満足度★★★★★
物語性の濃さ。俳優がそこにいる・・
トリスタン(男)とイゾルデ(女)の物語は冒頭、薄暗がりの中にそれぞれ別個の場所、時間で映し出され、ぼうと浮かび上がるその構図で、片想いもしくは相思相愛でも悲恋の物語である事が如実に知れる。モノクロのような沈んだ色彩を使った『旅芸人の記録』だか『暗殺の森』だか?いつか観た映画の場面を思い出す。音楽が始まると「ワーグナー」の名が浮かんだのは、聴いた覚えがあるのだろう。正解であったが、他の楽曲同様に荘厳で耽美的で、後で調べるとこのお話は伝承に基づく物語で現存する形も一つではなく、従ってワーグナーの解釈が濃く反映していると思われる。二人の悲恋をこれ以上ない最上の愛と悲運の両極の間に捉えて、その美を讃える楽曲である。
哀切を湛える甘味で壮大な楽曲を背景に、これに遜色ないパフォーマンスをやり抜いたのが、このKARAS版『トリスタン・・』だとざっくり言ってしまって良い。
照明の技巧も相まって、実は粗筋も知らなかったが、物語の二人の主人公を演じる二人の踊り手は役を演じる俳優の顔を見せ、「踊り」の多彩な表現が駆使されながらも、いやおうなく音楽が喚起するものに呼応するのに精神を全開にせざるを得ず、背景たる音楽のポテンシャルに正確に「比例」したエネルギッシュな、感情を伴う踊り=表現を展開していたのが大変印象的だった。
(続きはまた。)
満足度★★★★★
無題1846(16-136)
20:00の回(曇)
18:45会場着、受付、20:03開場、20:13開演~21:07終演、21:14トーク終了。
初日を観ていて2回目、今夜は舞台向かって右側に。お客さん、かなり入っています(先日、パフォーマンスを観に行ったダンサーの方も)。
初日のとき、このずっしりと重い雰囲気はなんだろうかと思ったのですが、たまたま観たTVで彫刻のことを話していて、このお二人はそのブロンズ像のようにみえるのかな、と思いながら動かない像が動く、童話の世界のようなイメージが狂気と紙一重の旋律(戦慄)を生み出すような気持ちで観ていました。
凍てつく寒さすら感じる天井からの照明は床を揺らし、ぼんやりとした雲状にカタチを造る。0~トップスピートまでの唸るような鋭い切り替えと明と暗とを自在に転換する舞台の1時間でした。
満足度★★★★★
無題1844(16-134)
20:00の回(曇)。
20:04開場、20:14開演~21:07終演、~21:17トーク終了。
オペラはもちろん未見、未聴。
天井の照明の位置がずいぷん手前のように感じる。
佐東さんの衣装はいつにも増してシャープなシルエットを画く。
どこまでも続く深く冷たい闇の世界の女王。
光跡を残すのは両の手のみ。
圧倒的な初日。
いったいUpdateDanceはどこまで昇り続けるのだろう。