来たり人たち 公演情報 来たり人たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    来たり人たち=よそ者たち
    今回の芝居の予備知識は、「舞台が愛知県の尾張地方、造園業者の一家の跡取り問題を巡って展開する物語」いうことだけ。
    台本を見ているわけではないので、聞き逃しからくる誤解があるかもしれません。個人的な解釈が的外れになることだってありうると思います。

    ネタバレBOX

    エピソードシーンの積み重ねで、次第に煮詰まってくる家族それぞれの想い。  家族という池に波紋を拡げる出来事は2つ、父の脳梗塞の入院、リハビリ生活、後継者問題はもちろん最大のテーマで、もうひとつは謙一のけが騒動。
    後継者の候補として父から出てくる子供たちの名前に、謙一が出てこないことにいらだっている様子の母。
    この母は謙一のことになるとどうしてここまで強く反応して絡むんだろう?という疑問が、なかなか腑に落ちませんでした。 父の不在時(入院)に過剰なまでに気負った仕事の采配ぶりを見せる尚子、父とは一線を画して生き方を見つけようとする姿勢の信幸、ケガの後の仕事への復帰への意気込みからしてほかの誰よりも父に似ている謙一。どうやら、この家族の中に起こっていることは、単に父親が昔の家長的なふるまいを身につけていることからだけではないらしいと気づきます。
    では、どういう積み重ねの過去をもった家族なのか? このことが、わかるまでに非常に時間がかかりました。

    観ている者にとって、もやもやとした疑問が解けてくるシーンがありました。
    ① 尚子が恋人と実の母の墓前で会話するシーン・・・私にとっての母はやっぱりここにいるというようなセリフ。
    もう一つがラストの②「夫婦が亡くなった先妻の墓参りに向かうシーン」の時・・・・謙一を連れてこの家に来た時の思い出話。

    「来たり人たち=よそ者たち。この家族の中に、あとでよそから入ってきた者達」の意味が、初めてはっきり見えてくる瞬間です。
    セリフとしては、さりげなくしゃべっているし、なによりこのシーンが相当後に出てくるので、ここまでもやもや感を引っぱってしまうのが結構苦しいです。特に夫婦のしみじみとした会話は最後に出てくるので、ああそういうことだったんだとようやく納得。
    吉村浩司もおじいちゃんに助けられた思い出話からして、「来たり人」に入れてもいいかもしれませんね。

    ここに至って、ようやく母の謙一への入れ込み具合の謎がようやく解けてきます。そして、実の子どもたちよりも謙一のほうが父に似ていることも、謙一の側からすれば「この家族の一員として認めてもらいたい(特に新しい父に)健気な想いがこういうかたちになって成長した」ことがみえてきました。(私にはそんな風に読み取れました)
    連れ子として入ってきた謙一のほうが父親似となり、実の子どもたちは父のやり方を反面教師として、成長してゆくという皮肉。
    家族メンバーが現実をどう受けとめてここまで来たのか、ラストでもういちどふりかえる事になります。
  • 満足度★★★

    淡々と、ドキュメンタリーのような。
    こんなジャンルがあったのか!?
    というのが率直な感想。
    「自転車泥棒」「鉄道員」のような往年の伊の映画作品のような佇まいでした。

    パントマイム?要らないなと思いました。指先の動きに目が行き過ぎ、芝居を邪魔してる以外に何の効果があるのでしょうか?無いものを在るがごとく演じるのは役者の基本であり、システム演技の基本であり、何もそこだけ誇張する必要はないです。

    代々のそこに住む人たちのコミュニティに外から〝来た人=来たり人″が抱えるジレンマがテーマなのでしょうか…?
    それよりは、後妻親子が先妻の子たちとどう向き合うか?といった風情です。

    連れ子が跡取り候補に加えられないのは何故??
    わが子の怪我は一緒にいた先妻の子のせい?
    この辺りのやりとりは少々無理強いの感がありました。

    日常生活の中での差異とか、もっとそちらを淡々と描き切って欲しかったなと思いました。
    冒頭に、後妻であるという説明もないし…。

    芝居の流れとしては、冒頭に書いた通り、ひとつの方法論としては期待が持てる要素は充分にあります。
    惜しいなと思います。

  • 満足度★★★★

    “真摯な心”と“リサーチ”が「○!」
    “Toshizoプロデュース”初観劇。

    「舞台セットや小道具がほとんどなく、“パントマイム”で表現される」と謳っているとおりで、序盤は“パントマイム”に気が行ってしまい、物語が入ってきにくい感じだったが、それも徐々に慣れてくると独特の舞台感が心地よくなり、物語に惹きこまれた。

    造園屋を舞台としたヒューマン・ドラマの本作、面白かった。

    ネタバレBOX

    “造園業”や“脳梗塞”のリサーチがしっかり行われているようで、
    嘘のないように芝居しようとするその姿勢は、演劇に対する真摯な心を感じた。

    クレーンのフックが頭部に当たってしまう事故のシーンは、まさしくリサーチなくしては考えられないのである。

    というのも、私自身、造園業の方と同じ現場で仕事をしていたことがあり、
    状況から考えると、あり得る事故なのだ。

    その他の作業に関しても、よく表現されていたのは流石である。

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