満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/09 (月)
本格的な落語を起点に、三本の時間軸を交互に演じながら話が進む。
1.妻の故郷へ旅を続ける父娘(現在)
2.親子三人でのドタバタストーリー(旅に出る前のエピソード)
3.夫婦が出会った頃~結婚/出産を描くストーリー(数十年前)
※1.2とは別の若い演者が夫婦を演じる。
「半七」と「おつう」のベテラン夫婦は二人の息がぴったりで、
本当は赤の他人という事を忘れてしまう。
当たり前のように夫婦に見えた。
さすが熟練の匠の技。
娘のおりん(林田真尋さん)は、
初舞台だと聞いたのに全くそのように見えない。
お父ちゃんとの父娘喧嘩に本気でぶつかっていく、
本当の娘のように遠慮のない体当たりの演技。
初対面で、初舞台でここまでできるには色んな躊躇があり、
やり取りがあり、思い切りぶつかる人間関係を作れるまでに
色んな苦労があったんだろうなと。
特に驚いたのが最終日。
公演期間中にもう何度も何度も同じ事を繰り返しているはずなのに、
驚く場面ではまるで今初めて聞いたような新鮮な反応。
表情がとても上手い。
お目当ての桜井理衣さんは旦那さんと2人で旅の途中、
父娘と出会って一緒に旅をすることに。
半七が雨に濡れるシーンでは心配そうに空を見上げて場を作る。
お金や盗賊の話しにはそっと目を光らせて振り向く。
静かな伏線。
旅の途中のお父ちゃんの奇抜な行動も、
全て若き頃のおつうの言葉に繋がる。
芝居が進む度にその理由が分かる。
ずっと妻の言葉を大切に覚えていた。
不器用な夫婦愛に心が暖まる。
公演のDVDが届いて繰り返し見てるが、何度見ても面白い。
素敵な名作です。
しかしなぜ落語だったのだろう?というのが最後まで謎(笑)