Re:take ( reload ) 公演情報 Re:take ( reload )」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    のっけからICUで臨死を窺わせる深刻な状況設定…されどそれを真っ向から突き崩すようなコミカルな登場人物(?)たちによる出だしで…不思議な雰囲気でした。


    以降、ネタバレBOXへ

    ネタバレBOX

    (続き)

    主人公レレの記憶を次々と遡る旅路…それに付き合わされる母ヨウコ。様々なエピソードを交えつつ…再生される記憶は…どうしたって何かしらの事件の真相を明るみにし…何かの解決を…さもなくばオチを与えてくれるものと思われた…が!…「あの子の意識に入って助けるんじゃないの?」というヨウコのツッコミが、まさしく観客の気持ちを代弁する。

    しかし、そこにあったのモノは… ただ丁寧に… 愚直に… ひたすら積み重ねられたレレの人生だけだった。(一部、ネタとして捏造があったけども笑)

    もちろん… 「何もなかった普通の人生」… とはとても言えない…コミカルで波乱万丈とも言える…賑やかな人生だったが、何かを成したか?… といえば、胸を張って威張れるほどのものは何もない…

    …しかし… しかしである。

    確かに彼女は… 彼女の、彼女だけの人生をちゃんと生きていた。その早逝を他人に憐れまれる筋合いなどなく…。

    正直… 悔いが残らないはずないと思えるその死に方に際して尚、それをあるがままに受け入れるレレの心情は非常に印象深い。

    そして、その遺志を胸の内に昇華する母の姿もまた味わい深いものでした。
    最後の数分に想いが凝縮されている感じがしたなぁ。でも…ではこの最後だけがあれば良いのか?…というと、そういうわけでもなくてねぇ。アレを味わうのに… 実感するのに… あのなが~い時間が必要なんだよなぁ。面白い後味でした。

    タイトルに使われる Retake(=撮り直す)のイメージ通り、記憶が次々再生されていく作品だけど、密かに : が入って、Re: (=Reply?)となっているのが「レレの自問自答の対話」や「母娘の対話」を象徴しているのかな…って感じもしましたね。

    …で、これだけ感想にすると何か湿っぽいんで言うけど、…芝居の大部分を占める… レレの人生の…その周辺の人たちも含めたハチャメチャさの「笑い」は、かな~り秀逸で… なんかしっかりしたコントをたくさん前座に仕込んでいるかの様でした。

    好きなトコ触れると…烏丸兄や小暮父のフリーダムさ、それでいて憎めない感じの滑稽さは良かったね。

    ヨウコ&レレの… ダメ男趣味の超似た者母娘っぷり… 母娘双方が自分でもそう思っている悟り感、それでありながら…共に抗えない感じも面白い。

    Wストーカーのレレ&チャコ18の…オタク的結束感のあるコミカルな愛らしさはハマる。妙な言葉遣いも良い。すっくと立った河合さんの股の間から顔を覗かせるダミさんという…一種キメラの様な姿でストーキングする楽しげな様子はベストショットでした。そして、ここで出てくるネッシーは、ちょっと想像を絶するクリーチャーだよね。喋り口の陶酔感が何とも言えない(笑)

    レレ&チャコ14の腐女子トーク。あのリレー創作でBLを一文ずつを繋いでいく妙技は、まるで将棋や囲碁で…一手一手つむいで… 作品(好勝負)を形作るかの様で、内容のバカバカしさとは対照的な軽妙さで良かった。

    そういや、河合さんが18でリタイヤするのに、イーダさんが14まで引っ張るのも印象的。被り物しかり、こういうのを容赦なく…徹底的にやるのはファジィの特質だよね。

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