劇団やりたかった第7回公演
劇団やりたかった第7回公演
実演鑑賞
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2016/05/20 (金) ~ 2016/05/30 (月) 公演終了
上演時間:
公式サイト:
https://facebook.com/yaritakatta
期間 | 2016/05/20 (金) ~ 2016/05/30 (月) |
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劇場 | 参宮橋TRANCE MISSION |
出演 | 夏海陽(エースプロダクション)、鈴木信吾、夕季愛生子(ゆーりんプロ)、伊盛信乃、椛田真二(エッグスター)、桂川太郎、木下咲希(劇団やりたかった団長)、永山千晶、中村桂輔(劣等星人) |
脚本 | 山口貴史 |
演出 | YammerSunshine |
料金(1枚あたり) |
3,000円 ~ 3,200円 【発売日】2015/11/13 前売り3000円、当日3200円 |
公式/劇場サイト | ※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。 |
タイムテーブル | 2016年5月20日(金)~30日(月) 全15公演 20日(金)19:00 21日(土)14:00/19:00 22日(日)14:00/19:00 23日(月)19:00 24日(火)19:00 25日(水)19:00 26日(木)19:00 27日(金)19:00 28日(土)14:00/19:00 29日(日)14:00/19:00 30日(月)19:00 |
説明 | スタンディングオベーション手前、笑う半歩てまえのもどかしいながらにもぷぷぷとなる笑いを追求してゆく劇団やりたかったの第七作目です。 【あらすじ】 主人公のメイは、何年かごとに訪れる車の免許の更新に試験場へと訪れます。長い受付の列に並んでいると係員に呼び止められ別室に連れて行かれそうになります。なんでも係員が言うには進路変更違反をしたとかで講習があるらしいのです。メイには身に覚えがありません。ここ最近くるまにさえ乗っていなかったのです。 おおいそぎで生きなくては。 将来のために現在を犠牲にするなんておおまちがい。 今には健康があり、若さがあり、炎がある。 未来なんてのはごまかしですよ。 20をすぎたら生きるを始めるんです。 そうでないと空がまた暗くなってしまいます。 劇団やりたかったを立ち上げる以前の団長木下咲希が、五年前に主役にも関わらず逃げ出した作品です。当時の彼女はあまりにもこの主人公に状況が似ていたのです。五年前はシリアスな作品でしたが劇団やりたかった風にコメディ要素をふんだんに盛りこんだエンターテイメント作品となります。 【YammerSunshine演出日誌】 2/24 昨年の暮れに役者さんたちに台本をお配りし、これまで週一回の読み合わせを繰り返してきました。だいぶんとそれぞれに割り当てられた人物での感情表現が芽生えてきたように思います。 単純な喜怒哀楽を表現できる人は多いのですが、その人物特有の喜怒哀楽を表現できるひとはなかなか少ないように思います。たとえば悲しみは泣くばかりではなく、悲しくて無表情になる人、悲しくて怒る人、悲しくて笑う人、悲しくて悟られまいと逆に明るくふるまう人などそれぞれあると思います。小津監督の言葉、ほんとに悲しい人は悲しい顔はしないよ。というのは真で、人というのはそう素直ではないのです。ただ表面をどう取り繕おうが、その悲しみは隠しおおせないのでその姿は悲痛さをよりいっそう漂わせてしまいます。そこに悲劇であると同時に喜劇であるということが発生します。今回の登場人物たちもなにかしら悲しみを持った人たちです。悲しみをオモテだって表現するのではなく、滲みでてくるなかに喜劇的な人間的ないい笑いが作り出せたらと思います。 3/2 この作品の演出のむずかしさは、団長が五年前に逃げ出した作品であり、そして帰郷していた広島からこの作品をみにわざわざ一日だけ上京し、観劇し、そして離婚を決意し、芝居で食べていこうと覚悟するにいたったシリアスな作品なのです。しかし劇団やりたかったはこのコメディエンヌ木下団長率いる喜劇を扱う劇団なのです。 最初はこの作品をやりたいといった団長に難色を示したのですが、団長はこの作品をやらないとさらに先へとは進めないのでしょう。団長は五年前の自分の弱さと戦っているようです。そこに喜劇性を見出したいと思います。 3/10 今日から実際の本番での舞台を想定した位置に役者さんたちについていただきました。ずっと円を囲んで本読み稽古をしてきたので最初はもっとぎこちなくなるかと思いましたが思いのほかみなさん本番想定にすんなりと入ってくださいました。これも役者のみなさんが二か月強のあいだ役作りにいそしんでくれたおかげだと思います。そしてそれにともない台本にはない役者さんたち個人が作り出した動きやセリフが少しづつではありますが自然と芽生えてきています。けど、まだまだであることも事実です。最終的には台本にあるセリフなんかなかったかのように。が、目標です。 3/16 台本を元にひとりの人物を作るのが役者の仕事だと思います。 割り当てられた人物のセリフやト書き、またまわりの人物のセリフからひとりの人物を作っていきます。あなたの親しい人や親兄弟のことが簡単に思い浮かべられるのと同じように、あなた自身がその架空の人物を想像できるまで。 まずはここからです。 台本にひとつのセリフの人物だと簡単です。