満足度★★★★
祝祭的
20年ぶりの再演とか。「まつろわぬ人々」が初風煉ダンス。昨年は惜しくも逃し、今回どうにか駆けつけた。様々な出演参加者が目につく。風煉ダンスという集団をよく知らないが、ある「価値」を求めてその事業を成そうとする主体に賛同し駆けつけている「感じ」が薫っている。今回の芝生広場に設営された客席及び舞台(広い!)は、一大事業と呼ぶにふさわしいかも知れないが、それだけではなさそうである。この「感じ」はテント劇や野外劇につき物のそれのようでもあるが、それだけでもなさそうである。 「まつろわぬ・・」にあった下から突き上げるようなある種の告発(昨年の「泥リア」も?)の様相がそのヒントかも知れない・・・これら全て想像(もっと調べて書けってか)。
ハチャメチャな登場人物や場面が、自然である物語の構造にもなっているが、空間じたいも十分にその存在を許す雰囲気を保証し、途中雨なども降ってビニールの天井がパラパラと鳴ったりしたが、生演奏と声は(マイクも使っていたが)よく通って歯切れが良く、活力がある。
予告より上演時間が長いのは場面転換、また一部俳優の台詞の間延びか。というのも通常の舞台の二倍四方ある広さがこの芝居のポイント(動かなくても良い距離を敢えて移動しての芝居は笑える)で、前の場面や台詞を食えば1~4秒位稼げそうな箇所が幾つもあった。(これから詰まって行くだろうが)
珍妙な唄、切なげな唄もいい。登場する奇矯で奇天烈なキャラたちは、また見てみたくなる。
物語は、宗教的儀礼として成り立つような筋立てで、原初的で祝祭的(ゆえにハチャメチャが許容される)。
おそらく見た目以上に俳優は肉体を酷使しているだろう、「捧げる劇」の当然の姿として。
舞台に仕込む物理的な内容物に情熱を燃やす者(たち)の手作り感あふれる諸々も、芝居の温度を上げている。
自分も野原を走りたくなる芝居である。