ただしヤクザを除く 公演情報 ただしヤクザを除く」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    アゴラで3度目。
    タイムリーかはともかく、話の出来は「ツレウヨ」=二重丸→「福島第一原発」ガタ落ち→今回=面白い・・と鋭角気味に評価が乱高下。
    今作、明確な主張、また名言あり。
    素人臭い芝居、カラオケでの歌挿入によるプチ・ミュージカルは脱力系。歌謡曲の選曲が的確。
    アフタートーク:鈴木邦男、松本○○。

    ネタバレBOX

    事は「人権」をめぐって、論点明快に話が紡がれる。
    舞台はピザマッスル店内、および時々戸外、と警察署。よくピザの注文が来る配達先の某男が実は指定暴力団の舎弟だと判明、弱腰のピザマッスル地域担当が警察に呼び出され、釘を刺される。サービス供与をしてはならないというのだ(この部分の法的裏づけは不明)。
     店員にそのことを申し渡そうとした矢先、チベットピザ(だったか?)を毎度注文する、例の男がやってくる。慌てる店員たち。だが、勇気を振り絞り、今後ピザの配達はできないと地域担当の男は告げる。相手は怒りをみせるがこちらは「法律」が盾。歯を食いしばって追い返す。
     それを複雑な心境で眺めるのが、ピザの代名詞のような女店長。CMにも抜擢され、ピザ命である。「うちのピザを気に入ってくれてるのに・・」と、至極真っ当な感覚で承服しがたい思いらしい。その後、店長は自分でピザを買い始める。不審がる店員。この店員たちの会話もまた楽し。それぞれのスタンスで仕事をしている。まあバイトであるが、「いつもニコニコピザマッスル、○○元気に行って参りまーす!」「(同じく)ただいま帰りました!」の決まった掛け声を、嫌がりつつも居直って必ずやるのも楽し。芝居にメリハリがつく。
     さて店長は公園でピザのやり取りをしていた。それを発見した二枚目のバイト男。店長の「便宜供与」は発覚してしまうが、のバイト男が役割を引き継ぐ。
     そこでのバイトとヤクザ男のやり取りもまた楽し。 バイトは言う。「お前は最低な人間だ」「なに」「最低なやつに最低と言って何か支障があるか」「??(だったらなぜピザを・・?)」「これは人権の問題だ。お前が好きだから、かわいそうだから、こんな事をやってるんじゃない。最低なやつの人権が守られてこそ、人権だ」とのたまう。ヤクザ男「・・・・」。
     さてこのバイトの計らいも、現実主義なバイト男にバレてしまい、あれこれあって警察、ヤクザともどもにピザ屋に終結とあいなる。そこで「ピザの代名詞」女店長は、ヤクザ男が語っていた「息子のためにピザを」「小さい頃親父と死に別れて」といった告白が全て虚偽だと知る。息子なんかいないし。しかもその種類のピザを買っていたのは、最初に買った時のおまけのカードがあるゲームのキャラで、数が少ないのでプレミアがつくようなものが当たり、ネットオークションで20万で売れた。それに味を占めて柳の下のドジョウを追って毎回注文していたというのだ。
     ショックを受ける女店長。彼女は騙されていた、彼女がやった事は無駄だった、という会話の中、例の人権バイト男が衆人を相手にダメ押しする。「自由と人権は違う。自由は権利だから、権利を行使するしないは本人の問題だ」「だが人権は義務。どんな人間に対してもこれを保障することを怠ったら、それは人権ではない。そしてヤクザのような最低なやつには人権など必要ないと言う人間は、やがて自分自身の人権の根拠も失うだろう。なぜなら人権とは、万人に等しく天が与えるものだからだ・・・!」(大意)と、名演説。
    さて、女性たる店長にとって高邁な理念についての是非など二の次である。がっくり落とした首を上げ、ヤクザ男に最後の質問をする。「あなたは、ピザを食べたの? たとえおまけ目当てで買ったものだったとしても、それを食べたの?食べなかったの?」 ヤクザ男「そりゃ・・食べたよ」 「で、おいしかった?」「・・・まあ、・・」とか何とか。 満面の笑顔を浮かべる店長。
    こうしてご多分に漏れずカラオケタイムとなり、大団円。

