The Mousetrap ーマウストラップー 公演情報 The Mousetrap ーマウストラップー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    旗揚げ公演…成功でしょう
    2時間15分(途中休憩10分)の上演は、ほとんど原作通りで、その魅力を十分引き出していたと思う。その意味で旗揚げ公演は成功したと思う。
    本公演は、その登場人物をどう描くかが課題であろうが、その点、キャストの熱演が素晴らしかった。

    当日ハンプで2幕、上演時間および休憩時間を見た時、笑みが零れた。これだけ忠実に展開するとは思わなかった。
    この成功したと思う公演だが、少し気になるところが...。

    ネタバレBOX

    それは、
    ①絞殺体が椅子を並べた不安定な上で、なおかつ客席に向けた側臥位状態であった。俯せ状態での絞殺は、短時間では難しいだろう。
    もっとも、椅子の上でないと、後部座席の観客から死体が見えないので、演出上の工夫であろう。そうであるならば、仰臥位でもよかったのではないか。
    ②女主人(モリー・ロールストン=原田侑季さん)が、絞殺体を発見した時は、悲鳴を上げただけだったと思う。しかし犯人は、彼女と対峙した時に「人殺し」と叫んだ、と言っていた。犯人にしかわからない状況を夫人と違う表現(台詞)で言っていた。ミステリーは台詞が“命”である。
    ③この山荘が孤立しているという状況設定が弱い。霏霏の状況があると、もっと緊迫感があった。例えば、窓枠を作り、雪が積もっている様子、宿泊客のマントに雪が付いている等...些細ではあるが、舞台美術もある程度作り込んでいたように思えるので、もう少し臨場感が出せる力があると思っている。

    いずれにしても、次の展開が待ち遠しくなるようなスリルと緊張感はあった。
    原作を読んだことがあるミステリーファンの自分でもワクワクしながら観られた。本当に好公演であったと思う。

    さて原作の背景には、第二次世界大戦直後のイギリス社会の混乱期がある。戦時中のロンドンでは、ドイツ空軍の爆撃で被害を受けた。子供たちは、安全な地方へ疎開させられたらしい。戦時中、疎開先で虐待されて死んだ子供のモデルがあったという。
    今後は、原作の背景にある社会性なども描き、更なる高みを目指してほしい。

    次回公演を楽しみにしております。

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