満足度★★★
欲望に負ける
アンデルセン童話をモチーフにした1時間程度の作品で、欲望に勝てない人間の姿がユーモラスに描かれていました。
微妙にデザインの異なる黒のワンピースを着た女性3人がメインで、特定の役が振られているわけでなく、次々に異なる役に切り替わって行き、唯一の男性である小野寺さんは真っ赤な衣装で赤い靴を象徴しながら、物を動かしたり、ダンサーに照明を当てたりと黒子的な役割を果たしていました。
特定の正面を意識させないパフォーマンスを机と木の箱を用いつつ展開していて、円形劇場ならではの表現になっているのが良かったです。
赤い照明の中で大きな木製の人形の足に付けられた紐を3人が引っ張り合い、足が取れてしまうクライマックスの場面の残酷な雰囲気が印象的でした。
これまでに小野寺さんの作品は多く見ているので、ムーヴメントに既視感を覚える場面が多く、あまり新鮮味を感じませんでした。得意技の小道具やセットを用いた独創的な表現も控え目で物足りなさを感じました。
床に描かれた美術も美しかったものの、パフォーマンスにあまり関与していなくて勿体なく感じました。