満足度★★★★
鳥公園『火星の人と暮らす夏』
鳥公園「火星の人と暮らす夏」、現在を生きる人間を過去の記憶が塗り込めていく様に、現実を非現実が侵食していくフィリップ・K・ディックの小説を彷彿。いや、その記憶すらも事実かどうか…。時間や役柄、様々な立ち位置が、時に重なり目まぐるしく入れ替わる、多重な光景。
満足度★★★★★
作演&役者のベストマッチング
2人の役者さんが複数の人と時代を行ったり来たりしながら話が進む・・・ それ自体に目新しさはないけれど、役者さんの力量をこれでもかと見せつけられた。各々の役のハッキリとした演じ分け、それでありながら役の切り替えの自然さ。時代まで超えるのにまるでワンシチュエーション劇を観ているかのようで、お話の構成をより秀逸に体現してみせている印象でした。作演&役者のベストマッチングですね。
また、役の心情が見事に、でもさりげなく顔に浮き出ているのにも唸るばかりです。一番印象的だったのは、母に叱責されている時の武井さんの表情。ホントに顔がピクピクしてた… あんなとこコントロールできるんだ。次から次へと出てくる歌謡曲の歌詞に乗せてセリフを紡いでいくのも面白かった。
最初は野外の辻演劇みたいなものだったとか聞きましたが、なるほどこれなら通りすがりの人も寄ってくる。なお、終わり方は綺麗だけど欲求不満。カーテンコールして欲しかった。役者さんにいっぱい拍手贈りたかったよ。