西遊記 公演情報 西遊記」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★★

    天才天野天街天井知らず
    氏の発案した演出技法は数知れないと言う(地元名古屋出身者からの伝聞)。台詞尻を重ねて元に戻ってくるループ、そのリフレインが活用形として変化し、少しずつしか物語が進まない。と、意表を突いた振り出し戻り(双六かっ!)。毎度変わらず小気味良い映像・音響を活用した転換、群舞・・これらの表現様式に取り憑かれこれによってしか演劇を紡げないループに自ら陥ったかのような天野天街という人(勝手に言ってすみません)は、様式という「制約」の下、険しい山を登るように物語を織り上げる。度重なる素っ頓狂なリフレインは、あたかも、芝居を背後から動かす「語り部」が吃音者になったかのようで、おかしみが漂う。遊びも多々あった。中盤の極めつけの「遊び」には、腹が痛くて声が出ない程。おかしな事がそれこそリフレインで延々と続くので「笑いおさめ」の声が出せないのだ。
     この様式は俳優にも多大なエネルギーと力量を要求する。活動拠点である少年王者館の俳優の完成度に比べ、ナチュラル演技に寄った分「精度」は落ちるとは言え流山児俳優それぞれの持ち味を発揮して遜色なかった(頑張りが見え、それが効奏していた)。
     天野天街の「遊び」が続いた最後に、ナチュラルな芝居で気持ちよくまとめる事も可能かと思われるところ、天野的「遊び」は最後まで貫徹される。そのため、観劇の最後には得たいドラマ的なお土産は、持ち帰りそびれる、というのも特徴かも知れない。
     昨年天野作品初観劇(少年王者)から、半年程の間に天野演出舞台の観劇が4本続いた。こたびは前回以来のスズナリで、アングラを継承する(ペーターゲスナー談)天野的世界をまた堪能できたが、どうもあの世界はこれからも果てしなく続く実験なのだろう、などと思う。「様式→ドラマ」(通常は「ドラマ→様式」)というアプローチが何を生み落とすのかという・・。
     この異界、一見の価値有り。

  • 満足度★★★

    踊る、歌う、西遊記
    流山児★事務所の本領発揮の舞台。何度も何度も繰り返すデジャビュ・シーンに頭がしびれてくる。これでもかと脳天を突き刺す役者たちの姿に、満員の下北沢・スズナリが異次元に入っていく。

    ただ、こういうテイストに拒絶感のある人がいるかもしれない。劇薬注意、という感じでしょうか。

    これをひっさげて、アジア諸国を回るという。性別も、国籍も、年齢も超えるという流山児の挑戦に、アジアの演劇ファンはどんな反応なのか。期待したい。

    ネタバレBOX

    私が見た26日夜は、社会学者の宮台真司さんが来ていて、流山児さんに舞台に呼び出された。サプライズ・ゲストだ。宮台さんは何を思ったか、「西遊記」の来歴を語り、お客さんは「あ、そうか、これは西遊記だったんだ」と我に返ったのではないか。

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