理解は可能。しかし知識が及ばない。
でも、知識は要らない。作者がコメントしているのでネタバレには当たらないでしょうが、ひたすらに黒板に数式が記されていくという演目です。導入部分では前提条件にある数式の解釈を理解出来る様にやってくれるので、「なるほど」と考えている内に引き込まれる。しかし中盤以降は結構な速さでの進行。「え?それはどういう意味?」とか思っている内にあれよあれよと置き去りに。にも関わらず、観ていられるのです。熱のこもった科学者が黒板に走らせるチョークの動きとリズムはさながらダンスの様。
45分という上演時間は適切。それ以上あのまま置き去りにされたらきっと寂しささえ覚えてしまいます。先述の通り、黒板に数式を記す事こそが主題でもあるこの作品。人物間の関係性や気持ちの移り変わりはそこまで綿密に描かれてはいません。長編にするのであればそこをいじれば不可能ではない。けれど個人的には綿密でなくてもここまでやれるという証明を見せてくれたので、これはこれとして満足です。
満足度★★★
理系の興奮
このセンティバルという小さなフェスティバルは、「次は何が飛び出すのか!」というワクワク感があって好きです。
今回はフェルマーの最終定理を証明した瞬間に立ち会った日本人3人の話。
上演前に黒板にこの証明を成し遂げたワイルズ教授のドキュメンタリーが流されていて、盛り上げてくれます。
数学の証明という舞台にするには困難と思われるテーマをどのように演出するのか、楽しみにして見てきました。