満足度★★★
いい戯曲でした
弟が殺され、残された父母と兄。犯人は若い女の子だった。
刑務所内での上演も考慮に入れて書かれた戯曲だそうで、客席に向かう語り掛けや、独白が多かったです。役者さんには難物といえる戯曲なのだろうと思いました。
満足度★★★★★
素晴らしかった
ただしい人、わるい人。
ただしい事、まちがっている事。
二分法のものの言い方、考え方がインターネットやSNSの普及にともなって広がっていますが、人間は本来簡単に善悪や正否で割り切れる存在ではないはずです。
人間が人間である以上誰にもどうすることもできない瞬間、やむをえず何かをやってしまう、何かを言ってしまう瞬間がある。
それが「わるい事」、たとえば犯罪であれば、それに対して非難や批判が殺到する。それはわかる。けれど、非難や批判をする本人が、一度でも「わるい事」に手を染めたことが無いか、といわれればそうではないだろう。
その、そうではないだろう、というところから出発することが二分法の時代のもの言いや考え方から逃れ出るはじめの一歩だと思う。
お芝居は105分。
犯罪の被害者からも、加害者からもちゃんと描かれていた。
きっと、ほんとうの被害者、加害者は、この105分間を何日も何年もかけていきつもどりつしながら生きているのだと思う。それを思うと、胸が締めつけられる。
内容はわかりやすい。
わかりやすいからこそ、その内容を自分自身のなかで咀嚼することに、時間が掛かると思う。観終わってから時間が経つほどに、ここで語られていたいくつもの印象深い言葉が、深く効いてくると思います。