期待度♪♪♪♪
笑うのか。はっとさせられるのか。
ノエル・カワードは、イギリスを代表する劇作家。オスカー・ワイルドの系譜につらなる、ウェルメイド・プレイを多く書いた。自作は、ほぼ自身で主演し、共演者たちも、幼なじみの俳優たちを選んだ。
「私生活」は、1930年に発表された、風習喜劇。ウェルメイドな、あり得ない状況が、洗練され尽くした言葉によって、ごくごく自然に構築されて、気づけば、それが当たり前の世界と錯覚している自分に気づく。
僕は、大学の授業で、これを散々読んだのだけど、読んでいるだけで、ホントに楽しかった。今回は、既成の解釈の殻を破る、シェイクスピアの新訳に勢力的に取り組んでいる、松岡和子さんの訳というわけで、それだけで、どんな日本語になるのか、とても楽しみ。
カワード自身、70年代までの2度の再演に際して、時代に合った改訂をほどこしているので、松岡さんは、どういじるのか。それとも、原型のままでいくのか。
役者も、意外! 橋本じゅんさんの演じる、古典的な男性観にとらわれた医者ビクターは、初演時は、なんとローレンス・オリビエ! 全然イメージと違う! 軽薄そのものといった感じの主役・エリオットが、変幻自在の内野聖陽というのも、とても楽しみ。人生の酸いも甘いも知り尽くした感のあるアマンダが、寺島しのぶだというのは納得。一方、まだ二十歳そこそこで、世の中を全然わかっていない小娘として描かれるシビルは、中嶋朋子でいいの?
非常に台詞が多く、対話の中で、心情がころころ入れ変わるこの作品は、役者にとってはとっても大変。演出次第で、雰囲気もがらっとかわる。果たしてどんな演出になるのか、今からとても楽しみ。シアター・クリエって、行ったこと無いんだけど、それだけ、ちょっと、不安だけれど。