満足度★★★★★
知識の下準備
満映、李香蘭、甘粕正彦、関東軍、江戸川乱歩、怪人二十面相・・・作品の中の時代背景やモチーフを少しは知っていないと難解になってしまいそうだな、と思った。
個人的にはもともと全て大好物だったし、それなりに知ってて観てたから、とにかく面白くて面白くて、先の展開が早く観たい!でも終わって欲しくない!ずっと観ていたい!!と何度思ったことか。
どの役も物語には必要不可欠で、それぞれの役者さんの技量も素晴らしかった。中でも、八ツ目役の津和野諒さんの怪演ぶりは強烈な印象を残した。ほぼ同じ場面で登場するハナ役の山本光さんも、少女特有の少し芝居がかった言い回しや美しい言葉遣いがよい対比となって、この作品のもう一つの主軸となっていたように思う。
どのキャラクターもとても魅力的だったので、いつか全員スピンオフ、または続編で再会出来ることを期待したい。(勿論再演でも大歓迎です)
満足度★★★★
読みたい乱歩作品が、また増えました
舞台上下手側も座席にした、カギ型の席配置。
マチソワで両面から観劇しました。
江戸川乱歩はここ数か月前にかじりだした者で、
明智小五郎やいくつかの作品タイトルは知っていましたが、
怪人二十面相についてはほぼ無知識でした。
それでも思わずニヤリとさせられる乱歩モチーフの使い方や、
現実的な部分とフィクション全開の仕掛けの組み合わせが絶妙でした。
休憩なし2時間ちょっとの、
映画のようで、かつ、人間の熱を直に感じる時間、楽しかったです。
内容もさることながら、スタッフワークもよかったです。
KASSAIのお手洗いは女2、男1で3つあるのですが、
開演10分前まで男女共用で混雑解消。
また、開場時間には
整理番号付き40名+当日精算で、開場時間は大所帯が移動するので
「入場が落ち着くまで、
空席がわかるよう、着席したままお待ちください」
ってアナウンスも、スムーズに入場できて快適でした。
個人的に、ちょっと…と思ったのは、
有料のパンフレットを買わないと配役一覧が手に入れられなかったこと。
内容的に「何人の人間が出てくるか」、「役の名前は」などは
開演前に知らないほうが楽しめる作品でしたし、
何も知らない状態で観ていても
登場人物の名前などはするっと頭に入ってきました。
ですが、終演後に「あの役の役者さんはなんて名前だったのかな」が
すぐに調べられないのはちょっと不便だなぁと思いました。
終演後に受付付近で配ってくれたらよかったのになぁ、と思いました。
あと、開場中に明滅するの電灯の美しさが、
入場者(舞台下手側)の足元を危うくさせてるのが一長一短な感じでした。
満足度★★★★★
楽しみました。
次々と新しい謎が重なるストーリー、心地良いタイミングで入ってくる笑い、綺麗な歌声、素敵なキャストさんシンプルなセットと照明で作られたステージはとても美しく、最高な演出でした。
満足度★★★★
江戸川乱歩ワールド
怪人二十面相を題材に展開されるストーリーと笑いありミュージカルや映画のワンシーンをみるような演出に魅入られる作品。
江戸川乱歩を知っている方ならより深く知らない方でも楽しめる。
出演者それぞれの役柄もしっかりしているので重厚感もある。
客席が正面と左側にある為同じ作品でも違う角度から観る面白さもある。
最初は正面の前列あたりの席からみた方がいいのかと。
満足度★★★★
鳴り止まぬ笑い声
まずは追加公演で、アフターイベント付というマチネを堪能。
正面のセンター、しっかり演出が見える席。目の前で映画が展開しているような、しかし、本を読んで自分の脳内で展開しているような、不思議な気分。一体誰に化かされているのか?
続いてソワレ観劇。
二度目はサイド前列。物語への没入感は最高な位置。ただ死角が発生する(直線上で役者が役者に被る)ので初回にはオススメしないかな。
こんな表情していたのか!、少年達はここでオフ芝居してるのね~、という発見多数。作り込みの細かさに感心するばかり。
幻燈の獏は、万人に受ける作品ではないと思う。それは江戸川乱歩作品の持つ不気味に濁った色がそうさせているのだろう。でも、それを表現できているレベルの高さは体感して欲しいと願う。
主演の那奈ちゃんは中性的な少年を好演していて、聡明さと強かさがすごい。
他にも女優が少年を演じている、というか、少年役に男性がいないのだけど、それが倒錯的でより少年らしくなるのかな。乱歩の世界の成せる技。
真っ白な服装と撫で付けた髪の高田さんの甘粕。佇まいだけで、潔癖で律されたイメージを植え付ける。それは甘粕自身の理想や夢だったのかも知れない。
ある程度の地位を築いた人間の風格と、処世術の巧みさがじわじわと染み出ているのがすごい。目線だけで人を黙らせる力があるように思う
甘粕/高田さんは、ズルいシーンが3つある。
イベントでも再現した“流行りの動作”は、やられたい!けど、やられたら恥ずか死する。
優しさ発揮の場面の人間味が、それまでとのギャップが大きくてズルい。
回想の場面での年齢の表現に息を飲む。技術のある役者には感服するばかりだ。
コメディを封印していないけどシリアスな図師さん。図シリアス。私の大好物。演出の細川さんが最終調整した(笑)バランスがいい。
あと、今回のキーポイントでもある、笑い声が良い。パンチ力があるから、グッと場面に引き込んでくれたように思う。
Wコールで図師さんが仰った『役者は観客に見てもらってやっと仕事になる。だから、今作も今後も多くの人にその目で見て欲しい。』という話が、演劇愛に満ちててよかったなぁ。彼の真面目さが見えてくる。
実は色男な神田/土田さん。緊迫するシーンもあるけれど柔らかいシーンも多くて、緩急を感じさせてくれる。終盤で種明かしされて腑に落ちるうちの一人なのだけれど、それまでの間はずっと人間臭さがある。だけど、判明すると人間臭さが吹き飛ぶ(私的感覚)。
ベスト姿がツボすぎる篠山/大悟さん。所作が男らしくて好き。何故そっち側に立ったのか、それまでの経緯も気になる役。後半で出てくると最初は!?!?ってなる。今作は殺陣付けも。
星璃くんの栗田は先月のセカスリと180度違う。ありとあらゆるものを消した上での表現って大変そう。
影の主役なんじゃないの?と思う八ツ目/津和野さん。いい意味で変態で、狂人で、キモい。これを会得するのは大変だったと思う。
終演後に客席に出てきた時、普通の青年で気づかなかった(笑)。
毎度不憫な役回り(本人談)の結束さんは、撮影所側を纏めるいい兄貴。酒瓶が似合いすぎw
宗さんの変幻自在っぷりは毎度目を瞠るものがある。狂気に満ちた感じで、変態で、人間だけど人間じゃない感じ(褒めてます)。それは所作や表情や語り口が、繊細で作り込まれたものだから伝わって来るもの。徹底しているところが好き。だけどイベントで宗子になってるのも、結構好き(笑)
幻燈の獏の照明は大道具でもあるので、そういう観点でも面白い作品だと思う。バンタムをカッサイで2度見てるけど、あの時は舞台美術あったからね。
音響(音効)のセレクトも良くて、違和感なさすぎて没入しちゃう。
制作さんも仕事が早くてスムーズ。
素敵なスタッフさんがたくさん!