満足度★★★
捉え方によっては
母と娘の物語だが、母と娘の物語というより、母となった娘の不条理会話劇ポイと感じた。また、ラストだけをとらえると、娘の容姿(不完全)による妄想劇とも取れるかな(だからあんな容姿と)
面白くはあったが、捉え方によっては難しく感じてしまうかな。
満足度★★★★★
寂しい嫉妬
大好きなとみやまあゆみさんを観にスタジオ空洞へ。開演から暫く背中の演技。まさかの設定に度肝を抜かれた。自分の容姿や人生に充分満足している人は、この世にどれくらいいるのだろうか。別の人生を手に入れたくなることもあるはず。チクチクした。●俳優は、いくつもの人生を生きて、それを見せてくれる。映画もいいけど、目の前で生きてみせてくれる舞台は、その浸透力が格段に違う。人は皆、影響しあって生きている。自分の存在が大切な人の負担になっていると知ったら、どんな気持ちになるのか?ゾッとする。●自分に非が無い問題で揶揄される憤りはいかばかりか。それを放出しない彼女の心は、どれほど焼かれただろう。彼女が一瞬だけ牙を剥いた相手は認知症が始まった叔母。ところが、逆襲を受ける。意識的な悪意の存在に背筋が凍った。●肉親だって、気の合う合わないはある。しかし、それに触れてはいけないという暗黙の了解が家族にはあるはず。きれいごとではない怨みや妬みがこぼれ出す。でも、一番破壊力があるのは憐れみ。それが家族に致命的な傷を与える。誰もが自分は大丈夫だと信じている。●小瀧万梨子さんが今作も飛び道具。存在感が半端なく、その破壊力は絶大。契約恋人の美しさにはウットリだ。猫耳カチューシャがあんなに可愛らしく見えるなんて奇跡だ。それを外して、あの役にすーっと下の子が生まれる時は、意識して上の子を可愛がってあげな」と言う。大好きなママを取られた上の子の妬みは純粋なだけに破壊力が高い。愛ママから生まれたミチルが愛に満たされなかったという不幸。奇形の金魚にまで嫉妬したあげくの…報い。呪い。その代わりに…チェンジする彼女に脱帽。小さなアレの演奏も味わい深かった。●下の子が生まれる時は、意識して上の子を可愛がってあげな」と言う。大好きなママを取られた上の子の妬みは純粋なだけに破壊力が高い。愛ママから生まれたミチルが愛に満たされなかったという不幸。奇形の金魚にまで嫉妬したあげくの…報い。呪い。その代わりに…手に入れたママの優しさ。代償に背負った個性。空っぽの金魚鉢は、偽りの家族。見て見ぬフリに疲弊する。最初の脱落者はお父さん。男って情けない。誰もが持つだろう、受け継ぎたくない親のDNA、渡したくない自分のDNA。逃れられないDNAの恐怖のスパイラル。●遺伝子検査による堕胎の是非。もし問題が見つかったら…の倫理観論議も終わりなきスパイラル。それも見て見ぬフリができるのか。マナミちゃんは生まれていなかったとしたら…。本当の家族が子どもだけだと言うなら、配偶者は違うと言うなら…夫婦の在り方が問われた。●』⑨「深爪が痛い」「オナラが出そう」「あっ…」マナミちゃんのような女の子。あのつぶらな瞳は天使だ。彼女がいるのは星の世界。捨てられたネギも離婚届も星の世界へ。みぞぐちあすみさんが穢れのなさは神の領域だ。彼女は、全ての人物の心情を見せてくれる。雄弁だ。●女の子は幻のように消える。彼女の表情が物語のナビゲーター。見つめる瞳が豊かに語る。ミチルが愛される手段として身に付けたアレを指して尋ねる。「それ、まだ要る?」それは、ミチルに、本当の人生を生きるよう促すものだ。舞い降りた天使だった。●ミチルはオープニングの背中語りで、ソレを握っていた。何度も握っていた。その手で、天使に促されながら明るい未来を、本当の人生を、本当の家族を、本当の愛を、手に入れてくれることを願う。「あれ〜?」の向こうに光が差していると信じている。
満足度★★★
閉○ガラガラ
へーっ,あのギャグって,こんな転用されているんだ。まぁ,男からは使えないけどね。さて,この芝居,なかなか面白いし,目も離せない。”母と娘”ものということであるが,テーマがいまいち腑に落ちない。悪い芝居じゃないんだけど,自分的には消化不良かな。次回公演を期待しています。
満足度★★★
されど人間
恐らくは主人公がもっとも不完全な人間なのだろうけどなにゆえ不完全なのかは最後まで明かされず、でも不完全であることが一目瞭然で最初は当然違和感を伴うしやはりそれは変でずっとおかしみを携えつつ、だが劇が進むにつれその違和がほどけていく。それは周囲により不完全な人間がいるからなのだが、外見の不完全さは内面の不完全さに較べれば取るに足らぬことだからなのかもしれない。とは言え作者はよほどブサイクなのだろうかなどと勘ぐってしまうわけで終演後多分作者であろう方をじっと見てしまった。もっと客が入っていいと思うのだが宣伝が足りないのかなあ。