満足度★★★
最後に犯人はどう締めくくるのか・・・
自転車と接触して亡くなった被害者、その被害者を弔う復讐劇・・となるのだろうが・・・。
本来復讐すべき相手は自転車を運転していた人物、被害者が避けようとしたタクシー(ドライバー)、そして被害者のストーカーであろう。
でも面白いのが直接被害者の死とは関係のない3人を集め、追い詰めていくということ。
少なくとも内2人は被害者と面識がなく、存在すら知らなかった。
犯行理由が明らかになった後に「言いがかりだ」というような言葉があったがまったくその通り。
でもその視点が面白い。
結局この犯人は何がしたかったのか?
被害者の死を弔うというよりも被害者である女性の話しを誰かとしたかっただけかもしれない・・・
3人を解放した後、この犯人がどう行動したのかこの舞台の先のストーリーに興味がある。
満足度★★★
時間の所有は分かるが流通とは?
29日午後、新宿眼科画廊スペースOで上演された劇団ORIGINAL COLOR『This is Mine,not Yours』を観てきた。これは、今年知った気になる役者・嶋谷佳恵が出演していた関係からである。嶋谷はこの劇団メンバーであり、看板女優であり、制作も担当している。ホームグラウンドの劇団公演で、どのような演技を見せてくれるのか気倒して出かけた。
会場の新宿眼科画廊スペースOは画廊の一回にあるスタジオ。地下にあるもう一つのスタジオよりも小さい。東京浅草に世界一小さい劇場というふれ込みの浅草リトルシアターというのがあるが、新宿眼科画廊スペースOは椅子席15、座布団席4の全19席という観客席の狭さ。おのずの舞台の狭さも分かっていただけるであろう。結果として、動きの多い芝居と言うより会話劇的な芝居に向いている場所であり、今回の公演もどちらかというと張り詰めた会話が中心となっている芝居であった。
劇のおおよその内容は次のようなもの。
小形鏡子(千草)は会社の後輩・皆口多恵(森川未来)が死んだ事がきっかけで、後輩の人生の転機に関わった人物3人、すなわち会社員・前島英治(嶋田貴心)、ショップ店員・山本早希(田中希布)、占い師・伊東成美(嶋谷佳恵)を拉致した。小形は拉致した3人を脱出不可能な民家の地下に住まわせるが、テーマに沿って一人づづ話をさせ、内容によって点数やボーナス点を与えて拉致から解放するチャンスを与える。彼女は、3人の口から皆口への懺悔の言葉の発せられるのを待っていたのだ。結果として、拉致された3人は精神的に追い込まれながらも前島が皆口への懺悔の言葉を発する状況となり、拉致から解放される。
プログラムに、今回の舞台のテーマが「時間の所有と流通」であり、「ここで消費していただく時間の対価として、少しでも見合った作品となっていれば幸いです」という劇団主宰者で作・演出を兼ねた小林裕大の言葉がなければ、さてこの劇で何を言いたかったのだろうと少々悩んでしまうような舞台であった。拉致された3人の生きる時間は個々のものだが、実は拉致という行為でその時間を支配しているのは拉致した小形の支配下。その支配された時間の中で、人はどう考え行動するのか。小林の言う所有は分かりやすいのだが、この劇から時間の流通という面を読み出すことはかなり難しい。拉致した小形の支配する時間と3人が与えられた話をする時間の交錯を流通とみれば良いのだろう。
ただ、拉致という行為が今回のテーマを観客に伝えるに当たり適切な設定だったかには疑問が残る。
とはいえ、拉致された3人の緊迫した感情表現はよく演じられていた。3人に対する小形の態度、これは生前の皆口に対する態度とも共通しているが、やや投げやりでいらだちを内に秘めた感情の生まれる原因は何だったのだろう。
役者達は、個性的な役柄をよく演じていた。数多い種類の笑いをこなせる嶋谷が、今回はほぼ無表情・冷静な占い師を演じていたのが予想外。なるほど、こうした役もこなすのか。
前島役の嶋田と山本役の田中の恐怖心の表現方法がやや類型的だったのが惜しい。
皆口役の森川の声色の使い分けは、モノクロ的な芝居に色をつけてくれて良かった。
小形役の千草。なかなかの芸達者とみた。
この劇団の本領は、まだ数回みてみないと分からないというのが正直なところ。次回公演も観てみたい。
満足度★★★★
所有と流通
主宰の小林氏は、時間の所有と流通をテーマに、脚本を描いたという。まさに、時間は平等とはいうものの、実際、蓋を開けてみると、意外にもその時間軸はゆがんだり、途切れたり、しまいにはねじれていたり。。。時間をはかる物差しには個人差があり、とはいうもの、「刹那的に生きる」は万人に必須なんじゃないか、、、は観劇後、感じた素直な気持ち。CASTはたったの5名という少人数ながら、息をひそませ、一言一句を逃さず。。。五感をフル稼働した緊迫の70分だった。
満足度★★★
何でお前の〇〇に付き合わなきゃいけないんだ。
理由もわからぬまま地下室に監禁された男女3人っていう、オーソドックスなサスペンス。さほど、意外なオチもなく、2012年という設定もよくわからなかったなぁ。