満足度★★★★
壊れた風景
約一時間半弱。眞鍋卓嗣演出。千秋楽。ピクニック用の食物を通りすがりの人々が盗み食いする、40年前の別役実戯曲。自然な演技に説得力あり。銃や切れた手首を手にし、嬉々として荷物を漁る場面を挿入。ぬるぬると無責任に侵略戦争に加担する日本人の姿を見せた。凄い。
満足度★★★★
引き返せない怖さ
別役実フェスティバル参加作品。別役さんらしい不条理劇だ。
「ちょっとくらいなら」「みんなでやれば」。こうしたどこにでもあるような感覚が、ナイフのように厳しい切り口となって迫ってくる。みんな悪いことと分かっている。引き返すポイントはいくらでもあった。だが、結局誰も引き返すことはできず、集団心理の中で破滅へと突っ走ってしまう。
かつての歴史もそうだったし、今の日本も同じ空気ではないのか。
引き返す勇気といわれる。集団の中で考えなければならないのは、思考停止しないことだ。
名取事務所主催。見て損はありません。
満足度★★★★★
可笑しさと怖さと・・・・。
味わいのある別役氏の脚本に、役者さんたちが深い味と旨みを付けていく、それをいただくのが客席の私たち・・・・。
あれが何ですね・・・なんて、曖昧な台詞にかくされた人間の心理の妙を、ぐさりと突いてきます。
面白かったです。
満足度★★★★★
「別役節」の発見--シニカルの水面にコミカルの氷がプカプカ浮かんでカプカプ笑ってら。
「壊れた風景」、良い響きだ。それを裏切らない芝居だった。演劇を演劇と呼びたくなる時と、舞台と呼びたくなる時、芝居と呼びたくなる時がある。芝居と呼べる感じの時は、良い。(と勝手に思ってる)
設定の謎かけに対する謎解き(オチ)は用意されてあるが、その間に展開されるナンセンスな場面群が良い。そのナンセンスを日本人は地で行っているというやんわりだか直裁だかの突きつけも、心地良いほどのうまい対話のリズムがあり、別役節にうなりながら笑った1時間半だった。
別役作品は俳優を選ぶかもしれない、との印象も。良い出来。微妙な間や、理性の一部を封印した精神のありようも「ありそう」で笑え、実のところ自分たちの事を笑っているのだがそれも許せる空間に、ハマりきった。