむも、事故を起こした原発で現在も働く
    若い世代を解放するべく、女性がかつて原発で働いていた技術者たちを
    呼び集め、代わりに働きに行こうとしていたことを知るや、一挙に雲行きが
    危うくなってくる…。

    元物理学者の男性が途中吐血し、もうどうやらそんなに先が長くないという
    事実が明らかになったところで、空気が変わり、3人は原発に向かう流れに。
    周囲に人がいないため、長距離タクシーを待つ間、女性たちが習慣になって
    いたヨガを踊り続ける中で、静かに幕という話。

    確かに原発を生み出した責任、自分たちとは関係ないところで起こった過ちの
    埋め合わせで若者が頑張っている現状にモヤモヤしないか、と言われたら確かに
    分からなくもないけど。

    技術者たちも事故までは明るい未来を夢見ていただろうことは想像に難くないので、
    安易に「責任取れ」とも言い難い気がする。外国人作家による、海外初演の作品な
    こともあって、原発に関与したお前らが悪い、お前らが特攻しろ、という指弾話に
    ならず、広く自分たちの世代の誰かが未来に対する責任を果たさないといけないと
    いう落としどころにしたのは納得できるところ大きい。

    正直、原発に行く決心した物理学者の女性が「わたし、怖い…」と漏らすのはすごく
    分かる。世代代表して特攻しないといけない理不尽さ(ともいえるのかな)に直面
    したらそういうセリフも出ちゃうよね。自分が同じ状況だったら、事実上の死刑状態に
    恐怖して何も言えない、何もできない状態になるだろうし、みんなそうなる気がする。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/09/23 (日) 13:00

    座席1階F列

    何万年も残る放射性廃棄物というツケを
    次世代の「チルドレン」たちに平気で押し付けた上で、
    さらに起きないはずの大事故も発生、
    それでも再稼働という既定路線は変わらない-
    ”絶対安全”でスタートさせた人々は、
    次の世代に対してどう思っているのでしょうか。
    今更ながら、改めていろいろ考えさせられる内容でした。
    (昨日の朝ドラのラストシーンも偶然「3.11」だった。)
    信頼できる演出家と翻訳者、好きな演者3人の好演。
    (予想通り、ポスターの黄色い防護服は出てきませんでしたが。
    …演劇のポスター/宣伝スチルあるある。)
    重すぎず、軽妙な語り口、1時間50分休憩なしも長すぎず観やすい、
    観て良かったです。

  • 満足度★★★

    重いテーマのストーリーだが、下ネタや皮肉のかけ合いのようなコミカルな場面も多々挿入され、そういう娯楽性があるので堅苦しくなく楽しめる。有名俳優を起用したプロダクションのためか大きめの劇場での上演となり、いささか大味な演技や演出になってしまったように見えなくもない。シアタートラムぐらいのキャパシティーの劇場で観てみたかった。

  • 満足度★★★★

    原子炉事故先進国イギリスの原発事故モノである。イギリスの原発事故(セラフィールドと言ったっけ)はもう50年以上前の話で、今のフクシマと同じような状況があって、また事故隠ぺいなどもあって、こういうときはどこの政府も同じように信用できないことする、と教えてくれたものだ。せっかく先例の教材がありながら、懲りずに同じように事故を起して平気な上に、処理もできない我が国政府・企業も困ったものだが、ここではその議論は置いておく。
    日本でも事故後、政治や経済の問題を離れて、巨大科学と科学者の責任、と言う点に焦点を置いた舞台がいくつかあったが、どうしても告発調になってしまうか、抽象的モラル責任論になってしまう。
    そこは、このイギリスの30歳代の若い新進女流劇作家はうまいのだ。
    技術者として手がけた原子炉が事故を起こした原子炉科学者夫婦(高畑淳子・鶴見辰吾)の話だが、彼らはすでに引退(定年退職)して原子炉から遠くない自然の中のコテージで暮らしている。そこへ、かつての同僚の女(若村麻由美)が、事故の救済に行こうと誘いに来る。原子炉労働者が足りないので元の同僚100人に声をかけて20人ほどが行くから、一緒に行こうというわけである。女と夫はかつて関係があり妻も知っている。この三人の離職後ひさびさの出会いからの数時間の芝居である。
    救援に行くか行かないか、行くべきかどうか、夫婦には4人の子があり既に家を出ているが、女には子がない。お互いの生活の背景も変わっているし、情事の比重も変わっている。その辺を絡ませて、技術者が関わらざるを得ない巨大科学事故と人間のあり方を教条的にならないようにドラマにしている。話そのものはよくある話だが、運びがうまくて2時間足らず、飽きない。栗山演出に、いつものことだが隙がない
    しかし、これはやはりイギリスのイギリス人の話だ。目前にフクシマの惨状と、対策の無策を平然と見せられる日本では、この話は牧歌的すぎる。芝居として面白ければいいだろう、と言う意見もあるだろうが、これだけ国民がイラつく事態になっている日本では、このテーマを芝居として楽しむ、と言う事にはなかなかならない。少なくとも私はそうだ。
    俳優も好演で、高畑淳子が時に、日本風になってしまう以外は翻訳劇としてはよく出来ていると思う。劇場のキャパのせいもあるかもしれない。これだけ大きいとどうしても広い客を意識せざるを得ない。仕込が商業劇場のパルコということもある。
    この戯曲かけ方を誤ったのではないか。


    ネタバレBOX

    チラシやポスターを見ると宇宙モノかと思ってしまうが、これは本質的にはウエルメイドプレイの商業演劇だろう。
  • 満足度★★★

    イギリスの女性若手作家による3.11大震災と原発事故の後の話です。ただし場所をイギリスに移しています。

    事故後しばらく安定していた原発に不具合が起こり、これ以上若い作業員が被爆するのを見過ごせないと、かつてそこで働いていた初老の3人の物理学者がためらいつつも使命に突き動かされて原発に向かって出発する。…大略そんなところです。

    英米では好評ということですが本場(?)の日本ではその程度の覚悟は7年半前にできているので、何を今更です。また「戦慄とサスペンス」とはどこのことを指すのか分かりませんでした。

    というわけで豪華な俳優さんを楽しむことにするのが吉でしょう。高畑淳子さんの衰えを知らない肉体と全能感には圧倒されます。若村麻由美さんを生で拝見するのは初めてなのに老け役で残念です。あの輝くような美しさは次回に期待しましょう。鶴見辰吾さんは実年齢で10才年上の高畑さんの旦那さんというちょっと損な(?)役回りですが、若いころは二人と付き合っていたという設定なのでプラマイゼロでしょうか。

    高畑・鶴見夫妻の家のリビングで行われる1幕の舞台です。チラシにあるような防護服を着たシーンはありません。ちょっと騙された感がしました。

    ポスターが売っていました。B2版(515x728)が500円、B1版(728x1030)が1,000円です。

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