面白い戯曲でした…。やっぱり安部公房は凄いなぁ…。俳優さんの演技はもっと感情が小刻みに揺れ動いて、行動の振れ幅が大きい方が、スリリングで私好みです。他者をシャットアウトして逃げ込んだ心の隠れ家(=城塞)を、恐る恐る、でもこれ以上ないほど乱暴に、ぶち壊してほしい。
満足度★★★★★
この衝撃はすごい
安部公房は初演のパンフレットで「これは喜劇なんです」と書いたという。確かに、見終わってから思い起こすメタファーとしてはそう感じられるところもある。だが、これは父と息子の強烈な舞台だ。時間を止めてしまった父を破壊することで、息子も自らを破壊してしまった。戦争で財を成した家族にとっては、まだ戦争は終わっていないのだ。
特に後半の演出、そして登場する5人の俳優が見事にその仕事をやってのけた。最後の暗転で、座席に釘付けになるような衝撃はすごい。舞台芸術ならではの体験だ。
満足度★★★★★
熱演
5人劇、休憩込みで2時間30分。
年老いて病気にさいなまれる老人、息子と妻、使用人、今回の件に巻き込まれた女。
それぞれが持つ闇と、過去の記憶。
その記憶を強固に維持し続ける(都合のよい)思い込み。
それが「城塞」となって、前へ未来へ進む足かせとなる。
更に国が示す理解に苦しむ姿勢。
またこれも「城塞」となり未来が暗黒と化す。
なかなかに重厚な作品ですね。