満足度★★
予想よりは良かった
思っていたよりは良かった。
前半無駄な描写が多く散漫になってしまう。
「老人」が誰であるのか、という伏線も矛盾が生じていて今一つ納得はできないが、観客側で無理やりに補完する事はできるので大きな穴とまでは感じない。
よくある話といえばそれまでだが、観客の興味を最後まで引っ張ることは出来たのではないかと思う。
暗転が多く、その際のSE・MEがうまくない為気持ちが途切れてしまう。
役者に関しては、セリフを読んでいるだけの人が多く間もほぼ均一。
自分の喋っている言葉の意味を考えて演じているとは思えない。
その瞬間瞬間だけをそれっぽく演じるを芝居とは言わないと思う。
満足度★★★★
感動した。連れも泣いていた。終演して明かりがついた時は自分の周りがみんな泣いていた。連れも自分も涙が収まるまで席を立てなかった。
序盤から質の高いセリフに圧倒される。セリフの噛み合わせが高水準。印象に残る言葉も多数。
その上質なセリフで戦禍にいる貧民の悲哀をじっくり描いてくる。一言も聞きもらしたくなくて気がついたらどんどん引き込まれた。
役者が本のレベルに追いついてなくて、会話のキャッチボールができていないのが惜しい。
本全体を見て演じていないように感じた。
後半は過去をやり直そうとする老紳士が、たまたま通りかかった男女を使って、自分の記憶に干渉して悲劇的な過去を変えていく。
目まぐるしく入り乱れる過去をテンポよく見せる演出にまた圧倒される。
過去を変える旅は、過去の自分の決断を変えられずに終焉を迎える。
死ぬ覚悟で亡命する絵描きを、追っていく老紳士。それを止めるのは後悔していたはずの過去の自分。一人の人物を途中から3人で演じていたのがこのためだったとは。老紳士の涙に泣きそうになる。
そこに来て老紳士が何者か知らないはずの絵描き、ルートが彼に話しかけたところで涙があふれた。
あんなに畳みかけられたら泣くに決まってる。今も思い出すと泣きそうになる。
役者は惜しかったけど萎えるミスもなく、若い人としてはまあまあ安定だろうか。
セットが良い。照明もいい。選曲もいい。前半の印象的なセリフが伏線になっていたのも感心した。
衣装がやや清潔感があってそぐわない印象だったかな。そこだけは残念。