マクベス 公演情報 マクベス」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    わからない点もあったけど興味深く観劇
    広い病室に隔離された患者、部屋にはベッドや仕切りのない浴室に洗面所、天井部にはテレビモニターが3台設置、上手側に階段。中央には吹き抜け窓、そこから女医と看護士が見守る。病による錯綜した夢なのか、どこまでが彼の現実なのか。次第に劇場型の治療法に思えてきた。
    もともとお得意?のマイムは大人から子供、マクベス夫人まで巧みに演じ分けてテンポよく進行。後半からマクベスと患者が一体化して見えて来る。一人語りなのに映像も交え性別を変えて演じる生尻蔵さん、引き締まった体つきと腹式呼吸の凄さにも注目してしまった。これが肉体派俳優ってことか。
    変化をつけた話ではあったが、最後まで舞台マクベスだったのは驚き。あまり関係ないが、ETV「おはなしのくに」にでも出演して、演じて欲しい。

    メインは患者である男だけど、その彼をフォローする形で2人の役者さんも出演。かなり印象的な出方もあり名前や活動も知りたかったのだが当日パンフもないため知りようがなく、多分パンフには出演者名の記載があるのかもしれないが、紙一枚でいいからキャスト表をどっかに掲示してほしかった。また細かく表情を見るぶんには今回みたいなホールでは、すこし大きすぎた気も。

    ネタバレBOX

    「マクベス」基本部分の主要な登場人物のみで話が進行。
    ・スコットランドのマクベスとバンクォー、王の陣営へ戻る途中、3人の魔女に出会い「マクベスがコーダー領主になる、王にもなる、バンクォーは王にならないが、その子孫が王になる」と予言を聞く。
    ・予言通りにコーダー領主を命じられたマクベスに王位の野望が芽生える。夫の手紙でそれを知ったマクベス夫人は来城したダンカン王を殺害、夫の野望を遂げさせようと決意。
    ・国王の歓迎祝宴中、罪の重さに怯むマクベスを夫人叱責。妻の言葉に発揮し、就寝中のダンカン王を刺殺するマクベス。
    ・その罪は王の従者になすりつけ、彼らも殺害、やがて王位につく。
    ・夫人の様子を見に侍医、戦時状況を報告する侍者も登場する。
    ・「綺麗は汚い、汚いは綺麗」「血が落ちない」
    ・敗北を自覚したマクベスに結末を重ね合わせる男。

    病室に女医と看護士と抱えられるように男が入室し、男の着衣や薬指の指輪を外させ、爪や口腔内のDNA採取させられる。看護士が男の手荷物の紙袋を持って行こうとするが手元から離さないため、そのまま作業を終わらせ退室する2人。2人の退室後、男が紙袋から出した中身は子供のセーター。家族持ちの男がなんらかの事情で入院することになったと想像できるが、ここまで彼らに会話らしい会話はない。医師たち退室後の室内を彷徨うように見回る男、3台の監視モニターが3人の魔女に見えたのか、現在の置かれた状況にマクベスと重ね合わせる。(と思ったのですがどうなんでしょう!?)

    上や真横からのスポットライトの当て方や、鏡越しでの暗殺者との会話演技にゾクゾクするような狂気の顔芸ラッシュ。マクダフ暗殺計画を企てる段階で、マクベスと夫人がベッド上で体位を変えながら会話するが「悪いこと企ててる〜」とわかりやすい。一人で演じてる部分が多いけど、人物変化で車椅子使ったり、林檎が話し相手だったり、赤ん坊の人形がマクダフ?だったり王だったり。
    端で見てるとなんか変なことしてると見えても、精神を患っている病人ならそんな行動してても違和感はないと納得。次第に言動がマクベスに取り憑かれ、ついには持参した子供のセーターさえマクダフ妻子殺害再現に用いられる。狂気の沙汰に我に返る男。この行動で男も似たような犯罪を起こしたんではないかなーと、ぼんやりと想像できるが、ここら辺は観客の想像力に委ねたのか、その後も男の背景についての言及はなかった。
    侍医(主治医の女医)と侍者(看護士)が別室から観察する中、マクベスや夫人になった男は夜中に起き出し、手を洗う仕草を繰り返し、しまいには自傷してしまう。殺人の闇の部分が増してくると浴槽に自滅し、そこでの息止めシーンは結構長めだったから「だ、大丈夫!?」と余計な心配したくなった。
    モニターに映し出された人物は男の見た悪夢な人物だったのか、それとも男そのものだったのか。その行動の数々に、男の担当医もマクベスの侍医も匙を投げてしまう。その言葉が幻聴のように空をさまよっているかのように聞こえる、マクベスと男。
    どこで歯車が狂い、理性を失い、罪を起こしたのか。
    男とマクベスの奇妙な一致を一人で舞台で演じて見せた蔵之介さんに感服しました。
    多少わからない点もありましたが、面白かったです。

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