流れんな  公演情報 流れんな 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★

    峯素子が悩める四十路美女を好演/約95分
    地元特産の貝の汚染の噂、店主の入院などあれやこれやが重なって一時休業に追い込まれた、関西の海辺の町の食堂が舞台。
    そこへ、母亡きあと店主の父と二人三脚で店を回してきた長女、その幼なじみの貝獲り職人、次女夫婦、食による町おこしを目論む食品会社社員が集い、5人の会話を通して長女や町にまつわる色んな事実が浮き彫りになっていく。

    短時間で数々の事実を明るみに出す必要性から会話がやや御都合主義的に進んでいく、姉のダメっぷりを暴く“検事”的役割を与えられた次女が己は無欠であるかのごとくずっと正義ヅラで得々と喋り続けるなど気になる点は多々あったが、明るい笑顔の裏に数々の悩みを抱えて生きる四十歳独身の長女を演じた峯素子の演技が上の欠点を補って余りあるほど素晴らしく、また、深刻な中にも随所にユーモアがあって、最後まで引き込まれた。

    iakuはお初でしたが、次作も観たくなりました。
    人情劇の色が今作よりも薄めだと、私としてはより嬉しいかも。

  • 満足度★★★★★

    流れんな
    いい作品。90分。

    ネタバレBOX

    睦美(峯素子)…四十路手前の独身。父の食堂手伝いと亡き母の代わりという人生をずっと歩んできた。駒場と不倫、サツキとは確執あり、父が倒れ食堂(生活)の不安と移植の問題など、目白押し。記憶の母に触れたくないが母に依りたいと想っている。
    サツキ(橋爪未萌里)…睦美の14位年の離れた妹。翔の妻。妊娠8週。出産前検査を受け入れる代わりに睦美の記憶を映像化することに同意した。睦美のつっこまれたくないとこにドンドン突っ込む。
    司(緒方晋)…睦美の友人。学生時代付き合ってた際に強引にしようとしたせいで、睦美から関係をもてないと言われる。タイラギ漁師で毎日タイラギを食べてる。
    翔(酒井善史)…サツキの夫。ここ最近の貝毒のことを調べ、サツキに出産前検査を薦めるが、睦美らから反対を喰らう。
    駒田(北村守)…町の有力企業勤務。村おこしの企画を担当し、睦美と不倫をする。会社が汚染魚の汚染部分を海に捨ててることを、白状。睦美に別れを告げ、割り箸を投げつけられる。

    寂れた村の町おこし問題に始まり、出産前検査、肝臓移植、医療費、脳内映像化、不倫、癒着、企業倫理、環境汚染、DV、家庭環境等、これでもかと悩ましい物事を詰め込んでくる。その上で、睦美に焦点をしっかり当てて90分で仕上げる手腕が凄い。

    唯一親に願った、ぼっとん便所を洋式トイレに変えてもらったことで、母の危機を見過ごしたことの十字架を背負い続け、今なお、ぶっ倒れそうな心で何とか踏ん張っている睦美が、母が死んだトラウマのトイレに入り嗚咽するラストシーン。母の死から遠ざかりたいと思う心と裏腹に母を求めてしまう(求めざるを得ない)、八方塞がりな睦美に、背中が熱くなるような寒気がするような感覚になる。町に対しても家に対しても人に対しても窮屈な睦美はとても悲劇的と思う。序盤で見せた駒田への愛らしい表情を思うと、一層思う。
  • 満足度★★★★★

    東京公演
    切なさとユーモアの匙加減が絶妙!
    オリジナルメンバーのみなさんの演技、素晴らしかったです。
    リアルなせりふまわしに引っ張られたのか、頭の隅に追いやっていた過去の自分の記憶とかまで思い出してしまった。それだけ心を鷲掴みされたってことですね。とても良い舞台でした。

  • 満足度★★★★★

    固執
    家族の固執をリアルな掛け合いで表現している。
    関西の劇団の魅力全開なマシンガントークを想像していたが、シリアスな展開の芝居だけにじっくりと間を取る。
    でも、心にグッと染み入る会話が続く、妙にリアルな本音を聞かされている気分です。
    よく練りこんだストーリーで、役者の表情や動きが身近に感じれる会場で、いい舞台でした。

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