バリモア 公演情報 バリモア」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    俳優としての生きざま
    残念ながら映画版のほうは観ていません。

    暗い内容を想像し、眠ってしまったらどうしようと心配しましたが、始まったらもう演技に釘付けで、すごく満足できました。

    「仲代達矢を観る芝居」新聞の劇評にはそう書いてありましたが、まさにそのとおり。俳優としての生きざまをぶつけてくるようなお芝居でした。

    私は仲代さんの旧作映画を映画館で観ない月はありません。毎月、何本かはちゃんと映画館で観ています。
    映画では、演技の現場は観ることができませんが、私にとっては仲代さんと同じ空間の空気を吸えるだけで幸せというか・・・
    次々、好きな俳優さんが亡くなられて、仲代さんには生きて演技していただけるだけでありがたいと思っています。

    この作品は、今年の7月に再演されますので、見逃したり興味のある方はぜひご覧いただきたいと思います。

    ネタバレBOX

    仲代さんが「私が舞台に立って動いてしゃべってるところを見るだけでもいいというお客さんも来るかもしれないんだから」とバリモアの台詞を言うと場内割れんばかりの拍手で仲代さんが照れくさそうにクスッと笑う。それはアドリブなのかどうかわかりませんが。
    シェイクスピア役者で映画俳優でもあった点、ジョン・バリモアは仲代さんと重なるようです。違うのはバリモアは名うてのプレイボーイで酒とドラッグにおぼれ、仲代さんは健康を厳しく保ち、愛妻家だったこと。
    無声映画からトーキーに変わってからもスターの座を占めた点では田中絹代さんのエピソードを連想します。

    劇中、何度も台詞として「それからみなさんもうお気づきかもしれませんが・・・・」と観客に語りかける場面があるのですが、これがまるで仲代達矢さん自身が語りかける自然な感じで、話にスーッと入っていけます。

    落ちぶれてもスターの栄光が忘れられず、わがままなジョンですがどこかあ憎めない愛嬌もあり、仲代さんが最近演じる老人役とも重なります

    演出もよかったと思います。

    バリモアといってすぐ思い浮かぶのは私の場合、映画女優のドリュー・バリモアなのですが、ジョンの孫にあたるそうです。彼女も酒やドラッグに溺れ、そこからみごとに女優復帰して話題になりました。
    バリモア家は俳優一家ですがドラッグ一家と言えるほど、ドラッグに溺れてきたんですね。根の深さを感じました。
    でも、彼は才能ある家族をとても誇りに思っていたようです。
    きっと、自分の人生が映画や芝居になって苦笑しながら観てるんじゃないかなと思います。

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