その人はなにを思ってこの言葉を言ったのだろうかと探り、その気持になって、その人物になってセリフを言えばいいのです。 何十ページもある台本に出続けの人物だった場合はもう大変です。一つのセリフだけをもらった役者のようにすべてのセリフに対して気持ちを探り、そしてなおかつ、ひとりの人物としての整合性を持たせなければなりません。想像力のいる仕事です。 3/23 今日の稽古で印象的だったのは、団長が自分の役を演じていて、楽しくなりすぎておかしくておかしくて喜びを抑えきれなかったことです。 何がそんなに嬉しおかしいのかを聞いてみると、あとからあとから、アドリブに似たようなものがあふれ出し、それに対して自分自身で嬉しくなり、胸が張りさけそうになったそうです。必至にその喜びをこらえようとしていたのですが、役が完成しつつある喜びとかさなったのでしょう、本当に楽しそうでした。 こういう時、この木下咲希という人間はもしかしたら本当に演じるために生まれたきたのではと思ってしまうことがあります。そしてその団長の役が深まってきたのを受けて、ほかの役者さんたちの人物にも厚みが加わってきたのは興味深かかったです。これは呼応できるなにかをそれぞれの役者さんがしっかり家で作っていたんだとも思います。いい役者は家で仕事を仕上げてくる。自ら答えを出してから現場に現われるんだ。リドリースコット監督の言葉です。 3/30 台本の最初からいつも稽古を始めるのですが、今日はとめることなくすうっと最後までいきました。自然と通しになった感じです。いっとき止めようかとも思ったのですが、人物になりきるという作業はみなさんクリアしていたので止めませんでした。止めようとおもった理由は、リズムとテンポがなくなってきたからです。お客さんの集中がきれる要素のひとつです。ただ、いまの段階だとまだ人物を深めるという作業もとても重要なので止めませんでした。 人物を深めつつ、リズム、テンポを大事に、最後の暗転まで集中を切らせずに物語を慎重に運ぶ。現段階での稽古目標です。 4/13 役作りをしていて、役者をしていてストレートにことがうまく進むなんてことはほとんどないと思います。迷うと思います。またストレートにことが進んでもいけないような気もします。遠回りや失敗、無駄だと思えることを繰り返し、繰り返し、この紆余曲折をいとわず柔軟であること。そして努力したことに執着しない。心をぱかっと開いて。よく思われようとか、褒められようなんてことは考えない。自分の作った役を信じて疑わない。 4/20 アドリブ的なものがでるようになってきました。 どんな状況でも役者さんたちの作った人物で対応できるようになってきました。これがいい側面だとしたら、悪い側面は台本にないことをやることに意義を感じてしまう、またはそれを喜びとしてしまうことにあるのかもしれません。 もしセオリーを破るのなら、元あったものよりもいいものではいといけないし、リズムやテンポを奪ってまでそれをやる意義があったのかということも考えないといけません。 また少し厳しい意見ですが、アドリブやセオリーを破るのには、まず観客が味方についていないといけません。その技量というのも存在します。そうでないとただのうざい役者になってしまう危険性もあるのです。ようやく生の舞台を想定した稽古になってきました。 4/27,28 稽古をしていて嬉しい瞬間というのがある。役者のかたが想像をこえる、台本の範疇を超えた、それでいて全体を阻害しないいきいきとした人物を演じてみせたときである。もちろんこれは狙ってできるものではない。心を解放し、なにもかも任せて、一瞬一瞬を信じて反射的にセリフや動きが出る。艶というもの。演技がウマイというのではない別のなにか。高い協調になっていけばと思う。 5/6 本番を想定した通しをおこなっています。この稽古ではどこまで自分自身が本番を思えるかというのも重要となってきます。稽古と本番の緊張感というのはまったく違うものなので、自分自身をおこりうるであろう本番の緊張感を想定したうえで役を演じるといい稽古、役に立つ稽古となります。緊張というのはいいふうにも悪いふうにも作用するので、その自分自身の緊張の特性を把握するのも大事な作業となってきます。 まだまだ失敗の回もあります。艶がない。リズムがでない。感情がこもらない。そういった失敗を本番でおこさない創意工夫も大切となってきます。今回は15公演あります。野球の打者なら三割打てばいい打者です。しかし、役者は十割(すべて)いいお芝居をみせないといい役者ではありません。なんせ観に来るお客さんのほとんどは一打席しかみないので、それでしか判断してもらえないのです。 5/11,12 アドリブがでると役者さんは楽しいし、それをみたお客さんも嬉しくなる事実はあります。しかし悪い点はリズムとテンポが阻害される。物語の本筋が掴みにくくなるなどがあります。 私見ですが、いっこずれるアドリブはいいような気がします。しかしそれが二個三個とずれていくようでは、役者の喜び=お客さんの喜びにならないような気がします。辟易するといったこともあるのではないでしょうが。まあ、なんでも過ぎるのはだめだということだと思います。けどまあ、役者さんの伸びやかな感じもみたいし。難しいとこです。 |
その他注意事項 | |
スタッフ | 谷口夏美 五十里厚子 上野裕子 本多克哉 |
【あらすじ】
主人公のメイは、何年かごとに訪れる車の免許の更新に試験場へと訪れます。長い受付の列に並んでいると係員に呼び止められ別室に連れて行かれ...
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