満足度★★★★★
大切なものは捨てられない
ストーリーのテーマは二つです。一つは「大切なものは捨てられず、部屋に堆積していく」です。もう一つは「自分が見たいものしか見ようとしなかった(でもいまは見える。あらゆることを観察したい。何にでも挑戦していきたい)」というものです。
大切なものは捨てられない。
大切にしていることを言いたいけど、うまく言えない。
健康グッズやおしゃれな洋服。買ったときには感動があるけれど、時間が経つと物足りなくなる。彼氏も私を飽きさせない努力が足りなかった。
散らかった部屋のモノは、売ったりあげちゃったりしようかなと思うものもあった、しかしそれは収納できないだけで、思い出と手に入れた瞬間の感動が残っている。色褪せて見えなくなってしまったけど、大切なものは捨てられず、部屋に堆積していく。
今回の作品で、キャンディーの部屋、散らかった部屋にある洋服、小説本等は、捨てられず部屋に積もった大切な思い出や感動の瞬間がリンクされたものなのである。 無造作に置かれた文庫本『アルジャノーンに花束を』『あしながおじさん』も、感動した瞬間が思い出と一緒につながっているのでしょう。
人からこう思われたい、見られたいと思う気持ちが散らかった部屋にあるもの全てにある。部屋を振り返ってみて、今までの自分が見たいものしか見ようとしなかったことに気づく。でもいまは見える。あらゆることを観察したい。何にでも挑戦していきたい。そう決意したストーリーです。
満足度★★★★
器用さを捨てたとき表されるもの
50分ほどの一人芝居・・・。
演技力と器用さを兼ね備えたような、本公演の彼女とはちがって、多少不器用であっても質量がしっかりある佐藤けいこを観ることができました。
綺麗に割り切るのでなく、中間色のなかで表した、彼女の感性がとても秀逸・・・。
後を引くトリガーの多い舞台だったと思います