満足度★★★
明治20年代の帝都にある陸軍御用達の館…ここに男3人が集まり1人の女性を巡っての回想劇といったところ。説明によれば「陶酔と崇拝、高揚と快楽、そして惨劇。誰が最も彼女を愛しているのか。」というサスペンス風な仕上げ方になっている。
もっとも男3人は、道化・兵士・狂人というイメージを持ち、それらの人物を投影して観る女性像が鮮明にならなかったのが残念である。
本公演は、この劇団(慶応義塾大学の卒業生及び現役生の有志団体)の旗揚げ公演である。脚本は手堅く、演出は巧み、演技も安定・バランスも良い、という好印象であるが、中心に入(要)るはずの愛されている女性が暈けてしまったように思う。その意味で物語の世界観自体も曖昧になり、テーマとして据えた不条理が観えてこなかったのが残念。それでも力強さはあり、今後の公演が楽しみである。
(上演時間1時間30分)
満足度★★★★
同じ女性を狂おしいほどに愛した3人の男性。
3人それぞれが彼女と過ごした激動の日々の中に、様々な謎や矛盾が浮かび上がってきます。
昔、十朱幸代主演で舞台化された「悪女について」を彷彿させ、ストーリーの行方に目が離せません。
男女のドロドロ劇の枠を超えた顛末もダイナミックで面白かったです。
熱い芝居を自認するだけに劇場の大きさを遥かに超えたエネルギーが炸裂していました。
欲を言えばもう少しゆるーい場面も設けて抑揚があった方が、終盤の迫真の演技がより際立った様な気がします。
そのゆるさの中に情緒が加われば、もう完璧!
とは言え、あえて旗揚げ公演にハードルの高い作品を創り上げ、これを全員若手の役者さん達が堂々と演じ切ったわけですから、その自信に満ちた熱いエネルギーに感服いたします。
あと劇作家役の宇都宮さんの演技が印象的でした。
芝居中に観客をしっかり見据える演技はとても珍しく迫力が俄然アップします。
これって集中力いるだろうなー