    無駄のない構成、程よく楽しく、笑えてシリアスなメッセージもあり・・の見事な脚本だったが伝えるのは難しい。

    あらゆる題材(喫緊のテーマならなおよし)をどんどんやってほしい。
  • 満足度★★★★★

    中身が濃くて、
    それでいて緩い感じが素敵です。

    ネタバレBOX

    暴対法の趣旨から反社会勢力にピザを販売してはいけないというピザマッチョ呉店における事例を通じ、ヤクザに人権はあるのかを問う問題作。

    アマヤドリの広田淳一とのアフタートークで、情に流されてぶれた店長と人権を理知的に考えるバイトの違いを改めて認識しました。

    人権が制約されることを本人が容認する自由はあっても、他人の人権を制約することはできないという、人権と自由についても考えさせられました。

    ピザ屋の独特の口調、基本立ち芸の緩さ、面白かったです。

    それでもヤクザは毎日何かを食って、何かを着て、どこかに住んで生きている、ですね。
  • 満足度★★★

    弱者の人権
    面白い。95分。

    ネタバレBOX

    暴対法のあおりで、お得意先のヤクザにピザを販売できなくなったピザマッチョの山口店長。そのヤクザの不幸話に同情し、隠れてピザを販売していたが、むしろ問題行為として警察沙汰になる。熱烈なピザ愛からヤクザの嘘を許した店長だったが、結局ヤクザを続けるというヤクザに雇用してくれと頼まれ、難色を示す…。
    題材がとっても面白い。ヤクザという社会のクズの「人権」という観点で、色々考えさせてくれる。ただ、発言での意思表示がすぎる気もする。ストーリー的な面白さももう一声ほしい感じもするし。
    バイトの松葉の言った、弱者(ヤクザ)は人権以外で守られていないというのは、中々突き刺さった感がある。人権こそ、最後の砦(セーフティネット)なのかしら。
  • 満足度★★★

    約95分
    この先われわれにも課されかねない“人権の制限”と、それがもたらす不自由とを、暴対法によりひと足早く味わっているヤクザを登場させて分かりやすく描いた社会派の劇としてはよく出来ていたものの、コメディとしてはパンチ不足。
    以前おなじ小屋で観た『天晴!福島旅行』のほうが、ストーリーにも演技にもよりメリハリがあって楽しめました。

    ネタバレBOX

    一番見入った、というか聞き入ったのは、元アイドルのピザ屋スタッフが人権についての持説を繰り広げる(展開する)シーン。他人の人権を侵さないためには、こちらが私心を排し徹頭徹尾理性的でなければならないということがおそるべき説得力を伴って伝わってきました。
  • 満足度★★★★★

    見た目B級
    ステージが超チープな作りで(テーマ曲も)、アゴラというよりは東京の別の町の怪しい劇場のような雰囲気すらしました。でも、始まってみると中身は骨のある社会派。ギャップ萌えってやつかなあ。勉強になった。ぶれない奴になりたい。

  • 満足度★★★★

    蓮チーム観劇。面白かったです。
    上演時間100分+アフタートーク20分程度。
    開演10分前から前説あり。


    こちらの団体の短編っぽいものは、
    (本公演の紹介っぽいのとかスピンオフとか)、
    大阪の演劇イベントなどで拝見していました。
    本公演は初めて観劇します。

    「ヤクザの人権」という真面目な題材ですが、
    けして堅苦しくなく(時事ネタや会話のやりとりも面白かった)、
    特定の意見に偏らずにヤクザ周りのいろんな視点から描いていて、
    自分は無知だなぁと思ったり知らなくてよかったと思ったり楽しかったです。

    日常で実際になさそうでありそうな修羅場、
    ヤクザの一件以外にも社会の問題がちりばめられていて楽しかったです。

    前説の「今までの作品のざっくりあらすじ」も
    聞いていて興味をひかれる内容でした。

    いつもは映像を使うようですが、
    今回の演出でも
    「もし映像使うなら、ここで流れてそうだな」ってシーンがあったり
    実際目に浮かぶようだったりしました。

    ネタバレBOX



    ↓以下、役名です↓

    >山口さん
    感情移入しそうになりますが、
    よく見るとキラキラした目がまっすぐすぎて、
    逆に病んでるんだなぁって思いました。
    でも実際にあぁいう働き方してる人はザラにいそうだし、
    自分も(あそこまでじゃないけど)その精神はあるかもなぁと思いました。


    >住吉さん
    まさにTHE・板挟み&THE・保身って感じで、リアルでした。
    「山口さんが公園で…」ってくだりのあわてっぷりは
    動き(とくに、まがらない膝)がすごく面白く、
    そのあとのパートさんとの会話も面白かったです。

