満足度★★★★
映像とライブの差が歴然
約4時間40分(休憩20分込み)はやはり長かったけど(笑)、愚行の繰り返しである人生そのものなのかも。国立劇場、芸術監督、芸術家への悪口炸裂が可笑しい。大げさな音楽も笑えた。木が芸術家なら切り倒すのは誰。私自身が木を切らない木でありたい。イプセン作『野鴨』の林の中にいる心地になれた。開演5分前からの映像で女優が語る演技論に首肯。ところどころ眠気に敗北…無念。
満足度★★★★★
素晴らしい精度
最終日に二度目の観劇。
最初に観た時は古典的と思った演出も、よくよく観ると極めて微妙なズラし(異化)が多用されている。表面的には普通に見えるのに、普通じゃない違和空間を生じさせ続けるマジックは、極めて高精度の演出設計にあったのかもしれない。特に、舞台外から舞台に発せられる主体が曖昧な「声」は本当に絶妙だった。
2度観ても飽きることはなく、より深く作品が問いかける意味を噛みしめることができた。
カーテンコールの時、ルパの言葉だと思うが、ポーランドの社会状況とそこでの表現の在り方について語られた。日に日に表現の自由が奪われている状況について。それを聞く俳優の一人は涙を流していた。なぜこの作品をルパが今上演するのかということが、切実に感じられた。そして、それは日本の社会状況を考えても他人事ではないとも思った。
素晴らしい舞台だった。
満足度★★★★★
芸術家にとっての「桜の園」はもうない
それは伐採されゆく運命にある。
上演時間260分!
休憩20分込みだが、実際には270分を超えたと思う。
いわゆる「お通夜の席」での出来事。
まあ、日本でも映画や演劇でよくあるやつだ。
満足度★★★★★
謎
観念ありきのテキスト、多少変わった部分もあるにせよ、どちらかというと古典的な演出。
普通に考えたら、退屈な芝居のはず。実際、見ていて歓喜するような興奮はない。ただ、それでも休憩をはさんで4時間強の芝居を、観続けてしまう。
そして観終わると、演劇や芸術とは何かという以上に、人生とは何なんのかについてジワジワと感じ入ってしまう。
何の魔術だろうか。クリスチャン・ルパの力か、トーマス・ベルンハルトの力か。とても不思議な作品だった。