満足度★★★★
牛乳地獄『本の虫』
牛乳地獄「本の虫」、かなり気持ち悪い現実と虚構の多重メタ構造。賛否両論ありそうな手法。「ことば」というフィクションへの独特のアプローチには、オイスターズ「日本語私辞典」をちょっと彷彿。そして佐野ちゃんは、太陽のような目力とは裏腹に、月のように暗い役がやけに似合う。
牛乳地獄「本の虫」、メタ構造といえば、映画「ブレードランナー」原作者、フィリップ・K・ディックの「高い城の男」を思い出した。第二次大戦で日独が勝ったアメリカで、米が勝った架空戦記が流行るという小説。メタを知りたければディックをオススメします。ほどよく訳が分からなくなる。
満足度★★★★★
やっぱり牛乳地獄さんは集団力
本を読むということに、こんな表現の仕方があるのかと感心しました。演出家の頭の中って、こんななんかなって印象。
主演・佐野さんもむっちゃ忙しく、八面六臂の大活躍でしたね。各種アクトも爽快でした。OPアクトで主体の役者さんの周りでサポートする役者さんたちがやる特殊効果がとても好きです。落ちていく佐野さんのスカート?エプロン?をバタバタさせるやつとか。
桐原工務店さんのまさしく身を削るお話ももちろん良いですが、それを舞台上で現実にする牛乳地獄・役者陣の集団力も相変わらず見事です。踊るように転換していく舞台、好きだな~。
満足度★★★★
牛乳地獄exact.其の壱「本の虫」
学生劇団の芝居のようでした。理由は次の4点。
1、本編と関係の無いオープニングのダンス。本編の中にもちりばめられているのなら良いのだけれど、スピードが全く違って、直後の芝居を退屈にさせている。タイトルコールとかやりたいのだろうけれど、関係の無いものはマイナスにしかならない。ダンスは時間を早めたり飛ばしたりするのに使うものだと思うのでラストのはよかった。
2、マイムが生真面目すぎて細かい。ビール飲むのとか流れ遮って退屈。なのに小道具も使う。狙っているのだけれど、マイムと小道具のバランスが悪すぎ。
3、三層構造のメタフィクションになっているのだけれどそこまでするほどの深さがなく必然性を感じない。2層でも多いくらい。
4、美術と衣装、特に衣装替えの多さの労力と効果は一致していない。
とはいえ、3層目は見どころが多く、ミソゲキのときと同じような振り切れ方でとても良かった。これは持ち味になると思うし、この作風で行くのならば、次も観たいと思います。
満足度★★★★★
本を読む熱から、紡ぎ出す力へ。
人それぞれに得意な分野や趣味はあるのだけれど、
その道で成功し自立できるのは、ほんの一握り。
本の虫と囁かれるほどの読書好きヒロインなのに、
日常生活に取り紛れ創作への意欲を忘れかけていたのですね。