    >工藤さん
    挟み込みチラシの中にあった紙を読んだのと
    前説でその話題が出たのもあって、観る前から
    「どんなだろう、どんなだろう」って期待をしてました(笑
    キレっぷり、アドリブなんじゃないかってくらいすごい勢いでした。
    逆チームの刑事役も観たかったです。

    >松葉さん
    「冠婚葬祭用」にウケました。
    彼の言う「人権」論には途中耳がつるっとしましたが、
    (↑これは演出の意図的なものだと思う)
    たしかに納得する部分もあってこの考え方いいかもなぁって思いました。
    同時に「周りとの和」を重んじる社会でこの生き方を貫くのも
    異端扱いされそうだなーと思ったりしました。

    >稲川さん
    ドラマとかでも「なめられないように」とかの理由で、
    いっそこっちのほうがヤクザじゃんって恰好をしている刑事さんを見ますが、
    彼もそんな感じで、初登場シーンでは
    「いったい彼はどっちなんだろう」と一瞬迷いました(笑
    彼が語ってくれる警察とヤクザとの確執(関係?)は
    知りたかったような知りたくなかったような…複雑な気持ちになりました。

    >俊恵さん
    やたら詳しいなぁと思いつつ話を聞いていたら
    しゃべり方になんとなく「それっぽい」と思わせる感じが
    絶妙で、わかりやすかったです。
    刑事が来た時の気配を抑えてる反応や、
    エリアマネージャーの様子を見たときの達観した(諦めた?)ような
    ふとした表情などが目を引きました。

    >清水さん
    山口さんに話してる時の距離感とかで「あっこれは…」と思いつつも
    人間らしさチラ見せっぷり(他の人が話してるときの反応など)、
    クズ連発シーンの表情がうまいこと見えないようになっていて
    最後の最後辺りまで
    「クズなんだろうけど確証がない! 信じたい、信じられない! 
     これはヤクザだからっていう私の先入観なのか、
     それとも彼や演出に印象を誘導されてるのか?」って悩みました(笑
    クズい笑顔で「これ(極道)しかない」というところからのラストが刺さりました。


    あと組長さんが(単純に、ミーハーな意味で)格好良かったです…!
  • 満足度★★★★

    ヤクザの人権
    ドタバタに笑っていると、結構マジな法律の話になって
    「ほう!」「へえ、そーなのか」と感心してしまった。
    「人権」に関する解釈など目からうろこの説得力。
    底の浅い自己満足の人助けなど何の解決にもならないことを教えてくれる。
    社会や政治家の矛盾、そして大衆の感覚にも疑問を呈する
    その視点が素晴らしい。

    ネタバレBOX

    ピザマッチョの広島地区エリアマネージャーの住吉は
    呉中央署の巡査部長稲川に呼び出され、
    「今後ヤクザにピザを売らないように」と指導を受ける。
    だが呉店に行ってみると、既に常連のヤクザから注文が入っており
    今日は自分で取りにくるという。
    正面からヤクザに話してみることにしたマネージャーだったが、
    ヤクザにはヤクザの哀しい事情があった…。

    B級のつくりとキャラで展開するのだが、
    「ヤクザの人権を守ることが、全ての人の人権を守ることにつながる」
    という視点が素晴らしく効いていて、そこがキモ。

    誰からも好かれる人の人権は自然に守られるが、
    「嫌われ者の人権は法律で守らなければ誰も守ってくれない」というのは
    本当にそうだと思う。
    容疑者への人権侵害、容疑者の身内への人権侵害、
    不倫したタレントへの人権侵害…等々
    社会は“好き嫌い”で人権を尊重したりないがしろにしたりする。
    民主主義の未熟な社会においては、やはり法律で守る必要があるのだ、
    という理論は説得力大。

    ラスト、「ヤクザなんか辞めて普通の仕事をすればいいのよ」という皆の説得に
    ヤクザが返す究極の一言で芝居は終わる。
    「じゃ、元ヤクザを雇ってくれますか!?」
    誰も答えられない、誰も解決できない、この問いがすべてという気がした。

    アフタートークで高間氏が
    「ヤクザという言葉を“演劇”に置き換えても通用するように書いた」
    と発言していたのが可笑しかった。



  • 満足度★★

    ネタばれなし
    アマチュア劇団?という感じは否めないが、扱っている内容が興味深いのが特徴的だ。

    ややチャリT企画に似ているかも?

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